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グリースニップルのJIS規格で決まっているねじは、M6×0.75とR1/8の2つだけでした。
2026年10月に、編集部がJIS B 1575の寸法の表を開いて確かめた結果です。
ところが、通販の棚にはM6×1.0やM8×1.25、M10×1.0のニップルも並んでいます。同じ6mmでも、山の間隔が違えば奥までねじ込めません。
ニップルが折れた、グリスが入らなくなった。替えを買いたいのに、取扱説明書にはねじのサイズが書いていない。
そんな方に向けて、トラクターのグリスニップルのサイズの調べ方と、買い方と替え方を整理した記事です。
結論から言うと、外したニップルをノギスとピッチゲージで測るのが確実です。純正品を頼むなら、型式と製造番号を伝えて販売店で調べてもらいます。

この記事で分かることは、次の4つです。
- グリスニップルのサイズとは何を指すのか
- JISのねじと、市販品に多いねじの違い
- ノギスとピッチゲージで測る手順と、純正品の調べ方
- 値段と替え方、グリスが入らないときの確かめ方
どれも規格の原文やメーカーの資料、JAの料金表で確かめた内容です。金額には時点と税の扱いも添えています。
トラクターのグリスニップルのサイズはどう調べる?
前半では、ニップルのサイズが何を指すのかを確かめます。そのうえで、JISのねじと市販品のねじの違い、測り方と純正品の調べ方を見ていきます。
ニップルのサイズとは、ねじの太さと山の間隔のこと

まず、グリスニップルの形を確かめておきます。ニップルは、グリースガンの先を押し当ててグリスを送り込む、小さな口金です。
上から順に、ガンの先がはまる頭、スパナをかける六角、機械にねじ込むねじの3つでできています。頭の中には小さな鋼球が入っていて、ごみが入るのを防ぎ、グリスを中に閉じ込めています。
このうち、サイズが違うのは主にねじです。グリースガンの専門メーカーのヤマダは、グリースガンの取扱説明書で頭の形に触れています。ニップルの頭は、JISやSAE、DINなど各国で共通だという説明です。
さらに、グリースガンのJIS規格(JIS B 9808)も、ガンの口金はJISのニップルに合う構造にするよう定めています。つまり、ニップルを替えるたびにガンの口金まで替える必要は、基本的にありません。
ヤマダは別の解説でも、A型・B型・C型のニップルは、どれも注入口の寸法が同じだと書いていました。形が違っても、ガンの先が当たる部分はJISでそろっているわけです。
ただし、ヤマダは、最近はこの規格に合わない寸法もあるので確かめるよう注意しています。頭が合わないと感じたら、無理に押し付けずに口金とニップルの両方を見直します。
では、ねじのサイズは何で決まるのでしょうか。見るのは、ねじの太さと、山の間隔の2つです。
太さは、ねじの外側の直径のことです。M6なら約6mm、M8なら約8mmで、Mはメートルねじを表します。
山の間隔は、ピッチと呼ばれます。M6×0.75なら、山と山の間が0.75mmという意味です。
たとえば、同じM6でも、ピッチ0.75と1.0の2種類が売られています。太さが同じでも、山の間隔が違えば奥までねじ込めません。
加えて、六角の幅もサイズを見分ける手がかりになります。六角の向かい合う面の距離のことで、二面幅とも呼ばれます。
なお、六角の幅は、交換のときに使うスパナの大きさにも関わります。外す前に測っておくと、工具をそろえるときにも役立ちます。
JISで決まっているねじは、M6×0.75とR1/8の2つ

次に、規格を見ておきます。グリースニップルには、JIS B 1575という日本産業規格があります。
いまの版は2000年に改正されたもので、2021年に見直しの確認を受けています。対象は、一般機械や自動車、船舶などに使うニップルです。
この規格は、ニップルを形で5つに分けています。そのうえで、形ごとにねじの呼びと寸法を決めていました。
| 形 | ねじ | 六角の幅 | 従来の呼び方 |
|---|---|---|---|
| 1形 平行ねじ立形 | M6×0.75 | 7mm | A−M6F形 |
| 2形 テーパねじ立形 | R1/8 | 10mm | A−PT1/8形 |
| 3形 45°エルボ形 | R1/8 | 10mm | ― |
| 4形 65°〜67.5°エルボ形 | R1/8 | 10mm | B形 |
| 5形 90°エルボ形 | R1/8 | 10mm | C形 |
つまり、JISの表に載っているねじは、M6×0.75とR1/8の2つです。立形のうち1つだけがM6×0.75で、残りの4つの形はすべてR1/8でした。
M6×0.75は、メートル細目ねじと呼ばれる種類です。一方、R1/8は管用テーパねじという種類で、先に行くほど少しずつ細くなっています。
エルボ形は、頭が斜めや横を向いた形のことです。ねじは立形と同じR1/8なので、形だけを選び分けられます。
ちなみに、店では今もA型・B型・C型という呼び方がよく使われています。A型はまっすぐな立形、B型は67.5度、C型は90度を指すのが一般的です。
また、JISはニップルの材料を鋼か黄銅と決めています。3.5MPaの圧力でもグリスが漏れない構造であることも求めていました。
試験の方法も決められています。チャック式のノズルを付けて約3MPaと約20MPaでグリスを送り、流れ方や鋼球の動きに異状がないかを見る試験です。
加えて、JISは、ニップルの周りの空間についても定めていました。外径18mmのガンのノズルを、少なくとも1つの方向へ25度まで傾けられる空間が必要だとしています。
つまり、周りに部品が迫っていてガンの先が入らない場所では、角度付きの形が役に立ちます。ねじが同じR1/8なら、立形から角度付きへ選び替えることもできます。
なお、ニップルの形の違いやグリスの種類は、田植え機の記事でも詳しく整理しています。田植え機のグリスの選び方と入れすぎの注意もあわせてご確認ください。
市販品のM6×1.0・M8・M10は、山の間隔で別物
では、店に並ぶM6×1.0やM8は何なのでしょうか。これは、JISの表にはないものの、メーカーが作っている市販のニップルです。
たとえば、栗田製作所のA型のニップルは、M5からM12まで多くのサイズをそろえていました。M6×0.75、M6×1.0、M8×1.0、M8×1.25、M10×1.0などです。
ここで知っておきたいのが、並目と細目の違いです。同じ太さのねじには、標準の山の間隔と、それより細かい間隔があります。
標準のほうを並目、細かいほうを細目と呼びます。並目のピッチは、M6が1.0、M8が1.25、M10が1.5です。
つまり、M6×1.0とM8×1.25は並目で、M6×0.75とM8×1.0は細目です。同じ太さでも、並目と細目は互いにねじ込めません。
| ねじ | 太さの目安 | 山の間隔 | 種類 |
|---|---|---|---|
| M6×0.75 | 約6mm | 0.75mm | 細目(JIS) |
| M6×1.0 | 約6mm | 1.0mm | 並目 |
| M8×1.0 | 約8mm | 1.0mm | 細目 |
| M8×1.25 | 約8mm | 1.25mm | 並目 |
| M10×1.0 | 約10mm | 1.0mm | 細目 |
| R1/8(旧PT1/8) | 約9.7mm | 25.4mmに28山 | 管用テーパ(JIS) |
次に、R1/8についてです。古い資料や商品名では、PT1/8と書かれていることがあります。
継手などのメーカーのオーミヤは、ねじの解説で、PTとあればR、PFとあればGと読み替えるよう説明していました。PTは管用テーパねじ、PFは管用平行ねじの古い記号です。
一方、海外製の機械には、NPTというアメリカのねじが使われていることがあります。ねじ工具メーカーのヤマワは、PTとNPTは代用できないと説明しています。
実は、NPTは山の角度が60度で、JISの管用ねじの55度とは違います。見た目が似ていても、輸入の作業機ではねじの規格から確かめる必要があります。
なお、六角の幅も、ねじによって変わります。栗田製作所のA型では、M6が7mm、M8とM10とR1/8が10mmでした。
ねじの長さも、サイズごとに違います。同じA型で、M6は5mm、M8は5.5mm、M10は9mmでした。
ねじの長さが元と違うと、奥で当たったり、浅くしか掛からなかったりします。買う前に、古いニップルのねじの長さも見比べておくと安心です。
ただし、同じねじでも、メーカーや形によって六角の幅が違う品があります。たとえば、エスコのM10×1.0の品は、六角の幅が11mmでした。
ノギスとピッチゲージで測る手順

では、手元のニップルのサイズは、どう測ればよいのでしょうか。いちばん確実なのは、外して実物を測る方法です。
使う道具は、ノギスとピッチゲージの2つです。ピッチゲージは、山の間隔ごとの歯形が並んだ薄い板の束で、ねじに当てて合うものを探します。
まず、ニップルの周りの泥や古いグリスを拭き取ります。汚れたまま外すと、穴の中にごみが入りやすくなるからです。
次に、六角にスパナをかけて、ニップルを外します。外したら、ねじの部分をパーツクリーナーなどできれいにしておくと、測りやすくなります。
そして、ノギスでねじの外側の直径を測ります。オーミヤの解説も、ねじの外径をノギスで測ってからピッチを測る順番を勧めていました。
ノギスで約6mmならM6、約8mmならM8、約10mmならM10の候補です。約9.7mmなら、R1/8の候補になります。
続いて、ピッチゲージを当てて、山の間隔を測ります。モノタロウのピッチゲージの解説も、寸法の分からないねじに当てて、目で見て読み取る道具と説明しています。
M6なら、0.75か1.0かを見分けるのがいちばん大事な点です。歯形がすき間なくぴったり合うものが、そのねじのピッチです。
もし、どれもぴったり合わないときは、インチのねじかもしれません。インチ用のピッチゲージは、25.4mmあたりの山の数で読みます。
加えて、ねじの先が少し細くなっていないかも見ます。先に行くほど細ければテーパねじで、測る位置によってノギスの値が変わります。
ちなみに、管用ねじの1/8は、テーパのRも平行のGも、25.4mmに28山で外径は約9.7mmです。計測機器メーカーの長野計器の技術資料に、この寸法が載っていました。
そのため、R1/8かG1/8かは、太さと山の数だけでは決められません。根元から先へ向かって細くなっているかを、ノギスで何か所か測って確かめます。
最後に、六角の幅をノギスで測っておきます。ねじと六角の幅、形の3つが分かれば、同じ品を探しやすくなります。
ノギスは閉じてゼロを確かめ、斜めに当てないようにします。強く挟みすぎると、値がずれることもあります。
純正の品番は、型式と製造番号を伝えて販売店で
一方、測る前に純正品の情報を知りたい方もいるでしょう。ところが、メーカーはニップルのねじのサイズを、ほとんど公開していません。
実際に、クボタKLシリーズの取扱説明書を開くと、ニップルの場所の図は多く載っていました。しかし、ねじのサイズの記載は見当たりませんでした。
また、クボタのよくある質問は、ニップルの位置は機種ごとに異なると答えています。イセキの乗用田植機の点検資料も、グリースを入れる箇所は機種や型式で異なると書いていました。
そのため、純正品を調べるときは、販売店に聞くのが確実です。クボタのよくある質問は、部品番号はクボタのお店に問い合わせるよう案内しています。
その際は、製品の型式と、製造番号(車台番号)を手元に用意するよう書かれていました。電話の前に、2つを書き留めておくと話が早く進みます。
また、クボタの部品は、近くのクボタの販売店かJAで買えるとしています。在庫がない部品は取り寄せになり、日数がかかることもあるそうです。
加えて、販売を終えてから年数が経った製品は、部品の供給が終わっている場合もあるとしています。古いトラクターでは、純正にこだわらず市販品で合わせる場面も出てきます。
ちなみに、部品の価格は、販売店ごとに決められているとクボタは説明しています。メーカーに聞いても値段は答えてもらえないので、買う店で確かめます。
なお、消耗部品の一部は、取扱説明書や消耗部品早見表検索でも確かめられるそうです。ただし、ニップルが載っているかは型式によって違います。
実は、質問サイトでも、クボタのトラクターのニップルのサイズを尋ねる投稿が見られました。2025年の投稿で、回答では、今付いているものを外せば分かると書かれていました。
つまり、純正の情報は販売店で、手元のサイズは実物で確かめるのが近道です。2つを組み合わせれば、買い間違いをかなり減らせます。
トラクターのグリスニップルのサイズが分かったら、どう買って替える?
後半では、サイズが分かったあとの買い方と替え方を見ていきます。グリスが入らないときの確かめ方と、お店に頼む費用も整理しました。
買う前に決める3つと、通販の値段

まず、買う前に決めるのは、ねじと形と数の3つです。ねじは、前の章で測った太さとピッチで決まります。
形は、まっすぐな立形か、斜めや横を向いた角度付きかです。元と同じ形を選ぶと、ガンの先の当て方を変えずに済みます。
数は、替えたい本数より少し多めにしておくと安心です。袋の入り数は、1個から10個、100個までさまざまでした。
では、値段はどれくらいでしょうか。2026年10月にモノタロウで、栗田製作所のA型の10個入りの値段を確かめました。
| 品 | 入り数 | 値段 |
|---|---|---|
| 栗田 A型 M6×0.75/M6×1.0 | 10個 | 各813円 |
| 栗田 A型 R1/8(JIS型) | 10個 | 1,208円 |
| 栗田 A型 M8×1.25 | 10個 | 2,088円 |
| 栗田 A型 M8×1.0 | 10個 | 2,638円 |
| 栗田 A型 M10×1.0 | 10個 | 3,298円 |
| TRUSCO A型 M6×0.75/M6×1.0 | 5個 | 各516円 |
つまり、1個あたりでは数十円から300円台です。グリスニップルは、部品の中でもかなり安い消耗品といえます。
ただし、同じ品でも店によって値段は違います。TRUSCOのM6×1.0の5個入りは、モノタロウで516円、アストロプロダクツで506円でした(どちらも税込)。
一方、サイズがどうしても分からないときは、詰め合わせのセットという選び方もあります。たとえば、エスコのM6からM10までの110個入りのセットは、5,918円でした。
ただし、セットは使わないサイズも多く入っています。1本だけ替えたいなら、測ってから単品の袋を買うほうが安く済みます。
また、JISのねじかどうかも、選ぶときの目安になります。TRUSCOの商品名では、M6×0.75とR1/8、R1/4にJISタイプの表記があり、M6×1.0にはありませんでした。
R1/8の品は、TRUSCOの5個入りが703円でした。エスコの67.5度の角度付きは、5個入りで754円です。
なお、材質は、黄銅と鋼の2つが主です。元のニップルと同じ材質を選んでおけば、まず問題はありません。
一方、後輪の付け根から油が漏れたときの修理は、JAの料金表で88,000円からでした。部品代と油代は別なので、トラクターの後輪のオイル漏れ費用もあわせてご確認ください。
もし、ニップル以外の修理費も比べておきたい方は、トラクターの修理費用の相場もあわせてご確認ください。
交換は、掃除してから外し、締めすぎない
次に、交換の流れです。基本は、古いニップルを外して、同じサイズの新しいものをねじ込むだけです。
まず、周りの泥や砂を落とします。ヤマダも、ニップルに泥や砂が付かないよう、確かめて掃除するよう書いていました。
次に、六角の幅に合うスパナで、古いニップルを外します。JISの寸法なら、M6×0.75は7mm、R1/8は10mmのスパナが合います。
外した穴は、ごみが入らないよう布などで覆っておきます。そのあいだに、新しいニップルのねじの向きと長さを、古いものと見比べます。
そして、新しいニップルを手で回して入れます。手で数回まわらないときは、ねじが合っていないか、斜めに入っているかのどちらかです。
最後に、スパナで締めます。個人の修理の記録では、グリスの注入口は締めすぎると折れると注意していました。
ただし、締め付けの強さの数値は、メーカーの資料では見つかりませんでした。力加減に迷うときは、販売店に任せるのも手です。
ちなみに、R1/8のようなテーパねじは、先が細くなっている分だけ、ねじ込むほどきつくなります。工具メーカーのOSGも、テーパのおねじはどこかで必ず止まると説明していました。
また、角度付きのニップルは、頭の向きを合わせる必要があります。ガンの先を当てやすい向きで止められるか、締める前に確かめておきます。
なお、折れたニップルのねじが穴に残ったときは、無理に掘り出さないほうが安全です。穴のねじ山を傷めると、修理の範囲が広がってしまいます。
グリスが入らないときは、ニップルとガンを順に確かめる

一方、サイズは合っているのに、グリスが入らないこともあります。そのときは、ガン、ニップル、使い方の順に確かめます。
まず、グリースガンからグリスが出るかを見ます。草刈機などの農業機械メーカーのオーレックは、ガンにエアが入った状態ではグリスがうまく出ない場合があると説明していました。
次に、ニップルの先の汚れを拭き取ります。ヤマダも、レバーの動きがいつもより重いときはニップルを点検するよう書いています。
それでも入らないときは、ニップルの交換を考えます。クボタのユニバーサルジョイントの解説も、グリスが補充されない場合はニップルの点検と交換を勧めていました。
実際に、質問サイトでは、外したニップル単体にグリスが通るか試す方法も紹介されています。単体で通らなければ、ニップルの中が固まっているということです。
ちなみに、2010年の質問サイトには、こんな相談もありました。ピッチゲージで測って同じサイズに替えたのに、脇からグリスがはみ出すというものです。回答では、ニップルではなく、中のグリスが硬くなっている見方が挙げられていました。
そして、ガンの種類も見直します。クボタKLシリーズの取扱説明書は、手動のハンドガン式を使うよう書いていました。
さらに、同じ取扱説明書は、高圧のエアーポンプ式は使わないよう求めています。入らないからといって、強い圧力で押し込むのは避けましょう。
手動のグリースガンの選び方は、トラクターのグリスとグリースガンの選び方で、400gのカートリッジが入る型を比べています。
場所によっては、ニップルがふだん隠れていることもあります。クボタKLシリーズのパワクロ仕様では、転輪と遊輪のフクロナットを外すとニップルが出てくると書かれていました。
加えて、前車軸受のように、プラグを外してから入れる場所もあります。この取扱説明書では、グリスがにじみ出てくるまで、ガンで3〜4回入れるよう書いていました。
なお、ジョイントのニップルにグリスを入れる手順は、別の記事で整理しています。トラクターのユニバーサルジョイントのグリスアップもあわせてご確認ください。
50時間ごとのグリスアップと、お店に頼む費用

最後に、グリスを入れる時期と、頼んだときの費用です。クボタKLシリーズの取扱説明書は、グリスの注入を50時間ごとの点検に入れていました。
また、ヤンマーも、グリスアップを50時間または1年のどちらか早い時期に行うよう案内しています。2つのメーカーで、50時間という目安がそろっていたわけです。
加えて、クボタの取扱説明書は、代かきなどで泥水に入った日は、作業の後に必ずグリスアップするよう書いていました。グリスには、極圧(万能)グリースのクボタ純グリース№2を指定しています。
また、純正のグリースが手に入らない場合は、JCMAS GK規格の品などを使うよう書いていました。グリスを買うときは、袋や缶の規格の表示も確かめておきます。
では、どこに入れるのでしょうか。ヤンマーは、タイロッドやセンターピンサポート、ドライブシャフトなどを挙げています。
また、クボタKLシリーズのパワクロ仕様では、揺動軸と転輪・遊輪へのグリスの注入が30時間ごとでした。同じトラクターでも、場所によって間隔が違うということです。
とはいえ、実際にはグリスアップが足りていない機械も少なくありません。日本農業機械化協会の点検の報告では、乗用トラクターの1割弱で、注油やグリスアップが不十分とみられていました。
では、お店に頼むといくらかかるのでしょうか。JAハイナンの料金表では、各部のグリースアップが0.4時間で2,640円でした。30馬力以下のトラクターの、税込の工賃のみの金額です。
さらに、出張してもらうと出張費が1,650円かかります。部品や油脂の代金は、多くのJAで工賃とは別の実費です。
一方、JA全農の資料には、コンバインのクローラの転輪の例がありました。グリスを入れておけばグリス代1,000円で済むところが、故障して部品を替えると4万円を超えるという比較です。
ただし、この表の合計欄は42,000円ですが、内訳の部品代6万円と工賃3万6千円を足すと合いません。資料の中でも数字がそろっていないため、ここでは4万円を超える例として紹介します。
つまり、ニップル10個とグリス1本をそろえても、数千円で収まります。前輪まわりのグリスと油漏れの関係は、トラクターの前輪オイル漏れ修理の費用もあわせてご確認ください。
なお、JAの料金表は、組合や地域によって中身が違います。グリースアップの行がない表もあるので、頼む前に見積もりを取っておくと安心です。
もし、修理代がかさみ、直すか手放すか迷っている方は、動かないトラクターを手放す前の確認もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
クボタとヤンマーで、ニップルのサイズは同じですか?
メーカーは、ニップルのねじのサイズをほとんど公表していません。外したニップルをノギスとピッチゲージで測るか、型式と製造番号を伝えて販売店で調べてもらうのが確実です。
エアー式のグリースガンを使ってもいいですか?
クボタKLシリーズの取扱説明書は、手動のハンドガン式を使い、高圧のエアーポンプ式は使わないよう書いています。使えるガンの種類は機種で違うことがあるので、お手元の取扱説明書で確かめてください。
M6×0.75とM6×1.0を間違えて買ったら、使えますか?
山の間隔が違うので、奥までねじ込めません。無理に締めると、穴のねじ山を傷めるおそれがあります。手で数回まわらないときは、サイズを測り直して、合うものに買い直してください。
まっすぐなニップルを、角度付きに替えてもいいですか?
JISには、45度、65〜67.5度、90度の角度付きの形があります。ねじのサイズが同じものを選べば、ガンの先を当てやすい形に替える使い方もできます。周りの部品に当たらないかは、付ける前に確かめてください。
【まとめ】トラクターのグリスニップルのサイズは、測ってから買う
ここまで解説したとおり、トラクターのグリスニップルのサイズは、ねじの太さと山の間隔で決まります。最後に、買う前の流れを整理しておきます。
- ニップルのサイズは、頭ではなくねじで決まる
- JISのねじは、M6×0.75とR1/8の2つだけ
- ノギスで太さ、ピッチゲージで山の間隔を測る
- 純正品は、型式と製造番号を伝えて販売店で調べる
- グリスアップは50時間ごとが2つのメーカーの目安
この5つのうち、いちばん間違えやすいのが3番です。同じM6でも、0.75と1.0では別物なので、ピッチまで確かめてから買います。
そして、交換のときは締めすぎないことが大切です。細いニップルほど折れやすく、穴のねじ山を傷めると修理が大きくなります。
費用の見通しも整理しておきます。ニップルは10個で813円から、JAに各部のグリースアップを頼むと2,640円の例がありました。
一方、手入れを怠ると、コンバインで4万円を超える修理になる例もありました。まずは手元のニップルを1本外して、サイズを測るところから始めましょう。
なお、この記事の金額は2026年10月時点で公表されている内容をもとにした目安です。機種・年式・状態・地域・依頼先によって変わります。
グリスアップの場所や時期は、必ずお手元のトラクターの取扱説明書に従ってください。判断に迷うときは、メーカーの販売店やJAの農機センターにご相談ください。