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JA(農協)が公開している農機の修理・整備料金表を6件集めて、オイル交換の欄を確かめました。すると、オイル代が金額に含まれているものは1件もありませんでした。「エンジンオイル交換 3,520円〜」と書かれた表にも、「油脂代は別途」と添えてありました。
2026年9月時点で、各JAの料金表を取得して確かめた結果です。
つまり料金表の数字を見て安心していると、請求書にはその上にオイル代とフィルタ代が乗ってきます。オイル交換で「思ったより高い」と感じる原因の多くは、ここにあります。
新車で買って数年のトラクターがある。JAや農機店から「点検整備でオイルを一式替えましょう、7万円ほどです」と言われた。乗用車のオイル交換との差に驚いて、このページを開いた方が多いと思います。
結論から言うと、トラクターのオイル交換費用は「工賃+オイル代+フィルタ代+廃油処理」で積み上がります。そしてオイル代は「オイルの量×単価」で決まります。
33馬力クラスでもミッションオイルだけで32L入ると、クボタの取扱説明書に書いてあります。ですから乗用車のオイル交換と桁が違っても、計算上はおかしくありません。

この記事で分かることは、次の4つです。
- オイル交換費用の内訳が4つに分かれること。JAの料金表6件すべてがオイル代を別にしていること
- オイル代が「量×単価」で決まること。33馬力でエンジン4.5L・ミッション32L、70馬力で12L・67Lという取扱説明書の数字
- 交換時期が100〜400時間と、メーカーと型式で3倍違うこと
- 削ってはいけない所があること。DPF搭載機のDH-2オイル、注ぎ足しの禁止、廃油の扱い
トラクターのオイル交換費用は、何にいくらかかっているのか
ここからは、見積書を受け取る前に知っておきたいことを順番に見ていきます。
順番は、JAの料金表にある工賃、オイル代の決まり方、ミッションオイルの重さ、見積書の「その他」の行です。最後に33馬力と70馬力で総額を試算します。当てはまる見出しから読んでも大丈夫です。
JAの料金表6件で見た工賃|エンジンオイル交換3,520円〜の中身
結論から言うと、JAの料金表に載っている「オイル交換○○円」は工賃です。オイル代は入っていません。
というのも、今回取得した6件の料金表には、すべて同じ趣旨の注記がありました。JAみなみ魚沼は「取付部品・油脂代・塗装代・板金代金は別途請求」という書き方です。
JA兵庫みらいは「使用した部品代及び油脂代は実費を加算」です。JAグループ佐賀は「技術料金には、部品代・油脂代などの費用は含みません」でした。
JA伊勢とJA東美濃も、部品やオイルの費用を別としています。つまり6件とも、部品やオイルの代金を基本の料金の外に置いています。
実際の金額も見ておきます。JAみなみ魚沼はエンジンオイル交換3,520円〜です。JAハイナンは工賃だけを示した表で「オイル・フィルター交換 0.3時間 1,980円」でした。
乗用トラクターのミッションオイル交換は、JAハイナンで0.5時間3,300円です。
6件を並べると、次のようになりました。
| JA(公開料金表) | 時間単価 | オイル交換の実額 | 油脂代 |
|---|---|---|---|
| JAみなみ魚沼 | 8,800円 | エンジン3,520円〜 ミッション8,800円〜 |
別途 |
| JAハイナン | 6,600円 | オイル・フィルター交換 0.3時間 1,980円(工賃のみ) | 別途 |
| JA伊勢 | 6,600円 | ― | 別途 |
| JA兵庫みらい | 7,700円 | ― | 実費加算 |
| JA東美濃 | 8,800円 | ― | 部品交換は別途 |
| JAグループ佐賀 | 5,000円(県内平均) | ― | 含まない |
| 税込・2026年9月時点の各JA公開料金表より(🟡地域・作業内容で変動・あくまで目安) | |||
ちなみにJAみなみ魚沼は2026年8月末時点で7,700円でしたが、9月の時点で8,800円に改定されていました。
確かに、工賃だけならエンジンオイル交換は2,000〜3,500円台からです。ただし差が出るのはこの先、オイル代のほうです。
加えて、休日や時間外には25〜30%の割増がつくJAもあります。繁忙期に急いで頼むと、同じ作業でも金額が変わります(🟡地域・JA・作業内容で変動)。
そのため見積を受け取ったら、最初に「この金額にオイル代は入っていますか」と聞いてみてください。この一言で、後から乗る金額の見当がつきます。
修理や点検整備の見積もりの読み方で迷っている方は、トラクターの修理費用の相場と工賃の目安もあわせてご確認ください。
部位ごとに工賃がどれくらい違うか知りたい方は、田植え機の部位別の修理費用の目安もあわせてご確認ください。
オイル代は量×単価で決まる|取扱説明書の給油一覧表にあるエンジンオイル量

結論から言うと、オイル代は自分で計算できます。取扱説明書の「給油(水)一覧表」にある容量に、純正オイルの単価を掛けるだけです。
たとえばクボタのトラクターSL33(33馬力)の取扱説明書を見ます。エンジンオイル4.5Lと書かれています(〔5.7L〕は分解・修理した場合の量です)。同じクボタのMR60〜70(60〜70馬力)では、フィルタ込みで12Lです。
イセキも「オイルの量は取扱説明書の点検整備の章に記載」とFAQで案内しています。
次に単価です。クボタ純正のDH-2オイル(DPF搭載機用)の20L缶を見ます。
2026年9月時点の通販で約21,500〜29,400円でした。1Lあたりに直すと約1,070〜1,470円です。
4L缶は約5,700〜7,700円で、1Lあたり約1,430〜1,920円。小分けは割高になります。
同じDH-2規格でも、ヤンマー純正のクリーンロイヤルは20L缶で約17,100〜29,700円と、店によって開きがありました。要するに、どのメーカーの純正を指定されているかでも単価は変わります。
この単価をSL33の4.5Lに掛けると、20L缶で買った場合で約4,800〜6,600円です。MR70の12Lなら約13,800〜17,600円になります。
あくまで通販価格を使った目安です。同じ純正オイルでも販売店によって2倍近い開きがあるため、幅を広めに取っています。JAや販売店で交換を頼んだときの油脂代の単価は公開されていません(🟡依頼先の見積で確認)。
純正オイルを自分で用意する場合は、買う前に次の3点を確かめてください。
買う前に確認する3点
- 取扱説明書の「推奨オイル一覧表」に書いてある規格(DH-2/CF/スーパーUDT-2 など)
- DPF(排気フィルタ)搭載機かどうか。搭載機はDH-2以外を使えません
- 必要な量(給油一覧表の容量)。4L缶で足りるか、20L缶のほうが1Lあたり安いか
メーカーが違えば指定オイルも違います。ここではクボタ純正を例に挙げますが、ヤンマー・イセキの機体は各メーカーの純正を選んでください。
クボタ純正のDH-2オイルは、通販でも扱いがあります。ただし2026年9月時点では、Amazonは20L缶・4L缶とも在庫切れ(再入荷予定なし)でした。楽天には在庫があります。
クボタ純正 ディーゼルエンジンオイル DH-2 D10W-30
※DH-2はDPF搭載機の専用オイルです。DPFのない機体や、ヤンマー・イセキの機体には使えません。お手元の取扱説明書の「推奨オイル一覧表」をご確認のうえお選びください。
ミッションオイル交換の費用が総額の半分を占める理由|油圧兼用で32〜67L

結論から言うと、オイル一式の見積が高くなる正体はミッションオイルです。量がエンジンオイルの5倍以上あります。
というのも、トラクターのミッションオイルは油圧装置の作動油を兼ねているからです。クボタのMR取扱説明書では項目名が「ミッションオイル(油圧オイル)」で、容量は67.0Lです。SL33では32Lでした。
ヤンマーもFAQで「ミッションオイルは油圧オイルも兼用しています」と説明しています。作業機を上げ下げする油圧まで、同じオイルでまかなっているわけです。
単価を見ると、クボタ純正スーパーUDT-2の20L缶は、通販で約22,300〜40,700円でした。同じ品でも店によって2倍近い開きがあります。前車軸のオイルも同じ缶でまかなうと、必要な本数は次のとおりです。
| 型式 | エンジンオイル | ミッション+前車軸 | UDT-2 20L缶 |
|---|---|---|---|
| クボタSL33(33馬力) | 4.5L | 35.7L | 2本=約44,600〜81,400円 |
| クボタMR70(70馬力) | 12L | 76L | 4本=約89,200〜162,800円 |
| 容量はクボタの取扱説明書の給油(水)一覧表より・金額は2026年9月時点の通販価格(🟡店舗で変動・あくまで目安) | |||
ヤンマーのトラクター用ミッションオイル「TFプレミアム」は、20L缶で約22,000〜37,300円でした。いずれも2026年9月時点の通販価格です(🟡店舗で変動)。
工賃はJAみなみ魚沼で8,800円〜、JAハイナンで30馬力以下0.5時間3,300円です。つまり33馬力クラスでも、ミッションオイルの交換だけで5万〜9万円台の話になります。
確かに、ミッションオイルの周期は400〜1,000時間と長く、次の章で見るとおり毎年の作業ではありません。
ただし替えないまま使い続けると、ヤンマーが挙げる「油圧装置の作動不良」につながります。作業機が上がりにくい、という症状はここから来ることがあります。
ですから「オイル一式」の見積が高いと感じたら、ミッションオイルが入っているかをまず見てください。入っていれば、7万円は珍しい数字ではありません。
手順と周期の詳細は、クボタ「ミッションオイルの点検・交換方法」で確認できます。
フィルタ・フロントアクスル・廃油処理|見積書の「その他」に乗るもの
結論から言うと、見積書の小さな行を足すと数千円から1万円台になります。ここを見落とすと「思ったより高い」の原因になります。
まずエンジンオイルフィルタです。クボタ純正のフィルタは、通販で約2,100〜3,200円でした。型式によっては5,500円のものもあります(🟡型式で異なる)。
クボタは初回50時間、以降200時間ごとの交換を案内しています。ヤンマーは「オイル2回交換ごと」で、初回50時間、以降400時間ごとです。フィルタが目詰まりすると、ろ過されていないオイルがエンジン内部に送られる、とクボタは説明しています。
クボタ純正 エンジンオイルフィルタ
※フィルタの品番は型式ごとに違います。お手元の取扱説明書か、クボタの「消耗部品早見表検索」で品番を確認してからお選びください。下の2点は、この記事で例に挙げたSL33とNB23に対応するものです。
同じ品番でも、Amazonや楽天では3,000〜5,000円台のことがあります。農機具の専門店のほうが安い場合が多いので、品番が分かってから比べてみてください。
次にフロントアクスル(前車軸)のオイルです。SL33で3.7L、MR70で9L入ります。クボタもイセキも600時間ごとの交換としています。
ロータリのギヤケースオイルは、イセキで400時間ごとです。
これらは「ギアオイル」と呼ばれることもあり、ミッションオイルとは別に必要になります。見積書に「前車軸オイル」「ロータリオイル」の行があれば、それはこの部分です。
さらにミッションオイルフィルタです。ヤンマーはミッションオイルと同時の交換を勧めています。クボタのMR取扱説明書では、油圧オイルフィルタが200時間ごとの交換になっています。
そして出張料です。今回の料金表では1,650〜3,300円でした。自分で持ち込めばかかりません。
廃油の処理料は、6件の料金表には項目がありませんでした(🟡依頼先で扱いが異なるため見積で確認)。
ですから見積の各行に「単価×数量」を書いてもらってください。分からない行は、その場で聞いて構いません。
点検の見積もりにバッテリー交換も並んでいた方は、トラクターのバッテリー交換費用の目安もあわせてご確認ください。
33馬力と70馬力で試算|知恵袋の「7万円」はどこまで妥当か

結論から言うと、33馬力クラスでエンジン・ミッション・前車軸のオイルを一式替えると、約5.7万〜11.2万円です。編集部の試算による目安です。知恵袋で「オイル交換7万円は適正か」という質問が上位に出てきますが、この範囲のちょうど真ん中あたりです。
材料はクボタSL33の容量、純正オイルの通販価格、JAの工賃、純正フィルタの価格です。あくまで2026年9月時点の目安で、JAや販売店のオイル単価は非公開のため、実際の見積とは前後します。
内訳は次のとおりです。
| 項目 | 33馬力(SL33) | 70馬力(MR70) |
|---|---|---|
| エンジンオイル | 約4,800〜15,400円 | 約21,500〜29,400円 |
| オイルフィルタ | 約2,100〜3,200円 | 🟡型式で異なる |
| ミッション+前車軸オイル | 約44,600〜81,400円 | 約89,200〜162,800円 |
| 工賃(エンジン+ミッション) | 約5,300〜12,300円〜 | 🟡割増の場合あり |
| 合計の目安 | 約5.7万〜11.2万円 | オイル代だけで約11.2万〜19.2万円 |
| 編集部の試算・2026年9月時点の通販価格とJA公開料金による目安(🟡機種・依頼先・地域で変動) | ||
エンジンオイルの幅が広いのは、20L缶で買うか4L缶2本で買うかの差です。エンジンオイルとフィルタだけなら、業者に頼んでも約0.9万〜2.2万円で収まります。
一方、70馬力になるとオイル代だけで約11.2万〜19.2万円に達します。知恵袋の回答者が「大きい機体は12万円を超える」と書いていたのと矛盾しません。
確かに「じゃあ7万円は払うしかないのか」と感じるかもしれません。ただし内訳が分かれば、頼み方を変えられます。
たとえば「今回はエンジンオイルとフィルタだけ、ミッションオイルは時間が来てから」と分けて頼む方法です。ミッションオイルの周期は400〜1,000時間なので、毎年一式である必要はありません。
要するに、金額の高い低いではなく「何が入っているか」で判断してください。それが分かれば、7万円は驚く数字ではなくなります(🟡機種・年式・依頼先・地域で変動)。
トラクターのオイル交換費用を抑えるために、削っていい所と守る所
ここからは、費用を抑える話です。ただし順番があります。
まず交換時期を正しく知ること。次に自分でできる範囲を知ること。
そして削ってはいけない所を知ること。最後に、替えずに使い続けた先に何があるかを見ます。
交換時期は100・200・400時間|メーカーと型式で3倍違う

結論から言うと、エンジンオイルの交換周期は100〜400時間で、メーカーと型式によって3倍違います。「年1回」と決めつけず、自分の取扱説明書で確かめるのが確実です。
メーカー3社の公式ページと取扱説明書から、型式ごとの目安を並べました。
| メーカー・型式 | エンジンオイル | ミッションオイル |
|---|---|---|
| クボタ 小型(NB23) | 100時間ごと | 300時間ごと |
| クボタ 中型(SL35) | 200時間ごと | 初回50時間→400時間ごと |
| クボタ 大型(M7-171) | 初回50時間→500時間ごと | 初回500時間→1,000時間ごと |
| クボタ MR60〜97(取扱説明書) | 初回50時間→400時間ごと | 初回50時間→600時間ごと |
| ヤンマー | 200時間ごと(DH2オイル) | 初回50時間→300時間ごと |
| イセキ | 基本100時間ごと | 初期点検後200時間ごと |
| 出典:クボタ純正部品ページ・MR取扱説明書/ヤンマー「トラクターのセルフ点検・交換」/イセキ「点検整備ポイント」(🟡型式で異なる・お手元の取扱説明書を優先) | ||
このように、同じ「オイル交換」でも周期は型式で決まります。アワーメーター(稼働時間を示す計器)と取扱説明書の「定期点検箇所一覧表」を見れば、自分の機体の答えが出ます。
オイルと同じく時間で回す手入れに、グリスアップもあります。50時間ごとの場所と周期を確かめたい方は、トラクターのグリスアップ箇所と周期もあわせてご確認ください。
ただし、時間が来ていなくても替える場面があります。クボタは「汚れがひどい場合は交換」、ヤンマーは「長期間使用している」を交換の目安に挙げています。クボタのMR取扱説明書は、長期格納の前にエンジンオイルを交換して防錆運転をするよう書いています。
「年に80時間しか使わないから、何年も替えなくていいのでは」という疑問もあるはずです。調べてみると、メーカー3社の公式ページに「エンジンオイルは年1回」という記載はありませんでした。
一方で、期間で区切っている例はあります。ヤンマーのミッションオイル用フィルタは初回が「50時間目または1年目」のどちらか早いほうで、2回目以降は600時間ごとです。TFプレミアムは「600時間または2年」とされています。つまり時間が主で、期間の基準は型式ごとに取扱説明書で確認する、が現実的な答えになります。
格納明けにエンジンがかからなくて困っている方は、トラクターのエンジンがかからないときの確認手順もあわせてご確認ください。
自分で交換すると、いくら安くなるか|道具・廃油の捨て方・できる範囲

結論から言うと、自分でやって浮くのは工賃の2,000〜3,500円台です。オイル代とフィルタ代は変わりません。エンジンオイルまでは現実的ですが、ミッションオイルは業者に頼むほうが現実的です。
クボタのセルフメンテナンスページの手順は、次の流れです。
- エンジンを止めて十分冷えてから、ドレーンプラグを外してオイルを排出する
- ドレーンプラグを確実に締め、給油口から規定量を入れる
- フィルタは新品のOリングにオイルを薄く塗り、レンチを使わず手で締める
- 約5分運転して、警告ランプと漏れがないことを確認する
- オイルゲージで油量をもう一度確認し、足りなければ補給する
ヤンマーの手順もほぼ同じです。どちらも「型式により場所が異なるため取扱説明書を参照」が前提になります。
実費を、業者に頼んだ場合と並べます。SL33のエンジンオイルとフィルタを替える前提です。
| 項目 | 自分で交換 | 業者に依頼 |
|---|---|---|
| オイル代(20L缶ベース) | 約4,800〜6,600円 | 🟡依頼先の単価による |
| オイルフィルタ | 約2,100〜3,200円 | 同程度(🟡部品代別) |
| 廃油処理 | 処理箱 約300〜600円+自治体のルール | 🟡見積で確認 |
| 工賃 | 0円 | 約2,000〜3,500円台 |
| 合計の目安 | 約0.7万〜1.1万円 | 約0.9万〜2.2万円 |
| 2026年9月時点の通販価格・JA公開料金による目安(🟡機種・依頼先で変動) | ||
差は数千円です。その数千円と引き換えに、手順と廃油の責任を自分で引き受けることになります。
その廃油は産業廃棄物です。クボタはFAQで4つの方法を挙げています。購入した販売店での引き取り、ガソリンスタンドでの引き取り、廃油処理箱で固める、廃油業者に引き取りを依頼する、の4つです。
ただし固めた後の扱いは自治体で違います。岡山市は「吸収剤で固形化したものは可燃ごみとして出すことが可能」としています。
反対に鹿児島市は、廃油は産業廃棄物なので「産業廃棄物処理業者又は廃油処理業者に依頼してください」としています。お住まいの自治体で確認してください。
クボタのFAQは、下水や川に流すことを「違法行為になります」と明記しています。ヤンマーも地面へのたれ流しや川・沼への廃棄を「罰則の対象」としています。
加えて、ミッションオイルにはもう1つ理由があります。イセキは、ミッションオイルやフィルタを交換すると油圧回路のエア抜きが必要な機種がある、と書いています。量・廃油・エア抜きの3つが重なるため、編集部としては業者依頼をお勧めします。
廃油の処分方法は、クボタ「オイル類の廃棄方法」にまとまっています。
純正オイルとDH-2|削ってはいけない理由をメーカーの文言で確かめる

結論から言うと、オイル代を削るなら缶のサイズで削ってください。規格や銘柄で削ってはいけません。特にDPF(排気ガス中のススを捕まえるフィルタ)を搭載した機体は、DH-2以外を使えません。
クボタのMR取扱説明書は、DPF搭載エンジンにはDH-2を「必ず使用」としています。他のオイルでは灰分がDPFに堆積し、「DPFが機能しなくなるまでの時間が極端に早まります」という記述です。セルフメンテナンスページでは「絶対に使用しないでください」という表現でした。
缶に書かれた記号の読み方も押さえておきます。
| 記号・名前 | 意味 |
|---|---|
| DH-2 | DPF搭載ディーゼルエンジン用の規格。搭載機はこれ以外を使えない |
| CF | API分類のディーゼルエンジンオイルの品質等級(🟡分類の詳細はメーカー資料で確認) |
| 10W-30 | 粘度。夏冬の切り替えが不要で年間を通して使える(ヤンマー) |
| スーパーUDT-2/TFプレミアム | ミッションと油圧を兼用するオイルの製品名(クボタ/ヤンマー) |
| 出典:クボタ取扱説明書・ヤンマー「純正オイルとフィルタ」。指定は型式ごとに取扱説明書の推奨オイル一覧表で確認 | |
クボタのFAQでは、推奨がNEW UDTやスーパーUDTの機体にスーパーUDT-2を代替として使えるとしています。ただし逆方向は不可です。
純正以外の扱いは、3社で揃っています。イセキは「規格やグレードが同じであっても成分が異なることがあるため、品質の保障を致しかねます」です。
ヤンマーは「指定以外のオイルを使用した場合は、走行部や油圧系統のトラブルの原因」です。クボタはMRの取扱説明書の推奨オイル一覧表で「必ず下記の指定オイルを使ってください」としています。
確かに、同じ規格の市販品なら安く手に入ります。けれども3社とも保証しない以上、その差額は自分でリスクを持つ金額になります。DPFのない機体なら、純正のスーパーCFのように価格を抑えた純正を選ぶ道もあります(🟡機種の指定規格を優先)。
加えて、注ぎ足しの禁止です。メーカーや粘度の違うオイルに替えるときは全量を抜いてから入れる、とクボタは書いています。種類の違うオイルの継ぎ足しは、FAQでも「お控えいただき」とされています。
結論として、取扱説明書の「推奨オイル一覧表」に書いてある規格をそのまま買う。これが、削ってはいけない所の答えです。
なお、純正か汎用かで迷う構図は、グリスでも同じでした。田植え機のグリスの選び方のほうで、メーカー2社の立場の違いを並べています。
替えずに使い続けた先にある修理費と、手放すという選択
結論から言うと、オイル交換は農機具費を下げる手段です。替えずに壊した場合の修理費は、オイル交換の何倍にもなります。
クボタは「古くなったエンジンオイルを使い続けると、オイルの流れが悪くなり、エンジン各部の破損につながります」としています。ヤンマーはエンジンオイルの不足や劣化で「エンジンの力が出なくなる」「オーバーヒート」「白煙」が起きる、と書いています。ミッションオイルでは「油圧装置の作動不良」です。
修理費の側はどうか。JAの工賃は1時間5,000〜8,800円で、JAハイナンの料金表ではエンジン脱着だけで9.3時間61,380円です。前輪まわりのオイル漏れ修理は、JA兵庫みらいで33,000円以上でした。
オイル一式7万円に対し、エンジンを降ろす工賃だけで6万円超。後者には部品代がまだ乗っていません(🟡修理費は機種・状態で大きく変動)。
農林水産省の資料(平成26年11月「農業機械をめぐる状況」)に「農業機械の稼動年数を1割長くすることは、1年当たりの農機具費を1割低減させる効果を有する」とあります。同じ資料の農機具費の式には、メンテナンス費用が足し算、中古農機の売価が引き算で入っています。
逆に言えば、手放すなら動くうちのほうが引き算が大きくなります。国産トラクターの部品供給年限は製造打ち切り後12年、法定耐用年数は7年という線引きもあります。
使わなくなった機械の税金が気になる方は、トラクターの廃車手続きの期限と流れもあわせてご確認ください。
今払うか、あとで修理費として払うか、動くうちに手放すか。3つを並べてから決めれば、後悔は減ります。
使い続けるか、動くうちに手放すかで迷っている方は、動かないトラクターの買取と手放す前の確認点もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
新車のトラクターの初回点検は、有料ですか?
JAによっては無料です。JA伊勢の令和7年の料金表には、新車のトラクタ・田植機・コンバインは購入後1年以内の点検料が1回に限り無料と書かれています。クボタはならし運転後の50時間で初回のオイル交換を案内しているため、この点検と合わせて頼めます。ただしオイル代や部品代は別途で、無料の有無はJAごとに異なります。購入先にご確認ください。
エンジンオイルは、多めに入れたほうが安心ですか?
多めは禁物です。クボタは、エンジンオイルの入れすぎは出力不足につながるとして、オイルゲージの上限以上には入れないよう案内しています。DPF(排気フィルタ)搭載のエンジンでは、再生時に燃料が混ざってオイルが増えることがあり、上限を超えたら直ちに交換するようクボタの取扱説明書に書かれています。量は上限と下限の間が正解です。
ミッションオイルとギアオイルは、同じものですか?
同じではありません。トラクターのミッションオイルは油圧装置の作動油を兼ねる専用のオイルで、クボタならスーパーUDT-2のような製品です。一方、前車軸(フロントアクスル)やロータリのギヤケースには別のオイルが入り、交換周期も600時間・400時間と違います(クボタ・イセキ)。見積や缶の表示では、どの部分のオイルかを確かめてください。
点検整備の料金に、オイル交換は含まれていますか?
オイル代は含まれません。JA兵庫みらいの点検整備料金(20馬力未満30,800円など)には「使用した部品代及び油脂代は実費を加算」と注記があります。JA伊勢の料金表は点検のみで整備料金を含まず、オイル代も別途です。点検整備の見積を受け取ったら、オイル交換の工賃とオイル代がどこに入っているかを確認してください(金額は令和7年4月時点の目安)。
【まとめ】トラクターのオイル交換費用で押さえる5つの要点
トラクターのオイル交換費用は、料金表の数字だけでは分かりません。工賃にオイル代・フィルタ代・廃油処理が乗って、初めて請求書の金額になります。
そしてオイル代は「量×単価」です。取扱説明書の給油一覧表を開けば、自分の機体の量が分かります。ここまでの要点を5つにまとめます。
- 内訳は工賃+オイル代+フィルタ代+廃油処理。JAの料金表6件は、すべてオイル代を別にしている
- オイル代は量×単価。33馬力でエンジン4.5L・ミッション32L、70馬力で12L・67L(クボタの取扱説明書)
- 総額の半分以上はミッションオイル(油圧兼用)。33馬力で一式約5.7万〜11.2万円が編集部の試算(目安)
- 交換周期は100〜400時間で、メーカーと型式で3倍違う。年数ではなくアワーメーターと取扱説明書で確かめる
- DPF搭載機はDH-2以外を使わない。種類の違うオイルの注ぎ足しはしない。廃油は産業廃棄物として処分する
金額はいずれも2026年9月時点の公開料金と通販価格による目安です。機種・年式・依頼先・地域で変わりますので、正確な周期と容量はお手元の取扱説明書で、金額は依頼先の見積でご確認ください。
見積の各行に「何のオイルが何リットル」と書いてあれば、あとは掛け算で確かめられます。急いで決める必要はありません。内訳が見えたところで、納得できる頼み方を選んでください。