修理・維持費

田植え機のエンジンがかからないとき、最初に見るのはセルの音

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納屋に停車した田植え機の運転席のイメージ
AI生成のイメージ画像です。実際の機種・部品とは異なる場合があります。

「田植え機 エンジンかからない」で上位に出た8本のうち、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを分けて書いていた記事は1本もありませんでした。しかも上位のうち3本は、田植え機ではなく耕運機の記事でした。

2026年9月時点で、編集部が実際に開いて確かめた結果です。

 

ところが、ヤンマーの公式サイトは田植え機のトラブルを「田植機全般」「ガソリンエンジンの場合」「ディーゼルエンジンの場合」の3つに分けています。エンジンの種類が違えば、疑う場所の並びも変わるということです。

去年の田植え以来、納屋に置きっぱなしだった。今日中に植えたいのに、キーを回してもかからない。

販売店に電話する前に、自分で見られるところは見ておきたい。そんな方に向けた記事です。

結論から言うと、最初にやることは部品を疑うことではありません。キーを回したときにセルモーター(エンジンを回し始める電動機)が回るか回らないかを、音で聞き分けることです。ここで原因が大きく2つに分かれ、見る場所も、頼むときの伝え方も変わります。

田植え機のキーを回したときの3つの音(勢いよく回る・一度だけ鳴る・無音)を3枚のカードで並べ、それぞれ疑う場所が燃料と点火・バッテリー・ヒューズや配線やレバーに分かれることを示した図

この記事で分かることは、次の4つです。

  • セルが回るか回らないかで、原因が2つに分かれること
  • ガソリンエンジンとディーゼルエンジンで、見る場所が変わること
  • 自分で見てよい範囲と、購入先に頼む作業の線引き
  • JAに頼んだときの点検料・工賃・出張料の実額

 

田植え機のエンジンがかからないとき、どこから見ればいいのか?

前半では、セルの音で原因を2つに分けるところから、電気まわり、燃料、キャブレター、点火プラグの順に見ていきます。どれもメーカーが公式に挙げている原因です。

「セルが回るか、回らないか」でエンジンの原因は2つに分かれる

キーを回したときの音を分岐点にして、セルが回る場合は燃料と点火、回らない場合は電気と安全装置へ進むことを示した診断の流れ図

最初にやるのは、部品を疑うことではありません。キーを回したときの音を聞き分けることです。

というのも、ヤンマーの公式サイトが田植え機のトラブルをそのように整理しているからです。そこでは「セルモータが回らない」と「エンジンがかからない(セルモータは回る)」が、別々の項目として並んでいます。同じ「かからない」でも、挙げられている原因がまったく違うのです。

 

具体的には、セルが勢いよく回るのにエンジンが目を覚まさないなら、燃料か点火の側です。ガソリンエンジンの場合、キャブレターの詰まり、点火プラグへのカーボンや燃料の付着、火花が出ないこと、そして劣化したガソリンが原因として挙げられています。

反対に、カチッと鳴るだけ、あるいは無音なら、電気か安全装置の側になります。こちらはバッテリーの電力不足、ヒューズ切れ、配線の断線が並びます。

聞き分け方は難しくありません。連続して回る音が出ていればセルは回っています。一度だけ鳴って止まる、あるいは無音なら、回っていません。

確かに、かからないときはバッテリーを疑いたくなります。ただ、ヤンマーがセルの回る側の原因にバッテリーを挙げていない以上、セルが元気に回っているなら買い替えても空振りになりやすいということです。

詳しい現象の一覧は、ヤンマー公式の「田植機のシーズン中のトラブル対応」を参照してみましょう。

 

結論として、この分岐を先に決めておけば、買う部品を間違えずに済みます。販売店に電話するときも「セルは回るのにかからない」と伝えられれば、話がひとつ先に進みます。

セルがうんともすんとも言わない状態が続いて困っている方は、セルモーターが回らないときの確認方法もあわせてご確認ください。

 

キーを回したときの音と、原因の分かれ方(原因の並びはヤンマー公式の記載。🟡音の表現と、音による細分は編集部の整理です)
キーを回したときの音 セルの状態 主に疑う側 公式に挙げられている原因
キュルキュルと回り続ける 回っている 燃料・点火 ガソリンの劣化/キャブレターの詰まり/点火プラグのカーボン・燃料の付着/火花が出ない(ガソリンエンジンの場合)
カチッと一度鳴って止まる 回っていない 電気 バッテリーの電力不足/端子のゆるみ
何の音もしない 回っていない 電気・安全装置 ヒューズ切れ/電気配線の断線/変速レバーが中立でない

 

回らないときは、バッテリー・ヒューズ・断線と、レバーの位置を見る

もちろん、セルが回らないときは電気系を疑うことになりますが、その前に外しておきたいものがあります。安全装置で止まっているだけ、という場合です。

ギア
ギア
レバーが中立に入っていないだけ、というのはよくあります。ここを飛ばすと、いらない部品を買うことになります。

まず、クボタの田植え機向けの資料には「エンジンの始動は、運転席に座り各変速レバーを中立にしてください。」とあります。

さらに、農研機構の「農業機械安全装備検査 田植機(乗用型)2025年基準及び解説」(令和7年4月1日制定)も、動力源を始動した際に走行部や作用部が作動しない構造、もしくは動力が接続された状態では始動できない構造であることを求めています。つまり、レバーが入ったままでは始動しないのは故障ではなく、そういう設計だということです。

 

そこを確かめたうえで電気を見ます。ヤンマーが挙げているのは、バッテリーの電力不足、ヒューズが切れている、電気配線が断線している、の3つです。

ヒューズ(電流が流れすぎたときに先に切れて回路を守る部品)は、ヤンマーの一覧では警報装置が作動しない場合の原因としても挙がっています。つまり、セルだけでなくランプやブザーも同時におかしいなら、ヒューズや配線を先に見る理由になります。

具体的には、バッテリーについてクボタが点検項目を4つ示しています。液の量が不足していないか、破損して液もれが起きていないか、補水キャップの排気口にゴミが付いていないか、そしてケーブルの破損や端子のゆるみがないかです。

加えて、ヤンマーは「バッテリーは1か月に1度は充電器で完全充電してください」と案内しています。田植え機は年に1回しか動かさない機械です。だからこそ、ここで止まりやすいとも言えます。

田植え機のバッテリーが上がったときのかけ方や、指定の型式は、田植え機のバッテリー上がりの対処で整理しています。

ちなみに、イセキの点検整備ポイントでも、バッテリの点検と交換は「作業前 シーズン前」とされています。

 

ただし、バッテリーを外すときは順番に注意してください。クボタは「バッテリを取外すときは、バッテリ(-)コードを最初に外し、次に(+)コードを外してください。取付けるときは、必ず(+)側から取付けてください。」と書いています。

また、「バッテリを充電しているときは、タバコを吸ったり火を近づけないでください。」とも警告しています。

手順はクボタ公式の「バッテリの点検方法(田植機のセルフメンテナンス)」で確認できます。

バッテリーが弱っていないか先に確かめたい方は、農機具のバッテリー上がりの対処もあわせてご確認ください。

去年のガソリンが残っていないか|メーカーは「交換してください」と書いている

燃料を継ぎ足した場合と、タンクとキャブレターから抜いて入れ替えた場合を左右に並べて比べた図

セルは回るのにかからない。その場合にまず疑うのは、前のシーズンから残っている燃料です。

ヤンマーの公式サイトは、ガソリンエンジンの「エンジンがかからない(セルモータは回る)」の欄に、原因として「キャブレターが詰まっている。」「点火プラグにカーボンまたは燃料が付着している。」「点火プラグから火花が出ない。」を挙げています。

そして、そのうえで「ガソリンが劣化している。燃料を交換してください。」と書いています。

ギア
ギア
足すのではなく、入れ替えです。古いガソリンの上に新しいガソリンを継ぎ足しても、薄まるだけになります。

 

実際に、各社が同じことを書いています。イセキのよくあるご質問では、長期保管について「ガソリンエンジンの場合:燃料はタンク、キャブレタからすべて抜いてください」とされています。クボタの販売会社が配布している長期格納の資料にも「長期格納時は、燃料タンク及び燃料フィルタのポット内のガソリンを抜き取ってください」とあります。

この記載は、イセキ公式の「田植機のよくあるご質問」で確認できます。

要するに、3社とも「長く置くならガソリンは抜いておく」という同じ結論に行き着いています。裏を返せば、抜かずに越冬した機械がかからないのは、めずらしいことではないということです。

 

古いガソリンを入れ替えるときの流れ(クボタ・イセキの記載をもとに整理)

  1. 燃料コックレバーを運転(開)位置から停止(閉)位置にする
  2. タンクのガソリンを、ガソリン用の金属製の容器に抜き取る
  3. 燃料フィルタポットを外し、中に残ったガソリンとゴミを出す
  4. 元どおりに組み付け、新しいガソリンを入れて燃料コックを運転(開)位置に戻す

抜いた古いガソリンの扱いには決まりがあります。詳しくは後半で触れます。

 

 

ここでひとつ、上位の記事でほとんど触れられていない点があります。田植え機にはディーゼルエンジンの機種もあるということです。

ヤンマーのトラブル対応は「ガソリンエンジンの場合」と「ディーゼルエンジンの場合」で項目を分けており、ディーゼル側にはキャブレターも点火プラグも出てきません。代わりに燃料フィルタの汚れや、ウォーターセパレータ(燃料から水を分ける装置)に水やゴミが溜まっていることが並びます。まずは自分の機械がどちらなのかを取扱説明書で確かめてください。

トラクターのほうでも同じ症状が出ている方は、トラクターのエンジンがかからないときの原因もあわせてご確認ください。

キャブレターと燃料フィルタポット|詰まりはシーズン前後の掃除で防ぐ

さて、燃料を入れ替えてもかからないときは、燃料の通り道が詰まっている可能性があります。

そもそもキャブレター(ガソリンと空気を混ぜてエンジンに送る部品)は、ヤンマーが最初に挙げている原因です。その手前にあるのが燃料フィルタポット(燃料のゴミや水を受ける透明な容器)です。

 

クボタの公式サイトは、燃料フィルタポットの掃除・洗浄のタイミングを「シーズン前後」としています。手順は4つの段階で示されており、燃料コックレバーを運転(開)位置から停止(閉)位置にし、リングネジをゆるめてポットを外し、エレメントを取り出してガソリンで洗浄し、パッキンやエレメントにゴミが付着しないように元通りに組み付ける、という流れです。

重要な注意も添えられています。「フィルタポット下部に水が溜まっているときは、早目に掃除又は交換してください。」という一文です。

というのも、放っておくと燃料に混ざった水や不純物がエンジン内部に送られ、始動性の低下や出力低下につながる、と説明されているからです。

 

ただし、ここには線引きもあります。クボタは同じページで「汚れのひどい場合は、交換が必要ですので購入先に連絡してください。」と書いています。

要するに、自分で掃除してよいのはポットまでで、キャブレターの分解は購入先の仕事だということです。

ちなみに、シーズンオフに燃料コックレバーを停止(閉)位置にしておくことは、クボタの資料でも手順の1番目に置かれています。翌年の詰まりを減らすという意味では、かからなくなってからの掃除より、しまうときのひと手間のほうが効きます。

点検周期の目安も、クボタとヤンマーがそれぞれ公開しています。いずれも「型式によって交換時間は異なります」と添えられているため、最終的には手元の取扱説明書の数値が優先です。

手順はクボタ公式の「燃料フィルタポットの点検・掃除方法」で図解付きに確認できます。

 

田植機の点検・交換周期の目安(🟡型式によって異なるため、最終的には取扱説明書の数値が優先)
メーカー 項目 掃除・交換の目安
クボタ エンジンオイル 初回20時間後・2回目以降100時間ごと
クボタ エアクリーナエレメント 掃除50時間ごと・交換は汚れがひどいとき
クボタ ミッションオイル 初回50時間後または3年・以降100時間ごとまたは3年
クボタ 燃料フィルタポット シーズン前後に掃除
ヤンマー エンジンオイル 初回50時間・以後100時間ごと
ヤンマー 燃料フィルタ 300時間
ヤンマー バッテリー 1か月に1度は充電器で完全充電

 

ちなみに、シーズン前後にやることは掃除だけではありません。田植え機のグリスアップの周期と入れる場所も、同じ節目で回ってきます。

点火プラグは、カーボンと燃料の付着、そしてすき間0.6〜0.7mm

点火プラグの先端を拡大し、電極どうしのすき間を測る位置と、カーボンが付着した状態を示した図

次に、ヤンマーが挙げている残りの原因が点火プラグです。カーボンまたは燃料が付着している、火花が出ない、の2つが並んでいます。

イセキ公式の「田植機の点検整備ポイント」でも、点火プラグの清掃は「毎シーズン 不調時」とされています。つまり、消耗品として毎年見る場所だということです。

 

具体的には、外して先端を見ます。黒くすすけていればカーボン、湿っていれば燃料の付着です。何度もセルを回したあとは、燃料で濡れて余計にかかりにくくなっていることもあります。

そのため、かからないからといってセルを回し続けるのは得策ではありません。バッテリーは消耗しますし、ヤンマーが原因に挙げている「点火プラグに燃料が付着している」状態に近づくことにもなります(🟡付着の程度は機種や症状で異なります)。数回試してかからなければ、いったん手を止めて、燃料とプラグを見るほうが近道です。

すき間の数値も公開されています。JA豊橋が掲載しているクボタの田植え機セルフメンテナンス資料には「スキ間は、0.6〜0.7mmに調整します。」とあります。

ただし、この資料は2012年12月の発行で、特定の機種をもとにした内容です(🟡機種によって数値が異なる場合があるため、取扱説明書での確認をおすすめします)。

 

コストン
コストン
プラグは型番が機種ごとに決まっています。先に外して先端を見てから、同じ型番を買うと確実です。

もちろん、部品そのものは高いものではありません。汎用の点火プラグは通販で400円台から500円前後で見つかります(🟡2026年9月時点の通販価格。型番・購入先・時期によって変わります)。

ただし、型番が合っていなければ意味がないため、現物か取扱説明書で確認してから注文してください。

資料の原文は、JA豊橋が掲載する「クボタの田植機セルフメンテナンス資料」(PDF)で読めます。

 

田植え機のエンジンがかからないまま直らないとき、誰にいくらで頼むのか?

後半では、自分でやってよい範囲と危ない作業、頼んだときの費用、そして直すか手放すかの考え方を見ていきます。

自分でやってよい範囲はどこまでか|抜いたガソリンの扱いに決まりがある

金属製の携行缶と灯油用のポリ容器を左右に並べ、ガソリンに使えるものと使えないものを示した図

ここまでを整理すると、自分でできるのは、見て、聞いて、燃料を入れ替えて、燃料フィルタポットを掃除するところまでです。

逆に言えば、公式の手順が図解で示されている作業は、落ち着いてやれば自分でできる範囲だということです。判断の基準は難しさではなく、メーカーが「購入先に連絡してください」と書いているかどうかに置くのが確実です。

 

自分でやってよいこと/購入先・JAに頼むこと

自分でやってよいこと

  • 変速レバーが中立かを確かめる
  • セルが回るか回らないかを音で確かめる
  • バッテリーの液量・端子のゆるみを見る
  • 古いガソリンを抜いて入れ替える
  • 燃料フィルタポットを外して掃除する
  • 点火プラグを外して先端の状態を見る

購入先・JAに頼むこと

  • キャブレターの分解・清掃・オーバーホール
  • 汚れのひどい燃料フィルタポットの交換(クボタが「購入先に連絡してください」と明記)
  • 配線の断線の修理
  • 原因が特定できないとき全般

 

そして見落とされるのが、抜いた古いガソリンの置き場所です。

 

まず、大阪市消防局は「ガソリンは、必ず消防法令で定められた基準をクリアしている容器(金属製など)で保管して下さい。」としたうえで「灯油用ポリ容器でのガソリンの保管は禁止されています。」と明記しています。

また、車で運ぶ場合についても「ガソリン用として性能試験をクリアした金属製容器であり、かつ最大容積が22リットル以下の容器で行うよう定められています。」とあります。

量にも決まりがあります。同じページによると、許可を受けた施設以外での200リットル以上の貯蔵・取扱いは消防法で禁止されており、40リットル以上は大阪市の火災予防条例で消防署長への届出が必要とされています(🟡届出の基準は自治体の条例で異なるため、お住まいの消防本部でご確認ください)。

 

温度の問題もあります。国民生活センターの注意喚起によると、直射日光が当たる車内に携行缶を放置したところ内容物の温度が60℃以上に上昇し、内圧が上がった状態でキャップを外すとガソリンが激しく噴出したとのことです。内圧の変化が繰り返されると亀裂が生じる可能性も指摘されています。

詳しい注意点は大阪市消防局:ガソリンは大変危険です!!と、国民生活センター:ガソリン携行缶の取り扱いに注意でご確認ください。

点検中のけがは実際に起きている|エンジンをかけたまま手を入れない

エンジンを止めてから点検する手順と、かけたまま可動部に手を入れることを避ける注意を示した図

実際に、原因を探しているときに一番危ないのは、エンジンをかけたまま可動部に手を入れることです。

これは注意喚起のための言い回しではありません。農林水産省が公表している農作業事故の対面調査には、田植え機の点検時の事故として、次のような事例が記録されています。

田植後の点検で、クラッチを入れても動かないためクラッチワイヤーを押したところ、テンションがかかった状態となって車輪が動き出し、腕が巻き込まれた、というものです。けがは右肘靱帯断裂と上腕筋肉断裂と記載されています。いずれも農林水産省:農作業事故の対面調査(PDF)に掲載されている内容です。

「動かないから力をかけてみる」という、誰もが取りそうな行動が事故につながっています。

 

かからない原因を探すとき、動きを確かめたい気持ちは分かります。それでも、エンジンを止めてから手を入れる。この順番だけは崩さないでください。

バッテリーまわりも同じです。クボタは、取り外すときは(-)コードから、取り付けるときは必ず(+)側からと順番を指定し、充電中にタバコを吸ったり火を近づけたりしないよう警告しています。順番と火気、どちらも守ってください。

 

また、作業する場所も選んでください。燃料を扱う作業と、エンジンをかける作業は、時間も場所も分けるのが安全です。

要するに、自分で見る範囲を決めておくことが、そのまま安全の線引きになります。判断に迷ったら無理をせず、メーカー・JA・整備工場などの専門家にご相談ください。

同じ田植え機で、植え付け部のほうが動かない方は、田植え機の植え付け部が動かないときの原因もあわせてご確認ください。

修理を頼むといくらか|JAの田植え機の点検料は7,700円から

田植機の基本点検料を、JA2件の歩行2条・歩行4条・乗用4条以上で比べた棒グラフ

さて、頼むと決めたときに気になるのが金額です。JAの料金は、点検料、工賃、出張料、部品代に分かれています。

まず、JA伊勢の令和7年の料金表では、田植機の基本点検料金は歩行2条が7,700円、歩行4条が11,000円、乗用4条〜6条が19,800円〜となっています。施肥機が付く場合は1条につき2,200円が別途加算されます。工賃は1人1時間当たり6,600円(時間外・休日は8,250円)、出張料は2,200円です。

 

JA東美濃の令和7年4月1日の料金表も、歩行型と乗用型で金額が分かれる構造は同じです。ただし工賃と出張料はJA伊勢より高めに設定されています。

コストン
コストン
歩行型と乗用型で、倍近くちがいます。電話するときに条数と施肥機の有無を伝えると、見積もりが早く出ます。

 

さらに、部品代は別にかかります。バッテリーは通販で8,000円台のものがあり、点火プラグは400円台から500円前後、キャブレター用のクリーナーは900円前後です(🟡いずれも2026年9月時点の通販価格。JAや販売店で購入する場合は別の価格になります)。

また、キャブレターの清掃やオーバーホールを工場に頼む場合、数千円台からという案内も見られます(🟡機種・作業内容・依頼先によって大きく変わります)。

なお、JA伊勢の料金表には「新車トラクタ・田植機・コンバイン購入後1年以内の点検料は、無料(1回のみ)」という記載もあります。ここに挙げた金額はあくまで一般的な目安であり、地域・JA・機種・状態・時期によって変わります。実額はJA伊勢:令和7年 農業機械点検整備/修理料金表(PDF)でご確認ください。

見積もりの金額が妥当か判断したい方は、農機具の修理費用の相場の見方もあわせてご確認ください。

 

JA2件の田植機の点検料・工賃・出張料(税込・🟡地域・JA・機種・時期によって変わります/出典:JA伊勢 令和7年、JA東美濃 令和7年4月1日)
項目 JA伊勢 JA東美濃
田植機 歩行型の基本点検 2条 7,700円/4条 11,000円 12,000円
田植機 乗用型の基本点検 4条〜6条 19,800円〜(施肥機付は1条につき2,200円追加) 4条 17,600円(5条以上は別途)
工賃(1時間あたり) 6,600円(時間外・休日8,250円) 8,800円
出張料 2,200円 3,300円

 

直すか手放すか|田植え機の部品の供給年限は9年

ところで、古い機械の場合は、直すかどうかの前に部品が手に入るかという問題があります。

ヤンマーの公式サイトによると、農業機械の部品の供給年限は経済産業省の指導のもと、日本農業機械工業会が機種別に取り決めています。そこでは田植え機部品が「製造打ち切り後 9年」とされています。

 

ただし、9年で必ず部品がなくなるという意味ではありません。クボタは、指定された供給年限を経過した時点ですべての部品が一律に在庫切れになるわけではなく、他の機種に流用している部品や消耗品、流通の状況によっては引き続き供給できる場合もある、と説明しています。

維持研くん
維持研くん
年限そのものより、いま部品が出るかどうかです。まず販売店に在庫を聞いてから考えれば、迷いません。

 

そのうえで、見積もりが出てから比べます。直して使い続ける場合の金額、これから先も同じ修理が続きそうかどうか、手放す場合にいくらになるかの3つです。

順番も大事です。見積もりを取る前に決めてしまうと、実は数千円で直る機械を手放すことになりかねません。

まず原因をはっきりさせ、金額が出てから考える。この順番なら後悔しにくくなります。

たとえば、点検料と工賃と部品代を足した金額が、同じ条数の中古機の相場に近づいてくると、判断が変わってきます。反対に、燃料の入れ替えとプラグの交換で動くのであれば、直して使い続けるほうが合理的です(🟡修理費も中古機の相場も、機種・年式・稼働時間・状態・地域によって大きく変わります)。

供給年限の一覧は、ヤンマー公式の「農業|修理・部品のご案内」で確認できます。

 

補修用部品の供給年限(製造打ち切り後・出典:ヤンマー公式/経済産業省の指導のもと日本農業機械工業会が制定。🟡年限を過ぎても部品が出る場合があります)
機種 供給年限
トラクタ(国産)・乾燥機(個人用) 12年
エンジン(単体)・脱こく機・籾すり機・米選機・精米機(個人用) 10年
耕うん機・田植え機・コンバイン・バインダ・動力噴霧機・動力散布機・運搬車・除雪機 9年
刈払機 8年

 

直すか手放すかで迷っている方は、動かない農機具の買取の考え方もあわせてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

エンジンはかかるのに、すぐ止まってしまうときは?
修理
ヤンマーの公式サイトは、これを「エンジンがかからない」とは別の項目として扱っています。ガソリンエンジンの場合に挙げられている原因は、エンジンが潤滑されていないこと、キャブレターの詰まり、燃料フィルタの汚れや詰まり、点火プラグへのカーボンや燃料の付着の4つです。
かからない場合と原因が重なるため、燃料とプラグを見る流れは同じになります。
ディーゼルエンジンの田植え機は、どこを見ればいいですか?
修理
ヤンマーの公式サイトは、ディーゼルエンジンの項目を別に用意しています。そこに並ぶのは、エアクリーナエレメントの汚れや詰まり、燃料フィルタの汚れや詰まり、ウォーターセパレータ(燃料から水を分ける装置)に水やゴミが溜まっていること、冷却水やエンジンオイルの不足などです。
キャブレターや点火プラグは出てきません。まずは取扱説明書でエンジンの種類を確かめてください。
点検だけを頼んでもお金はかかりますか?
費用
基本点検料金として設定されています。JA伊勢の令和7年の料金表では、田植機の基本点検は歩行2条で7,700円、乗用4条〜6条で19,800円〜となっており、出張料は別に2,200円です。
ただし同じ料金表には、新車のトラクタ・田植機・コンバインは購入後1年以内の点検料が無料(1回のみ)という記載もあります。あくまで目安であり、地域やJAによって金額は変わります。
毎年の点検で、見落としを防ぐ方法はありますか?
メンテナンス
クボタが田植機のセルフチェックシートをPDFで公開しています。エンジンオイル、燃料フィルタポット、エアクリーナエレメント、バッテリのほか、植付爪や施肥ブラシまで項目が並んでいます。
燃料フィルタポットの掃除はシーズン前後が目安とされています。しまうときと出すときの2回、同じシートで確認しておくと抜けが減ります。

 

【まとめ】田植え機のエンジンがかからないときに見る順番

田植え機のエンジンがかからないときは、順番があります。まず運転席に座って各変速レバーが中立に入っているかを確かめ、それからキーを回して、セルモーターが回るか回らないかを音で聞き分けてください。

そして、回らないならバッテリー、ヒューズ、配線です。回るのにかからないなら、ガソリンエンジンであれば燃料の入れ替え、燃料フィルタポットの掃除、点火プラグの順に見ていきます。ディーゼルエンジンの機種は原因の並びが違うため、取扱説明書でどちらかを確かめるところからです。

  • キーを回す前に、各変速レバーが中立かを確認する(中立でないと始動しないのは安全装置の設計)
  • セルが回らない=バッテリーの電力不足・ヒューズ切れ・断線(ヤンマー公式)
  • セルは回るのにかからない=劣化したガソリン・キャブレターの詰まり・点火プラグ(ガソリンエンジンの場合)
  • 燃料は継ぎ足さずに入れ替える。抜いたガソリンは金属製の容器で保管し、車内に置いたままにしない
  • JAの田植機の基本点検は歩行2条7,700円から。工賃と出張料は別途(🟡地域・JAで異なる)

費用の見当もつけておくと落ち着いて話せます。JAに出張で見てもらう場合、歩行型なら点検料と出張料でおよそ1万円前後から、乗用4条なら2万円前後からが目安になります(🟡地域・JA・機種・作業内容によって変わります)。原因が古い燃料だけであれば、入れ替えとプラグの交換で済むこともあります。

自分で見られるのは、燃料の入れ替えと燃料フィルタポットの掃除までです。それでも直らないときは、セルが回るかどうかと条数を伝えて、購入先やJAに相談してください。伝え方がはっきりしているだけで、見積もりは早く、そして納得のいくものになります。

-修理・維持費
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