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クボタの取扱説明書は、グリスアップを50時間ごとと定めたうえで、例外を1つ書いていました。
代かきなどで泥水に入った日は、その日の作業が終わったあとに必ず入れる、という一文です。2026年10月に、編集部がクボタKLシリーズの取扱説明書を開いて確かめました。
つまり、「50時間ごと」とだけ覚えていると、いちばん泥をかぶった日に給脂が抜けてしまいます。ヤンマーは「50時間または1年」、クローラの足回りは30時間ごとと、周期も1つではありません。
中古で買ったトラクターを、初めて自分で整備する。取扱説明書を開いても、グリスアップの場所がどこか分からない。どれだけ入れれば止めていいのかも分からない。
そんな方に向けて、トラクターのグリスアップの場所と周期、入れ方を3社の資料で整理した記事です。グリスアップ箇所の一覧と、止めどきの目安もまとめました。
結論から言うと、場所は取扱説明書の点検表で確かめ、50時間ごとに入れるのが基本です。泥水の日は作業のあとに毎回入れ、手動のガンで古いグリースがにじみ出るまで押し込みます。

この記事で分かることは、次の4つです。
- グリスを入れる場所(クボタ・ヤンマー・イセキの資料で比べる)
- 周期は50時間ごと、ただし泥水の日とクローラは別
- グリスアップの手順と、どこまで入れれば止めてよいか
- グリスが入らないときの確かめ方と、お店に頼む費用
どれもメーカーの取扱説明書や公式の資料で確かめた内容です。金額には時点と税の扱いも添えています。
トラクターのグリスアップは、どこに・いつ入れる?
前半では、グリスが切れると何が起きるかを確かめます。そのうえで、3社の資料にあるグリスアップ箇所と、周期の違いを見ていきます。
グリースが切れると何が起きるか|摩耗・動きの悪さ・焼付き
グリースが切れた部分は、動きが悪くなり、部品の摩耗が早く進みます。グリスアップは、すき間に新しいグリースを押し込む作業です。
グリースは、グリースニップル(グリースを入れる小さな口)からガンで押し込むのが基本です。取扱説明書では「グリースアップ」と書かれていますが、この記事では検索で多い「グリスアップ」で表記します。
まず、グリースの役目から確かめます。ヤンマーのトラクターのセルフチェックは、グリスアップの働きを3つ挙げていました。
1つ目は、軸受けや摺動部(しゅうどうぶ:部品どうしがこすれ合って動く所)の密封性を良くすることです。2つ目は、水やほこりが入るのを防ぐこと、3つ目は摩擦を減らすことでした。
そのため、怠ると動きが悪くなり、部品の摩耗が早くなると書かれています。ハンドルが重い、作業機の上げ下げが渋いといった変化は、こうした所から出てきます。
さらに、ヤンマーの建設機械のコラムは、グリースが足りないときの影響をもう一歩踏み込んで書いていました。軸やピンの摩耗が進むほか、焼き付きが起きるおそれもあるとしています。
ただし、これは建設機械の資料です。トラクターにもピンや軸受けは多くありますが、機械の造りは同じではないので、考え方の参考として読んでください。
実は、グリスアップが足りていないケースは、少なくありません。日本農業機械化協会の点検の報告によると、乗用トラクターの点検で、注油やグリスアップが不十分と思われる人が1割弱いました。
具体的には、集計した276件のうち27件、9.8%です。平成30年度に、農林水産省の農作業安全の事業として行われた点検の結果でした。
つまり、10人に1人近くは、グリスアップが追いついていない計算になります。点検表の欄を見落とさないことが、まず大切です。
軸受けが傷んだときの費用が気になる方は、トラクターのベアリング交換費用の目安もあわせてご確認ください。
場所はメーカーと型式で違う|3社の資料で見るグリスアップ箇所

グリスを入れる場所は、メーカーと型式で違います。そのため、まずはお手元の取扱説明書の点検表を開くのが確実です。
ここでは、3社の資料に載っているグリスアップ箇所を並べてみます。クボタはKLシリーズの取扱説明書、ヤンマーとイセキは公式の点検資料です。
| メーカー | 資料 | 名前が出ている箇所 |
|---|---|---|
| クボタ | KLシリーズ取扱説明書 | 前車軸受・サスペンション部・スライド部・トップリンクとブラケット・油圧シリンダ |
| ヤンマー | トラクターのセルフチェック | タイロッド・パワステシリンダ・センターピンサポート・ドライブシャフト |
| イセキ | イージーセルフチェックBOOK トラクタ編 | クローラの揺動支点・ロータリの安全カバー・尾輪・ヨーク |
このように、同じトラクターでも、資料に名前が出てくる場所はかなり違います。前輪まわりのかじ取りの部品と、後ろの作業機をつなぐ部品が、多くの機械で共通の候補になります。
たとえば、ヤンマーのタイロッドとパワステシリンダは、前輪の向きを変える部品です。クボタの前車軸受は、前輪の車軸を支える所にあります。
一方、クボタのトップリンクと油圧シリンダは、後ろの作業機を上げ下げする部分です。イセキのヨークは、作業機に力を伝える軸のつなぎ目にあります。
後ろの作業機の傾きの合わせ方も知りたい方は、トラクターのモンロー調整のしかたもあわせてご確認ください。
ただし、グリスアップ箇所が全部で何か所あるかを示した公式の資料は、見当たりませんでした。クボタのよくある質問も、ニップルの位置は機種ごとに異なるので、取扱説明書で確かめるよう案内しています。
ですから、この表は「ここにもあるかもしれない」と探すための手がかりとして使ってください。取扱説明書の図とトラクターを見比べ、ニップルに印を付けておくと、次から迷いません。
ヤンマーのセルフチェックも、グリスアップ箇所は型式で違うので、取扱説明書で確かめるよう書いていました。3社とも、最後は取扱説明書に戻ってくる形です。
作業機とつなぐ軸の手入れで迷う方は、トラクターのユニバーサルジョイントのグリスアップ手順もあわせてご確認ください。
周期は50時間ごと、ヤンマーは「または1年」

グリスアップの周期は、クボタもヤンマーも50時間ごとでした。2社の数字がそろっているので、まずは50時間を基本に考えて大丈夫です。
ただし、細かな決め方には違いがあります。資料ごとの周期を表にまとめました。
| 資料 | 周期 | 補足 |
|---|---|---|
| クボタ KLシリーズ取扱説明書 | 50時間ごと | 泥水に入った日は作業のあとに必ず |
| クボタ KLシリーズ(パワクロ仕様) | 30時間ごと | クローラの足回り |
| ヤンマー セルフチェック | 50時間または1年 | どちらか早いほう |
また、クボタの別のシリーズの取扱説明書でも、前輪ケースサポートや前車軸受のグリスは50時間ごとでした。機種が変わっても、50時間という数字はそろっています。
時間は、アワーメーター(エンジンを回した時間を示す計器)で数えます。前回グリスアップしたときの数字を、取扱説明書の点検表の余白に書いておくと便利です。
1日5時間の作業なら、10日で50時間に届きます。忙しい時期は、思ったより早く次の周期が来ます。
さらに、クボタの取扱説明書では、パワクロ仕様のメーターがグリスアップの時期を表示で知らせる仕組みも説明されていました。表示が出たら、グリスアップのあとにリセットする流れです。
一方、ヤンマーの「または1年」には、使う時間が少ない機械を取りこぼさない意味があります。たとえば、1年に30時間しか乗らないなら、50時間を待つと2年近く空いてしまいます。
そこで、1年に1回は必ず入れる、と決めておけば安心です。季節の作業を始める前など、毎年同じ時期に組み込むと忘れにくくなります。
もちろん、ここに挙げた周期は、資料に載っている機種での数字です。お手元のトラクターの周期は、取扱説明書の定期点検の表で確かめてください。
代かき・泥水の日は、50時間を待たず作業後に
代かきなどで泥水に入った日は、50時間を待たず、その日の作業が終わったら入れます。クボタKLシリーズの取扱説明書は、50時間と30時間の両方の項目に、この一文を添えていました。
代かきは、田んぼに水を張って土をかき混ぜ、平らにならす作業です。前輪もロータリも、泥水につかったまま長い時間動き続けます。
50時間の項目にも30時間の項目にも同じ一文があるので、かじ取りの部品も足回りも対象です。泥水の日は、点検表のグリスアップの欄を全部回るつもりで考えます。
というのも、泥水の中では、軸のすき間に水と泥が入り込みやすいからです。グリースは、水やほこりの侵入を防ぐ役目も持っていました。
そこで、新しいグリースを押し込むと、すき間に入った水や泥を古いグリースと一緒に押し出せます。泥が残ったまま次の作業に出るより、軸にやさしい状態で終えられます。
また、ヤンマーも、作業のあとのお手入れとしてグリスアップを挙げていました。作動不良を防ぐため、タイロッドやセンターピンサポート、ドライブシャフトなどに入れるよう案内しています。
さらに、ヤンマーの建設機械のコラムは、念入りに給脂したい場面を挙げていました。洗車のあと、雨の中や軟弱地、泥水の中で作業したあとの4つです。
こちらも建設機械の資料ですが、水と泥がグリースの敵だという点はトラクターでも変わりません。田んぼの作業が続く時期は、「泥の日は毎回」と覚えておくと抜けにくくなります。
ちなみに、洗車のあとに入れるのは、水が入った直後に押し出すためです。ただ、クボタは別の資料で、土が付いたままの高圧洗浄はオイルシールの寿命を縮めるとも書いていました。
そのため、高圧の水を軸の付け根に直接当てるのは控えたほうが無難です。泥を落としてから、グリスアップで水を押し出す順番にすると、軸受けを守りやすくなります。
パワクロ(クローラ)の転輪と揺動部は30時間ごと

クローラ(ゴムの帯で走る足回り)のトラクターは、足回りに30時間ごとの項目があります。タイヤで走るトラクターなら、この節は読み飛ばしてもかまいません。
まず、クボタKLシリーズの取扱説明書では、パワクロ仕様に30時間ごとのグリスアップが書かれていました。パワクロは、クボタのクローラ仕様のトラクターの呼び名です。
入れる量の目安は、パイプとフレーム、またはパイプとザガネのすき間からグリースが出るまででした。ザガネは、座金(ワッシャー)のことです。
さらに、転輪と遊輪は、フクロナット(先が閉じた袋状のナット)を外すと、中にグリースニップルがあると書かれていました。ナットを付けたままでは見えないので、見落としやすい場所です。
一方、イセキのイージーセルフチェックBOOK トラクタ編にも、クローラ仕様の項目がありました。揺動支点のケースにあるニップルから入れ、シャフトからグリースが湧き出すまで入れる、という書き方です。
ホイール仕様とクローラ仕様の両方がある型式では、取扱説明書の中で項目が分かれていることがあります。表紙や仕様の欄で、ご自分の機械がどちらかを先に確かめておくと探しやすくなります。
加えて、使うグリースはリチウム系の一般的なグリースとされていました。クボタは推奨のグリースを指定しているので、指定は機械ごとに確かめます。
クボタの取扱説明書で30時間ごとの項目は、パワクロ仕様の足回りでした。前車軸受やトップリンクなど、ほかの箇所は50時間ごとの項目に入っています。
このように、クローラの足回りは、泥と水を最もかぶる場所です。だからこそ、タイヤの機械より短い30時間という周期が設けられていると考えられます。
また、代かきで泥水に入った日は、クローラでも作業のあとに入れるのはタイヤの機械と同じです。足回りは泥が固まりやすいので、先に泥を落としてからニップルを探してください。
なお、クローラの形や部品の名前は、メーカーと型式で違います。お手元の取扱説明書の、足回りの点検のページで位置を確かめてください。
トラクターのグリスアップの手順と、どこまで入れるか
後半では、用意するものと作業の手順を確かめます。そのうえで、どこまで入れれば止めてよいか、入らないときにどうするかを見ていきます。
用意するもの|取説指定のグリースと手動のハンドガン
用意するものは、取扱説明書が指定するグリースと、手動のグリースガンです。ほかに、ニップルを拭くウエス(汚れを拭く布)があれば足ります。
まず、グリースは取扱説明書の指定に合わせます。クボタKLシリーズの取扱説明書は、極圧万能のクボタ純グリース№2を推奨していました。
しかも、手に入らない場合は、取扱説明書に挙がっている銘柄か、JCMAS GK規格品を使うよう書かれていました。JCMASは、建設機械用の油脂の規格です。
一方、ヤンマーのよくある質問は、ドライブシャフトなどには万能グリスを使うよう案内していました。そのうえで、取扱説明書に指定があれば、指定のグリスを使うとしています。
さらに、イセキの資料では、クローラの揺動支点にリチウム系の一般的なグリースとされていました。このように、指定の書き方はメーカーで違うので、他社の情報をそのまま当てはめないのが無難です。
取扱説明書には、クボタ純グリース№2のように、銘柄と番号がセットで書かれています。番号はグリースの硬さを表す数字なので、店で選ぶときは番号まで合わせます。
加えて、種類の違うグリースは混ぜないようにします。グリースの会社の協同油脂も、異なるグリースの混合は避けるよう案内しています。前に何を入れたか分からないときは、取扱説明書の指定のものに戻すのが確実です。
次に、グリースガンです。クボタKLシリーズの取扱説明書は、グリースポンプに手動のハンドガン式を使うよう書いていました。高圧のエアーポンプ式は使わない、とはっきり添えられています。
そのため、ガンはレバーを手で握って押し出す手動のものを選びます。どのグリスとグリースガンを買えばいいか迷っている方は、トラクターのグリスのおすすめと選び方もあわせてご確認ください。
ちなみに、クボタのよくある質問では、市販のグリースはメーカー保証の対象外になるため推奨していません。保証期間中の機械は、純正を選ぶと安心です。
作業の手順|止めて、拭いて、押し込んで、拭き取る

グリスアップは、止めて、拭いて、押し込んで、拭き取るの4つの手順で進めます。どの手順も難しくはありませんが、最初の「止める」を省かないことが大切です。
まず、作業を始める前に、機械を安全な状態にします。イセキの資料とヤンマーのコラムは、給脂や点検の前にやることとして、次の項目を挙げていました。
- エンジンを止める
- 駐車ブレーキをかける
- 作業機を地面に下ろし、油圧をロックする
- 明るく平らで、地面の硬い広い場所で行う
また、ヤンマーの建設機械のコラムも、作業機を地面に下ろし、エンジンを止めてから給脂するよう書いていました。作業機が上がったままだと、下にもぐったときに危険だからです。
作業機の上げ下げや水平の動きがおかしい方は、トラクターの自動水平が効かないときの確認順もあわせてご確認ください。
クボタのユニバーサルジョイントの解説も、作業時の注意として、エンジンを止めて駐車ブレーキをかけるよう書いていました。ヨーク(ジョイントのつなぎ目)には指を入れないよう、注意も添えられています。
次に、ニップルの先を拭きます。同じコラムは、グリースニップルを清掃してから給脂するよう書いていました。先に付いた泥や砂を、新しいグリースと一緒に押し込まないためです。
そして、ガンの口金をニップルにまっすぐ当て、レバーを少しずつ握って押し込みます。斜めに当てると、グリースが横から漏れて、中まで入りません。
最後に、押し出された古いグリースを、ウエスできれいに拭き取ります。クボタのユニバーサルジョイントの資料も、ヤンマーのコラムも、この拭き取りを手順に入れていました。
というのも、はみ出したグリースをそのままにすると、泥やほこりが付いて固まりやすいからです。汚れがひどいときは、パーツクリーナで落とすようクボタは案内しています。
作業が終わったら、ガンの口金に付いた泥やグリースも拭いておきます。次に使うときに、汚れをニップルへ運ばないためです。
なお、ニップルの場所が分かりにくい機械は、1回目だけ取扱説明書の図を手元に置いて回るのがおすすめです。2回目からは、印を付けた順に回れば短い時間で終わります。
どこまで入れるか|にじみ出る・湧き出すが止めどき

止めどきは、古いグリースがすき間から押し出されて、新しいグリースが見えてきたときです。資料によって言い方は違いますが、指している状態はほぼ同じでした。
まず、クボタKLシリーズの取扱説明書は、前車軸受について具体的に書いていました。プラグを外し、グリースがにじみ出てくるまで注入する、という書き方です。
しかも、量の目安として、グリースガンで3〜4回と添えられていました。ただし、これは前車軸受の項目に書かれた数字なので、ほかの場所にそのまま当てはめないようにします。
一方、イセキの資料は、クローラの揺動支点について、シャフトからグリースが湧き出すまでとしていました。さらに、クボタのユニバーサルジョイントのグリースアップの解説では、古いグリースが押し出されたら補給完了としています。
つまり、「にじみ出る」「湧き出す」「押し出される」は、どれも古いグリースが外に出てくる合図です。新しいグリースの色が見えたら、そこで止めて拭き取ります。
では、入れすぎるとどうなるのでしょうか。トラクターについて、入れすぎの害を書いたメーカーの資料は、今回の調査では見当たりませんでした(2026年10月時点)。
とはいえ、田植え機では、ヤンマーが入れすぎによる不具合を書いています。グリスを多く入れすぎると、植付部の部品の動きが悪くなり、植付け不良が起きるという内容でした。
そのため、機械の種類を問わず、合図が出たら止めるのが無難です。押し出されないまま何十回も握るようなら、入れすぎを疑うより先に、入っていない原因を探します。
いくら握ってもグリースが出てこないときは、どこかで詰まっているか、ガンが空になっていることがあります。確かめる順番は、次の節でまとめました。
前車軸受では、先にプラグを外すと書かれていた点も見落としやすいところです。外したプラグは、入れ終わったら元に戻します。
ちなみに、田植え機の手入れもしている方は、田植え機のグリスの周期と入れすぎの注意もあわせてご確認ください。
入らないときの確かめ方と、お店に頼む費用

レバーを握ってもグリスが入らないときは、ガン、ニップルの先、ニップルそのものの順に確かめます。原因の多くは、この3つのどこかにあります。
まず、ガンの口金から、グリースが出ているかを確かめます。カートリッジを替えた直後は、中に空気が残って出にくくなることがあります。
次に、ニップルの先の汚れです。泥やさびで先がふさがっていると、ガンを当ててもグリースは中に入っていきません。
それでも入らないときは、ニップルの点検と交換です。クボタのユニバーサルジョイントの解説も、補充されない場合はグリースニップルの点検・交換を行うよう案内していました。
ただし、ニップルはねじの太さと山の間隔で種類が分かれています。ニップルを替えたいのにサイズが分からない方は、トラクターのグリスニップルのサイズの測り方もあわせてご確認ください。
一方、自分でやるのが難しい場合は、お店に頼む方法もあります。JAハイナン農機センターの料金表には、乗用トラクター(30馬力クラス以下)の欄に「各部グリースアップ」がありました。作業時間は0.4時間で、金額は2,640円です(税込)。
ただし、この金額は工賃だけで、部品代は含みません。出張してもらう場合は、出張料が一律1,650円かかります(🟡1つのJAの例・地域とお店で変わる)。
ニップルの交換が要る場合は、ニップルの代金が別にかかります。頼む前に、どこまでが工賃に入るかを聞いておくと安心です。
同じ料金表で、表にない作業は1時間あたり6,600円でした。0.4時間の2,640円は、この時間単価で計算した金額と一致します。
なお、この金額は2026年10月時点で公表されている料金表をもとにした目安です。実際の費用は、機種や作業の内容、依頼先によって変わるので、事前に見積もりを確かめてください。
もし、グリス切れから修理になったときの費用が気になる方は、トラクターの修理費用の相場もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
トラクターのグリスアップ箇所は、全部で何か所ありますか?
機種と型式で違うため、決まった数はありません。総数を示したメーカーの公式資料も、今回の調査では見当たりませんでした。クボタのよくある質問も、ニップルの位置は機種ごとに異なるので、取扱説明書で確かめるよう案内しています。点検表の図とトラクターを見比べて、ニップルに印を付けておくと迷いません。
エアー式のグリースガンを使ってもいいですか?
クボタKLシリーズの取扱説明書は、手動のハンドガン式を使い、高圧のエアーポンプ式は使わないよう書いています。使える道具は機種で違うことがあるので、お手元の取扱説明書で確かめてください。
洗車や雨のあとにも、グリスアップしたほうがいいですか?
ヤンマーの建設機械のコラムは、洗車のあとや雨の中、泥水の中で作業したあとは念入りに給脂するよう書いています。トラクターでも、クボタKLシリーズの取扱説明書は、泥水に入った日は作業のあとに必ずグリスアップするとしています。ただし、クボタは、土が付いたままの高圧洗浄はオイルシールの寿命を縮めると書いています。軸の付け根に強い水を当てるのは控えます。
冬のあいだ、しまう前にもグリスアップしますか?
クボタは、長く使わないトラクターをしまうときのメンテナンスとして、しゅう動部のグリースアップを挙げています。ヤンマーも、長く保管するときは、さびやすい部分に防さび油やグリスを塗るよう案内しています。しまう前に入れておけば、春の作業をそのまま始められます。
【まとめ】トラクターのグリスアップは、取説の点検表から始める
ここまで解説したとおり、トラクターのグリスアップは、場所と周期を取扱説明書で確かめるところから始まります。最後に、押さえておきたい点を整理しておきます。
- グリスアップ箇所はメーカーと型式で違うので、取扱説明書の点検表で確かめる
- 周期は50時間ごとが基本で、ヤンマーは「または1年」の早いほう
- 泥水に入った日は、50時間を待たず作業のあとに入れる
- クローラの足回りは、クボタのパワクロ仕様で30時間ごと
- 手動のガンで、古いグリースがにじみ出たら止めて拭き取る
この5つのうち、見落としやすいのが3番の泥水の日です。50時間の点検表には出てこない例外なので、田んぼの作業が続く時期は特に気を付けてください。
そして、止めどきは回数ではなく、古いグリースが出てきたかで決めます。入らないときは、ガン、ニップルの先、ニップルの順に確かめれば、原因を絞り込めます。
まずは、お手元の取扱説明書の定期点検のページを開き、グリスアップの欄に印を付けるところから始めましょう。場所と周期が分かれば、あとは50時間ごとに回るだけです。
なお、この記事の金額は2026年10月時点で公表されている内容をもとにした目安です。依頼先や地域によって変わります。
グリスアップの場所や周期、使うグリースは、必ずお手元のトラクターの取扱説明書に従ってください。判断に迷うときは、メーカーの販売店やJAの農機センターにご相談ください。