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JAみなみ魚沼の農機センターの料金表には、トラクターの前輪オイルシール交換が44,000円からと書かれています。JA兵庫みらいの表では、前輪のオイル漏れ修理が33,000円以上です。
2026年9月時点で、JAの料金表を5件開いて確かめた結果です。
つまり前輪の修理は、後輪(同じ表で88,000円から)のおよそ半分で収まる見込みがあります。ただしどちらの表も、部品代と油脂代は別に加算すると書いています。
時間あたりの工賃も、確認した5件で6,600円から8,800円まで開いていました。同じ作業でも、頼む先で1.3倍ほど変わる計算です。
20年近く使った4WDの前輪の内側に、油のにじみを見つけた。エンジンオイルのほうは減っていない。
何が漏れているのか分からないまま、農機屋に電話するか迷っている。そんな場面でこのページを開いた方が多いと思います。
結論から言うと、前輪から出ている油の多くは前車軸ケース(フロントアクスル)のオイルです。ミッションオイルと同じ油で、33馬力(PS)クラスなら3.7L入っています。
そして原因になりやすいのが、縦軸と横軸のオイルシールです。クボタは、油漏れを見つけたら直ちにエンジンを止めるよう案内しています。

この記事で分かることは、次の4つです。
- 前輪のどこから漏れているか。縦軸と横軸という2か所のオイルシールと、エンジンオイルではない理由
- 放っておくと何が起きるか。メーカーが「直ちに停止」と書く理由と、農機店が挙げる水と泥の話
- 修理費の実額。JA2件の前輪オイルシール交換と、5件の時間単価、部品代とオイル代の内訳
- 自分でできる範囲。点検までは自分で、シール交換は業者に頼むという線引きと、直すか手放すかの考え方
トラクターの前輪オイル漏れ修理が要る理由|どこから漏れて、放っておくとどうなるか
ここからは、前輪から出ている油が何なのかを順番に見ていきます。
順番は、漏れている場所、漏れている油の正体、放置したときに起きること、自分で確かめる3つのこと、早く気づくための点検です。当てはまる見出しから読んでも大丈夫です。
どこから漏れているか|縦軸・横軸のオイルシールと3つのドレン

結論から言うと、前輪の油漏れの多くは前車軸ケースのオイルシールから出ています。場所は大きく2つ、縦軸側と横軸側です。
というのも、オイルシールは軸が回る部分に入っている部品だからです。クボタのよくある質問では、潤滑油の漏れを防ぐ役割と、外からほこりや土砂が入るのを防ぐ役割があると説明されています。
つまり軸が回るところには、たいていシールが入っています。前輪まわりで軸が2方向にあるので、漏れる場所も2か所に分かれます。
縦軸は、前輪が左右に切れるときに回る軸です。キングピンとも呼ばれ、タイヤの付け根の上下にあります。
横軸は、車輪が回る軸そのものです。ハブ軸とも呼ばれ、タイヤの中心にあります。
実際に、農機店の作業記録でもこの2つが出てきます。群馬農機商会は前輪の縦軸オイルシールの交換を、アグリあきたはクボタKL50の縦軸の漏れを取り上げています。
唐沢農機サービスの記録は、もう少し広い範囲に触れています。三菱MT1401Dのフロントアクスルの例です。ドレン(オイルを抜く栓)は、中央と左右のハブの下に3箇所ありました。
そして作業は、ハブを外し、ギヤをベアリングごとプーラー(部品を引き抜く工具)で抜き、オイルシールを交換する流れでした。あわせてキングピンのオイルシールも交換しています。
ちなみにアグリあきたは、縦軸と横軸の両方を交換するのが望ましいと書いています。片方だけ替えても、もう片方が近いうちに来るという考え方です。
ちなみに、呼び名も整理しておきます。前車軸ケース・フロントアクスル・前輪ギヤケースは、どれも同じ場所です。前輪の中に入っているギヤの箱を指します(🟡呼び方はメーカーや販売店で変わります)。
ですから農機屋に伝えるときは、「前輪の内側から油がにじんでいる」と場所で伝えるほうが確実です。縦軸か横軸かの切り分けは、外して見てからになります。
漏れているのは前車軸ケースのオイル|量と種類を取扱説明書で確かめる

結論から言うと、前輪から出ている油はエンジンオイルではありません。クボタの場合、ミッションオイルと同じスーパーUDT-2という純正オイルです。
というのも、取扱説明書の給油一覧表にそう書かれているからです。クボタは、ミッションオイルと前車軸オイルを同じ油種として記載しています。
そのため、エンジンオイルの量が減っていなくても不思議ではありません。別の系統の油だからです。
ただし量は機種で変わります。取扱説明書を開くと、33馬力のSL33-Tは3.7L、60〜70馬力のMR60〜70は9Lでした。
つまり同じ「前輪の油」でも、3.7Lの機械と9Lの機械があります。抜けきってしまったときの影響も、それだけ違います。
交換の周期も一覧表にあります。クボタもイセキも、前車軸まわりのオイル交換は600時間ごとです。
ですから「前回いつ替えたか分からない」という状態なら、漏れの有無にかかわらず量の確認が要ります。
| 型式(クボタ) | 前車軸まわりの容量 | 油種 | 交換の目安 |
|---|---|---|---|
| SL33-T(33馬力) | 前車軸ケース 3.7L | スーパーUDT-2 | 600時間ごと |
| SL33-K | 前車軸ケース 3.2L | スーパーUDT-2 | 600時間ごと |
| MR60・MR65・MR70 | 前車軸ケース 9L | スーパーUDT-2 | 600時間ごと |
| MR77・MR87・MR97 | 前輪デフケース 5〜6L+前輪ケース左右 各3.5L | スーパーUDT-2 | 600時間ごと |
| (参考)イセキ トラクタ | フロントアクスル | ― | 点検200時間・交換600時間 |
出典:クボタ トラクタSL33・MR60〜97 取扱説明書/イセキの点検整備ポイント(2026年9月確認)。🟡型式で異なるため、手元の取扱説明書でご確認ください。
ご自身の機械の数字は、手元の取扱説明書で確かめてください。クボタのよくある質問でも、オイルの容量は各製品の取扱説明書の「給・注油(水)点検一覧表」に載っていると案内されています。
もし説明書が見当たらなければ、メーカーのサイトで型式から探せます。型式が分からないときは、購入先に問い合わせるのが早道です。
オイルの種類ごとに何がいくらかかるのかを先に知っておきたい方は、トラクターのオイル交換費用の内訳もあわせてご確認ください。
放置するとどうなるか|メーカーが「直ちに停止」と書く理由

結論から言うと、メーカーの案内はかなりはっきりしています。クボタは、直ちにエンジンを停止し、以降の使用を避けるよう求めています。
理由は2つ挙げられていました。ひとつは火災の危険、もうひとつは作物やほ場に燃料やオイルがしみこんでしまうことです。
クボタ公式の「燃料漏れやオイル漏れが発生しているが、どうすればよいか。」を参照してみましょう。
もうひとつ、機械そのものへの影響もあります。群馬農機商会は、油漏れを放っておくと今度は外側から水や泥が入ってくる、と書いています。
ケースの中にはギヤとベアリングが入っています。油が減り、水と泥が入れば、傷むのはその中身です。
つまりシール1個の話が、ギヤやベアリングの話に広がります。そうなると、部品の数も工賃の時間も増えます。
確かに、農機店の温度感はメーカーほど強くありません。群馬農機商会は「痛む前に交換の判断を」、アグリあきたは「徐々に酷くなる」という書き方です。
アグリあきたの記録には、動いていないときは漏れず、前輪に負荷がかかったときに漏れるという症状も出てきます。使用1,200時間を超えたクボタKL50の例です。
ですから、にじみを見つけた日にその場で作業を止めるかどうかは、状態によります。ただし「様子を見る」を何シーズンも続ける前提の話ではありません。
取扱説明書にも、オイルもれがある場合は購入先で点検を受けるようにと書かれています。クローラ仕様の項目では、異常があればオイルシールを交換すること、とより具体的です。
判断に迷うときは、油の減り方を見るのが手がかりになります。にじむ程度なのか、駐機した下に落ちるのかで、急ぎ方は変わります。
そのうえで、最終的な可否はメーカーか販売店の判断に委ねてください。クボタも、漏れの場所と原因の特定には実機確認が必要だと書いています。
まず確かめる3つのこと|油の種類・減り方・漏れるタイミング
結論から言うと、農機屋に電話する前に確かめられることが3つあります。油の種類、減り方、漏れるタイミングです。
というのも、前輪のまわりには前車軸ケースのオイル以外の油も通っているからです。ブレーキの配管やステアリングの油圧も、同じあたりにあります。
実際に、知恵袋の回答でもここは割れていました。前輪車軸のにじみに対して、ブレーキ液かデフオイルかを回答者どうしで特定できていません。
まず1つ目は、油の種類です。エンジンオイルのゲージ、ミッションオイルの検油プラグ、前車軸ケースの検油プラグを順に見て、どれが減っているかを確かめます。
鹿児島県の日常点検資料は、トラクタを平らな地面に置いた状態で油量を点検するよう書いています。傾いた場所では、正しい量が読めません。
次に2つ目は、減り方です。同じ資料は、始動前に必ず機体の下に水・オイル・燃料の漏れた痕跡がないかを確認するよう求めています。
たとえば、駐機した下にダンボールを一晩敷いておく方法があります。落ちた量と場所が朝に分かるので、にじみか流れかの区別がつきます。
そして3つ目は、漏れるタイミングです。止めているときは出ないのに、作業して負荷がかかると出る、という出方があります。
アグリあきたのKL50の記録が、まさにその出方でした。ですから、どの場面で出るかも農機屋に伝える材料になります。
もう一点、場所そのものを疑う余地も残しておきたいところです。前輪の内側で見つけたつもりでも、上から伝ってきた油ということがあります。
農機屋に連絡する前に、控えておきたい3つ
- ① 油の種類:エンジンオイル・ミッションオイル・前車軸ケースのどれが減っているか(平らな地面に置いて点検する)
- ② 減り方:にじむ程度か、駐機した下に落ちるか
- ③ 漏れるタイミング:止めているときか、作業して負荷がかかったときか
あわせて型式とアワーメーターの数字も控えておくと、見積の話が早く進みます。
この3つを控えておくと、見積の話が早く進みます。前車軸ケースのオイルと決めつけないまま、事実だけを持っていくほうが話が早く進みます。
早く気づく仕組み|200時間ごとの油量点検と50時間ごとのグリス
結論から言うと、シールの寿命は日ごろの扱いで変わります。点検の周期と、グリスの周期を決めておくのがいちばん近道です。
理由は、取扱説明書に周期が書かれているからです。イセキはフロントアクスルのオイルを点検200時間ごと、交換600時間ごととしています。
クボタの取扱説明書には、グリスを差す箇所も出てきます。前輪ケースサポート、前車軸受の前と後、ステアリングジョイント軸などが50時間ごとです。
ヤンマーも、作業前点検の項目に「油漏れはありませんか」を入れています。つまり油漏れの確認は、特別な整備ではなく毎回の点検の一部です。
加えて、シールを傷めやすい作業も説明書に書かれています。
たとえばトレッド調整(輪距の調整)です。クボタの取扱説明書は、土が付着したまま行なうとオイルシールの寿命が低下する、と注意しています。
高圧洗浄についても、タイヤやオイルシールなどのゴム類を破損させるおそれがあるとしています。洗うときに近づけすぎない、というのが要点です。
ですから、格納前の洗車と、調整前の泥落としは分けて考えてください。取扱説明書の注意に沿った扱いになります。
ボルトのゆるみや空気圧の偏りも、点検表に入っています。片側の軸だけに負荷が寄れば、それだけシールに無理がかかります。
| 点検・注油の項目 | 周期 | 出典 |
|---|---|---|
| 前車軸(フロントアクスル)オイルの点検 | 200時間ごと | イセキ |
| 前車軸ケースオイルの交換 | 600時間ごと | クボタ・イセキ |
| 前輪ケースサポート・前車軸受などのグリス | 50時間ごと | クボタ |
| 油漏れの有無の確認 | 作業前ごと | ヤンマー・鹿児島県資料 |
| タイヤの空気圧 | 作業前・200時間ごと | イセキ |
出典:クボタ・イセキ・ヤンマーの点検資料および鹿児島県「農業機械の日常点検」(2026年9月確認)。
アワーメーター(稼働時間の計器)を見て、200時間と50時間の節目を控えておくと管理しやすくなります。カレンダーではなく時間で回すのが、取扱説明書の考え方です。
なお、前車軸のオイルはメーターのランプでは知らせてくれません。ランプで分かるのはエンジンオイルの油圧や水温などで、その見分け方はトラクターの警告灯の見分け方と対処にまとめています。
屋外に置いている機械はシールの劣化も早く進みます。農機具を雨ざらしにすると、どこから傷むのかもあわせてご確認ください。
トラクターの前輪オイル漏れ修理の費用と頼み方|JAの実額と自分で触れる範囲
ここからはお金の話です。JAの料金表に載っている実額から順に見ていきます。
順番は、前輪オイルシール交換の実額、見積の内訳、後輪との差、そして自分でできる範囲と手放す判断です。金額はすべて税込で、確認したのは2026年9月時点の表です。
JAの料金表で見る前輪オイルシール交換の実額|33,000〜44,000円〜
結論から言うと、前輪オイルシール交換の実額を公開しているJAは多くありません。今回開いた5件のうち、金額が載っていたのは2件でした。
JA兵庫みらいの料金表では、前輪のオイル漏れ修理が33,000円以上です。令和7年4月1日改定の表でした。
JAみなみ魚沼の農機センターでは、前輪オイルシール交換が44,000円からです。
ここで気をつけたいのが、「以上」と「〜」という書き方です。どちらも下限を示していて、上限ではありません。
実際に、両方の表とも部品代と油脂代は別に加算すると明記しています。JA兵庫みらいは「使用した部品代及び油脂代は実費を加算」と書いています。JAみなみ魚沼は「取付部品・油脂代・塗装代・板金代金は別途請求」です。
つまり33,000円や44,000円は、工賃の出発点にあたる数字です。実際の額は地域・機種・傷み具合で変わります(🟡あくまで目安としてご覧ください)。
時間単価のほうは、5件そろって確認できました。最も安い6,600円と最も高い8,800円では、1.33倍の開きがあります。
つまり同じ2時間の作業でも、工賃だけで4,400円の差になります。
加えて、時間外や休日の割増も表に書かれています。5件の実額と条件を、下の表にまとめました。
| JA(農協) | 時間単価(税込) | 前輪オイルシール交換 | 備考 |
|---|---|---|---|
| JAみなみ魚沼 | 8,800円 | 44,000円〜 | 後輪は88,000円〜 |
| JA東美濃 | 8,800円 | 記載なし | 時間外・休日は25%増し |
| JA兵庫みらい | 7,700円 | 33,000円以上(前輪オイル漏れ修理) | 部品代・油脂代は実費加算 |
| JA伊勢 | 6,600円 | 記載なし | 休日・就業時間外は8,250円 |
| JAハイナン | 6,600円 | 記載なし | 午後6時以降は30%割増 |
出典:各JAの2025〜2026年の料金表(2026年9月確認)。すべて税込・工賃で、部品代と油脂代は別途です。🟡地域・機種・傷み具合で変わるため、あくまで目安としてご覧ください。
ですから見積をもらったら、まず工賃と部品代が分かれているかを確かめてください。分かれていれば、他社の表と比べられます。
前輪以外の修理もいくらくらいか見比べたい方は、トラクターの修理費用の相場の目安もあわせてご確認ください。
見積の内訳|シール1個2,820円・工賃・オイル代・出張料

結論から言うと、見積は4つに分けて見ると分かりやすくなります。工賃、シールの部品代、オイル代、出張料です。
まず工賃は前の見出しのとおりで、33,000円以上または44,000円からが出発点です。ここに残りの3つが積み上がります。
次にシールの部品代です。クボタ純正の前輪縦軸オイルシールは、通販の表示で1個2,820円でした。
販売店では「左右同じ部品なので必要数を」と案内されています。つまり左右そろえれば2個分です。
ただしこれは通販の一例です(🟡クボタの部品は販売店・JA経由が基本で、価格は入手先で変わります)。
そして、オイル代も忘れずに見ておきたいところです。クボタ純正スーパーUDT-2の20L缶は26,300円から33,275円でした。
1Lあたりに直すと、およそ1,300〜1,700円です。もっとも実際は缶単位での購入になります(🟡残りは他の整備に回します)。
最後に出張料です。5件の表では1,650円から3,300円でした。
持ち込みができない場合は、引取・配達の料金が別に要ります。表では2,200円から6,600円ほどの幅がありました。
| 見積の内訳 | 金額の目安(税込) | 根拠 |
|---|---|---|
| 工賃 | 33,000円以上/44,000円〜 | JA兵庫みらい・JAみなみ魚沼の料金表 |
| 前輪縦軸オイルシール | 1個 2,820円(左右で5,640円) | クボタ純正 32721-56223・通販の表示価格 |
| 前輪ハブ軸オイルシール | 1個 3,450円 | クボタ純正 T0430-57340・通販の表示価格 |
| オイル(スーパーUDT-2) | 1Lあたり約1,300〜1,700円(3.7Lで約4,900〜6,200円) | 20L缶 26,300〜33,275円からの換算 |
| 出張料 | 1,650〜3,300円 | JA5件の料金表 |
| 引取・配達 | 2,200〜6,600円 | JA5件の料金表 |
出典:JA5件の料金表・クボタ純正部品およびオイルの販売店表示価格(2026年9月確認)。🟡部品とオイルの価格は入手先と時期で変わります。金額を足し合わせた合計は編集部の試算であり、実際の見積は依頼先にご確認ください。
後輪のオイル漏れは2倍|88,000円〜になる理由

結論から言うと、同じ料金表の中で後輪は前輪の2倍です。JAみなみ魚沼は、前輪44,000円から、後輪88,000円からと書いています。
この2つは同じ表の同じ改定日の数字です。ですから地域差や時期の違いではなく、作業そのものの重さの差だと読めます。
実際に、JAみなみ魚沼「農機センターの修理工賃表」でその並びを確認できます。
実は、差が出る理由は外す範囲にあります。JAハイナンの料金表には作業ごとの標準時間が載っていて、比べやすくなっています。
タイヤ1本を外すだけでも、後輪のほうが時間がかかります。後車軸シール・ベアリングの分解整備となると、標準4時間で26,400円です。
この26,400円と、みなみ魚沼の88,000円からは、比べる対象が違います。前者は工賃だけ、後者は部品代を別途とする作業料金です。
それでも、後輪の分解整備が4時間規模の作業だという点は共通しています。時間が長ければ、工賃も比例して上がります。
ちなみに、後輪の実額を公開していたのは5件のうちJAみなみ魚沼だけです(🟡1件のみの数字として見てください)。
いずれも工賃だけの金額です。奥に入るほど時間が伸び、工賃もそのまま伸びていきます。
| 作業(30馬力クラス以下) | 標準時間 | 工賃(税込・部品代別) |
|---|---|---|
| 前輪タイヤ交換 | 1時間 | 6,600円 |
| 後輪タイヤ交換 | 1.5時間 | 9,900円 |
| 後車軸シール・ベアリング分解整備 | 4時間 | 26,400円 |
| 湿式ブレーキ分解整備 | 8時間 | 52,800円 |
| 変速ミッション分解整備 | 16時間 | 105,600円 |
出典:JAハイナン農機センター「農機修理標準技術料金表」(2026年9月確認)。工賃のみで部品代・加工代は含みません。🟡機種と程度で変わります。
逆に言えば、前輪で止まっているうちに手を打つほうが、金額としては軽く済みます。にじみの段階と、ケースの中身が傷んだ段階では、見積の桁が変わります。
もちろん、前輪だから安心という話ではありません。前輪も後輪も、放置すればギヤとベアリングまで話が広がる点は同じです。
自分でできる範囲と、直すか手放すかの線引き

結論から言うと、自分でできるのは点検・補充・グリスアップまでです。オイルシールの交換は、業者に頼む作業だと考えてください。
理由は、作業の中身にあります。農機店の記録では、タイヤを外し、ハブを外し、ギヤをベアリングごとプーラーで抜いています。
そのうえで新しいシールを傷めないように入れ、液状ガスケットを塗って組み付けます。工具と場所と時間の3つが要ります。
さらに、安全面の理由も大きいところです。クボタの取扱説明書には、車止めや残圧の抜き方まで細かく書かれています。
自分で触る前に必ず確かめること
- エンジンを止めて、十分に冷えてから作業する(やけどのおそれ)
- 前輪タイヤの左右に車止めを確実に置く
- 油圧部品を外すときは、必ず残圧を抜く
- 小さな穴からの油漏れを探すときは、保護めがねを着け、手ではなくボール紙などを使う
いずれもクボタ トラクタMR60〜97取扱説明書に書かれている注意です。作業の可否は、必ず手元の取扱説明書でご確認ください。
確かに、個人でシールを交換した記録もインターネット上にはあります。ただし工具がそろっていて、失敗したときに自分で戻せる方の話です。
編集部としては、前輪のシール交換は販売店かJA(農協)に依頼する形をおすすめします。クボタも、漏れの場所と原因の特定には実機確認が必要だとしています。
そのうえで、直すか手放すかという判断が残ります。ここで見ておきたい数字が2つあります。
1つは補修用部品の供給年限です。日本農業機械工業会が機種別に定めていて、国産トラクタは製造打ち切りから12年とされています。
ただしクボタは、年限を過ぎた時点ですべての部品が一律に在庫切れになるわけではないと説明しています。ですから12年は期限ではなく目安で、まず販売店に在庫を確かめるのが先です。
もう1つは法定耐用年数です。農業用設備は一律7年で、平成21年分から機種を問わず同じ扱いになりました。🟡中古で取得した場合の計算や個別の判定は、税務署か税理士にご相談ください。
この2つと、目の前の見積を並べてみてください。前輪だけで数万円か、後輪や他の箇所も抱えているかで、答えは変わってきます。
修理して使い続けるか手放すかで迷っている方は、動かないトラクターの買取価格の目安もあわせてご確認ください。
田植え機のほうで植え付け部が動かなくなった方は、田植え機の植え付け部が動かないときの確認手順もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
見てもらっただけでも料金はかかりますか?
かかる場合があります。JA東美濃の料金基準表には、修理不可の場合でも整備料金を請求することがあると明記されています。
出張で来てもらうときは、これとは別に出張料が1,650〜3,300円ほどかかります(JA5件の表・2026年9月確認)。
あくまで目安ですので、依頼の前に見てもらうだけでいくらかかるかを確認しておくと確実です。
前車軸ケースに純正以外のオイルを入れてもいいですか?
メーカーは指定の純正オイルを使うよう案内しています。ヤンマーは、ミッションオイルが油圧オイルを兼ねているため必ず指定の純正オイルを使うよう書いています。
クボタの取扱説明書でも、ミッションオイルと前車軸オイルはスーパーUDT-2が指定です。
油種と量は型式で変わりますので、手元の取扱説明書か販売店でご確認ください。
耕うん機や管理機のオイルシール交換も同じくらいですか?
機種によって変わります。JAハイナンの料金表では、耕耘機・管理機の車軸オイルシール交換が1か所あたり標準1.5時間・9,900円です。
乗用トラクターの後車軸シール・ベアリング分解整備は標準4時間・26,400円なので、作業の規模が違います。
いずれも工賃のみで部品代は別です。あくまで目安としてご覧ください(2026年9月確認)。
自分で持ち込めば安くなりますか?
運搬にかかる分は抑えられます。JA兵庫みらいの表では引取搬送が積車5,500円・軽トラ2,200円、JA伊勢は引取納品が3,300〜6,600円です。
JA伊勢は、管外だと1.5倍になると書いています。
ただし工賃そのものは変わりません。持ち込みが可能かどうかも含め、依頼先にご確認ください。
【まとめ】トラクターの前輪オイル漏れ修理で押さえる5つの要点
前輪の内側のにじみは、放っておいて止まるものではありません。ただし前輪で止まっているうちなら、金額はまだ読める範囲にあります。
そして何が漏れているのかは、農機屋に行く前に手元で絞り込めます。ここまでの要点を5つにまとめます。
- 前輪の油漏れは前車軸ケースのオイルシールから。縦軸(キングピン)と横軸(ハブ軸)の2か所に分かれる
- 漏れているのはエンジンオイルではなくミッションオイルと同じ油。クボタはスーパーUDT-2で、33馬力クラスなら3.7L・交換は600時間ごと
- クボタは油漏れを見つけたら直ちに停止するよう案内。放置すると水と泥が入り、ギヤとベアリングまで傷む
- 前輪オイルシール交換の実額はJA2件で33,000円以上・44,000円から。時間単価は5件で6,600〜8,800円。部品代と油脂代は別途
- 点検・補充・グリスまでは自分で、シール交換は業者へ。直すか手放すかは供給年限12年と耐用年数7年を目安に見積と並べる
金額はいずれも2026年9月時点でJAの料金表を実際に開いて確認したものです。地域・機種・傷み具合・依頼先で変わるため、あくまで目安としてご覧ください。
最終的な修理の可否や作業の判断は、メーカー・販売店・JAにご相談ください。税務にかかわる判断は、市町村の窓口や税理士が確かです。
急いで決める必要はありません。ただ、農機店は「徐々に酷くなる」と書いています。次の作業に入る前に検油プラグを1本外して量を見ておけば、それだけで話が具体的になります。
なお、グリスアップの周期と入れる場所は、田植え機を例に整理したグリスの入れどきで確かめられます。