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「トラクター タイヤ 交換時期」で検索して上位に出た11本のうち、交換の年数や溝の数値に出典を付けていた記事は1本もありませんでした。よく見かける「使用5年で点検・製造10年で交換」という数字は、日本自動車タイヤ協会の乗用車用の案内から来ています。
2026年9月時点で、編集部が実際に開いて確かめた結果です。
つまり農業機械用のタイヤについて、年数の目安を示した公式の資料は、クボタ・ヤンマー・イセキ・三菱マヒンドラ農機の取扱説明書にも、タイヤメーカーの日本語の資料にも見当たりませんでした。「10年経ったから替える」でも「まだ10年経っていないから大丈夫」でもないことになります。
後輪のラグ(横向きの溝)が減ってきた。側面に細かいひびが出ている。田んぼで滑る回数が増えた気がする。
いま替えるべきか、いくらかかるのかを見積もりの前に知りたい。そんな方に向けた記事です。
結論から言うと、見るのはラグの残り高さ、ひび割れの深さ、空気圧の3か所です。年数は「そろそろ見る時期」を知らせるきっかけにすぎません。そして前輪だけ、後輪だけの交換には、4WD特有の注意があります。

この記事で分かることは、次の4つです。
- ラグ・ひび割れ・空気圧の3か所で、交換するかどうかを判断する基準
- 前輪だけ・後輪だけ替えてよいかと、タイヤ側面のサイズ表示の読み方
- タイヤ本体と工賃の実額と、4本まとめて替えたときの総額の目安
- 自分でできる点検の範囲と、販売店に頼む作業の線引き
トラクターのタイヤの交換時期は、どこを見れば分かるのか?
前半では、年数の目安が農機に当てはまらない理由から、ラグ・ひび割れ・空気圧、前後輪の組み合わせの順に見ていきます。
「5年点検・10年交換」は乗用車の目安|農機用タイヤに年数の基準はない

結論から言うと、農業機械用のタイヤには「何年で交換」という公式の基準がありません。年数は目安にならず、状態で判断するのがメーカーの書き方です。
というのも、検索でよく出てくる「5年」「10年」の出どころが、乗用車用の資料だからです。日本自動車タイヤ協会は、使用開始から5年以上経ったタイヤは販売店で点検を受けること、製造から10年経ったタイヤは外観に異常がなくても交換することを勧めています。
ただし、この案内の対象は乗用車・小形トラック・トラック・バス用のタイヤです。農業機械用のタイヤについて同じ年数を示した資料は、同協会のサイトにも、ブリヂストンやミシュランの日本語のページにもありませんでした。
さらに、乗用車でおなじみの「溝の深さ1.6mm」も同じです。この数字は道路運送車両の保安基準にあるものですが、最高速度40km/h未満の自動車や大型特殊自動車は適用から外れています。農耕トラクターは小型特殊・大型特殊のどちらでもこのどちらかに当たるため、1.6mmという線引きも当てはまりません。
一方で、クボタのセルフメンテナンスのページは、交換のタイミングを「傷や摩耗が激しい場合」とし、年数には触れていません。
タイヤと同じく、トラクター本体も年数だけで寿命は決められません。使った時間との関係は、トラクターの10000時間は寿命かを調べた記事で整理しています。
ですから年数は「そろそろ見る時期」を知らせる合図です。5年や10年の出典は日本自動車タイヤ協会の乗用車用の案内でご確認ください。農機では、次から見ていく3か所で決めます。
ラグ(横溝)の残り高さで見る|欧州メーカーは「新品の2.5〜4割」「残り10〜15mm」

結論から言うと、いちばん確かな判断材料はラグの残り高さです。ただし日本の資料には数値がなく、欧州のタイヤメーカーは「新品の高さの2.5〜4割まで減ったら交換」という目安を公開しています。
まず、日本の資料から確かめました。4社の取扱説明書やセルフ点検のページは「ラグが摩耗している」「摩耗、損傷がないか」という書き方で、何mmという数字は載せていません。
そこで、欧州の公式ページを当たりました。欧州のブリヂストンは、ラグが高さの60%を失った時点で摩耗したタイヤとみなし、目安として前輪で12mm、後輪で15mmを最低ラインに挙げています。新品のラグが60mmなら、23mm以下で交換の対象という計算です。
欧州のファイアストンも近い数字です。ラグが75%摩耗した時点の交換を勧め、10mm未満にしないよう強く勧めています。
一方、米国のファイアストンは、残りが新品の20%を切ると特に湿った土で牽引力が落ちるとしています。数字の置き方は少しずつ違いますが、「残り2〜4割」「残り10〜15mm」のあたりで各社が線を引いていることは共通しています。
| 出どころ | 交換の目安 | 残り高さの下限 |
|---|---|---|
| 欧州ブリヂストン | ラグの高さの60%を失ったら摩耗品 | 前輪12mm・後輪15mm |
| 欧州ファイアストン | ラグが75%摩耗したら交換(多くのメーカーの推奨) | 10mm未満にしない |
| 米国ファイアストン | 残りが新品の20%を切ると牽引力が落ちる | ― |
| 日本の農機4社 | 「摩耗が激しい場合」「ラグが摩耗している」 | 数値なし |
出典:欧州ブリヂストン・欧州ファイアストン・米国ファイアストンの公式ページ、クボタ・ヤンマーの公式資料(2026年9月確認)。🟡欧米向けの目安で、日本の農機メーカーは数値を示していません。
実際に、中古の農機販売店には「ラグの残り4分」のように、残りの割合を書いて売っている例があります。数値の根拠は欧州ブリヂストンの摩耗の解説(英語)でご確認ください。
ですから、まず新品のときのラグの高さを取扱説明書や販売店で確かめ、いまの高さを定規で測ってみてください。4割を切っていれば見積もりを取る時期です(🟡上記は欧州メーカーの目安で、日本の農機メーカーは数値を示していません)。
ひび割れ|コード(糸)に達したら使用禁止、表面のオゾンクラックは保管で防ぐ

結論から言うと、ひび割れは深さで分けます。ひびの底にコード(タイヤの骨格になる糸)が見えたら、その時点で使用禁止です。表面の細かいひびは、進行を遅らせる余地があります。
実は、この線引きはメーカー3社が同じ文言で書いています。クボタKLシリーズの取扱説明書、イセキのイージーセルフチェックBOOK、三菱マヒンドラ農機の取扱説明書は、いずれも「タイヤに傷があり、その傷がコード(糸)に達している場合は、使用しないでください」と明記しています。理由はタイヤ破裂のおそれです。
さらに、ブリヂストンも農業機械用タイヤの注意事項で、コードに達している外傷やゴム割れのあるタイヤは使用しないよう書いています。糸が見えたら、次の作業に持ち越さないのが各社の指示です。
一方、表面の細かいひびには名前があります。クボタのセルフメンテナンスのページは、タイヤの劣化として「ラグの摩耗」と並べて「オゾンクラック」を挙げています。同じページによると、空気圧が不適切だとタイヤの変形が集中する場所ができ、表面に張力がかかってひび割れが起きやすくなります。
加えて、クボタは不適切なワックスや洗浄のしすぎがタイヤの保護層を壊すとも書いています。長期保管では直射日光や雨、海岸付近、モーターやバッテリー充電の近くを避けるよう挙げています。
実際に、JAえひめ中央の点検の記事(2017年)には、山は残っているのに表面がバリバリにひび割れたタイヤの写真が載っています。山の残量だけに目が行きがちだが、ひび割れにも目を向けてほしい、という趣旨です。
点検の手順はクボタのタイヤの点検方法に載っています。クボタは長期保管で雨の当たる場所を避けるよう書いているため、農機具を雨ざらしにすると傷む場所もあわせてご確認ください。
空気圧|月に1回、冷えているときに取扱説明書の数値で
結論から言うと、空気圧は「機種で違う」「前輪と後輪で違う」「月に1回は測る」の3つを押さえれば足ります。数値は取扱説明書にあり、たとえばクボタKLシリーズでは前輪157kPa、後輪98kPaです。
まず数値です。クボタKLシリーズの取扱説明書は、標準空気圧を前輪157kPa(1.6kgf/cm²)、後輪98kPa(1.0kgf/cm²)とし、フロントローダを付けたときは前輪を196kPa(2.0kgf/cm²)に上げるよう書いています。後輪でも12.4-28や12.4-32のサイズは120kPa(1.2kgf/cm²)です。
ヤンマーのよくある質問は、空気圧は機種によって異なるため取扱説明書を見るよう答え、セルフ点検のページでは「前輪と後輪の空気圧は違います」と念を押しています。イセキのセルフチェックBOOKも、適正値はタイヤのサイズで異なると書いています(🟡数値は必ず手元の機種の取扱説明書で確かめてください)。
次に測り方です。ブリヂストンは農業機械用タイヤについて、走行前の冷えているときにエアゲージで、最低でも月に1度は点検するよう書いています。走行のあとは熱で空気圧が上がりますが、そこで抜いてはいけないとも明記しています。
加えて、農業機械用タイヤは性能上、空気圧を低く設定していると説明しています。高すぎると破裂のおそれがあるためで、入れすぎへの注意は4社に共通し、クボタと三菱は「死傷事故」、ヤンマーは「傷害事故」の原因と書いています。
低すぎる側も問題です。横浜ゴムの海外部門の解説によると、空気圧が低いとトレッドの外側が偏って減り、高すぎると中央が減ります(🟡海外向けの解説です)。
クボタも、不適切な空気圧はひび割れの原因になると書いています。
| 資料 | 空気圧の記述 | 点検の周期 |
|---|---|---|
| クボタKL取扱説明書 | 前輪157kPa・後輪98kPa(ローダ装着時 前輪196kPa) | 日常点検/取付けボルトは50時間ごと |
| ヤンマー FAQ・セルフ点検 | 機種で異なる・前輪と後輪で違う | 記載なし(作業前点検の項目) |
| イセキ セルフチェックBOOK | タイヤのサイズで異なる・取扱説明書参照 | 作業前・200時間ごと |
| ブリヂストン(農業機械用) | 規定圧を守る・ビードシーティング圧を超えない | 冷えているときに最低月1回 |
| 鹿児島県 日常点検表 | 目視で左右を確認 | 作業開始時・毎月点検 |
出典:各社の取扱説明書・公式ページ、鹿児島県「農業機械の日常点検」(2026年9月確認)。🟡数値はクボタKLシリーズの例で、機種ごとに取扱説明書で確認してください。
また、点検の周期は資料ごとに違い、上の表のとおりイセキは作業前と200時間ごと、ブリヂストンは月1回です。
ですから、月に1回、朝いちばんにゲージを当てる習慣が、ひび割れと偏摩耗の両方を遅らせます。月1回の根拠はブリヂストンの農業機械用タイヤの注意事項です。同じように時間で管理する項目の代表がオイルなので、トラクターのオイル交換費用と周期の目安もあわせてご確認ください。
前輪だけ・後輪だけ替えてよいか|4WDは前後の径の組み合わせが決まっている

結論から言うと、同じ軸の左右は種類と減り具合をそろえ、前輪と後輪は指定のサイズを守る、が答えです。4WDのトラクターは前後の径の比率が決まっているため、片方だけ違うタイヤにすると駆動系に負担がかかります。
実際に、ヤンマーのよくある質問にそのままの答えがあります。トラクターは前後のタイヤ径が異なるため、前後輪の回転速度が同じになるようギア比を設定し、タイヤサイズも型式ごとに指定している。指定以外のタイヤを付けると前後輪が異なる速度で回り、タイヤの異常摩耗などの原因になる、という内容です。
ミシュランの日本語のページも、車軸比が1.5なら前輪は後輪の1.5倍の速度で回ると説明し、左右で異なる種類のタイヤを使うことは推奨しないと書いています。
では、同じサイズなら前輪だけ新品にしてよいのでしょうか。欧州のブリヂストンは、前輪セットか後輪セットだけを替えるときは、摩耗を含めた実際の転がり周長を測るよう書いています。前後の回転差の許容は0.5〜5%で、5%を超えると異常摩耗やスリップの増加、最悪の場合は変速機の破損につながるとしています(🟡欧州向けの解説です)。
つまり、片方が減ったままで片方だけ新品にすると、径の差が指定の範囲を外れることがあります。
さらに、取り付けの向きにも決まりがあります。クボタKLの取扱説明書は、タイヤ側面の矢印が前進時の回転方向に合うように付けるよう書き、ブリヂストンもラグパターンのタイヤには回転方向の指定があると明記しています。新品のタイヤには新品のチューブとフラップを使う、というのもブリヂストンの注意事項です。
ですから、見積もりは「後輪2本」「前後4本」のように左右そろえて頼むのが無難で、前後を別々に替える場合は販売店に径の差を確かめてもらってください。原文はヤンマーのよくあるご質問で読めます。前輪を外す作業のついでに見ておきたいのが前車軸のオイルなので、トラクターの前輪オイル漏れの修理費もあわせてご確認ください。
トラクターのタイヤの交換時期が来たら、費用はいくらで誰に頼むのか?
後半は、サイズ表示の読み方、本体の値段、工賃と総額、自分で触ってよい範囲の順です。
サイズ表示の読み方|「12.4-24 4PR」と「320/85R20」

結論から言うと、タイヤの側面にある数字を写真に撮っておけば、見積もりも通販の検索もそこから始められます。表示は2通りあり、ハイフンでつなぐ表記と、スラッシュとRを使う表記です。
まず、ハイフンの表記です。ミシュランの解説によると「12.4-24」の12.4はタイヤの幅(インチ)、24はリム(ホイール)の径(インチ)を表します。
続く「4PR」はプライレーティングと呼ばれ、内部のコードを何枚重ねたときと同じ強さかを示す数字です。
次に、スラッシュの表記です。「650/60 R38 155D」なら、650が断面幅(mm)、60が幅に対する高さの割合(%)、Rがラジアル構造、38がリム径(インチ)、155が荷重指数、Dが速度記号です。
欧州のファイアストンの解説も同じで、小数点付きの数字はインチ幅、3桁の数字はmm幅、最後の数字は必ずリム径とまとめています。
構造の違いも側面で分かります。クボタの営農情報によると、記号Rはラジアル、Kはローラグ、Lはハイラグのバイアスタイヤです。ハイラグは水田でしっかり地面をつかみ、ローラグは畑や草地を荒らしにくい、という使い分けです。
実際に、三菱マヒンドラ農機の取扱説明書には型式ごとの標準サイズが載っています。GA30とGA32のように近い型式でも前後の組み合わせが違うため、側面の表示で確かめるのが確実です。
| 型式 | 前輪 | 後輪 |
|---|---|---|
| GE130 | 5-12 | 8-16 |
| GA28 | 7-16 | 11.2-24 |
| GA30・GM302 | 7-16 | 12.4-24 |
| GA32・GM332 | 8-16 | 12.4-26 |
| GA36・GM362 | 8-16 | 13.6-24 |
| GA41・GX401 | 8-18 | 13.6-26 |
| GM452/GA46・GA50 | 8-18/8.3-20 | 13.6-28 |
出典:三菱マヒンドラ農機 各シリーズ取扱説明書の仕様表(2026年9月確認)。🟡仕様変更やオプションで異なる場合があるため、実機の側面表示を優先してください。
各記号の意味はミシュランのマーキングの解説が分かりやすいです。
ですから、後輪と前輪の側面をそれぞれ1枚ずつ撮り、「12.4-24 4PR」のように数字を控えてから次の見積もりの話に進んでください。
タイヤ本体の値段|同じサイズでも国産と輸入で1本3万〜5万円違う
結論から言うと、後輪1本の本体価格は5万円台から14万円弱、前輪1本は1万円台から3万円前後でした。同じサイズで国産と輸入を比べると、後輪で3万〜5万円の差があります(🟡通販の表示価格・2026年9月時点)。
具体的には、農機用タイヤを扱う通販サイト(中部産業)の表示価格から、ブリヂストンの水田・畑地兼用タイヤT13H、ファルケンのAT50、インド製のBKTなどを拾いました。
つまり、同じT13HとAT50で比べると、11.2-24で約3万7千円、13.6-26で約4万8千円の差です。銘柄の書かれていない別の通販でも後輪の11.2-24が63,200円、13.6-26が99,800円で、同じ範囲に収まっていました。
| サイズ | ブリヂストン | ファルケン | BKT | チューブ(BS) |
|---|---|---|---|---|
| 前輪 6-12 | 17,820円 | 13,750円 | ― | 3,630円 |
| 前輪 7-14 | 28,050円 | 17,160円 | ― | 5,280円 |
| 後輪 11.2-24 | 88,440円 | 51,370円 | 55,550円 | 20,460円 |
| 後輪 12.4-24 | 120,560円 | 70,070円 | 70,730円 | 20,460円 |
| 後輪 13.6-26 | 138,380円 | 90,530円 | ― | 27,060円 |
出典:中部産業「荷車用 農機用タイヤ販売どっとこむ」および同社楽天市場店の表示価格(税込・1本・2026年9月時点)。🟡入荷状況で変わるため、あくまで目安です。
ただし、本体だけでは終わりません。チューブ入りのタイヤは、チューブ代が別にかかります。
ブリヂストンのチューブは表の右端のとおりで、国産の後輪なら本体の2割前後がチューブ代になる計算です。
加えて、ラジアルは割高です。三菱マヒンドラ農機のカタログは、ラジアルは初期投資が割高だが耐摩耗性に優れ経済的だと書いています。
価格の出典は中部産業のブリヂストン後輪タイヤ価格表(2026年9月時点)です。販売店やJAで購入する場合は別の価格になり、入荷状況で変わります。
交換工賃|JAの料金表は前輪1時間・後輪1.5時間、タイヤ店はサイズ別

結論から言うと、交換の工賃は1本あたり2千円前後から1万4千円程度で、本体に比べれば小さい金額です。前後4本を替えると、本体・チューブ・工賃・出張料・廃タイヤ料を合わせて概ね27万〜40万円になります(🟡地域・機種・依頼先で変動)。
まずJAです。編集部が確認したJAの料金表5件のうち、タイヤ交換の項目があったのはJAハイナン農機センターの1件だけでした。
乗用トラクター(30馬力クラス以下)で、タイヤ交換は前輪が標準時間1時間で6,600円、後輪が1.5時間で9,900円です。出張料は一律1,650円、午後6時以降は30%の割増で、金額は工賃のみで部品代を含みません。
残りの4件(JA伊勢・JA東美濃・JAみなみ魚沼・JA兵庫みらい)には項目がなく、時間工賃で計算する形です。
時間工賃は5件で6,600〜8,800円、JAグループ佐賀の県内平均5,000円を含めると5,000〜8,800円です。出張料は1,650〜3,300円でした。時間工賃の地域差はトラクターの修理費用の相場でJA6件を比べています。
次にタイヤ店です。秋田県の大曲タイヤは工賃をサイズ別に公開しており、24〜26インチは持込みの入替えが5,000円から、出張は片道10km圏内が2,000円からです(税別)。
輸入タイヤ専門店のC-TOMは、11.2-24の交換料が7,150円、13.6-26が9,900円で、廃タイヤの処分料が別に5,720〜6,050円かかります(税込)。
つまり、JAでもタイヤ店でも後輪1本の工賃は1万円前後で、店によって出張料と廃タイヤ料の有無が違う、という構図です。標準時間の出典はJAハイナン農機センターの料金表(PDF)です。
そこで、後輪12.4-24・前輪7-14の4本を替える場合を試算します。本体は国産(ブリヂストン)で約29万7千円、輸入(ファルケン)で約17万4千円。チューブが約5万円、工賃がJAハイナン方式で3万3千円、出張料と廃タイヤ料(タイヤ店C-TOMの料金)が約1万4千円です。
その結果、国産で約40万円、輸入で約27万円になります。差のほとんどは本体の銘柄で、工賃はどちらも3万円台です。
後輪1本だけなら、本体7万〜12万円にチューブ2万円と工賃1万円前後を足した金額が目安になります(🟡通販価格と1件の料金表による試算です)。
自分で交換してよいか|空気充填は特別教育の対象、4社とも「購入先へ」
結論から言うと、空気圧の点検と規定値までの補充、泥落とし、取付けボルトの確認までが自分の範囲です。タイヤをリムから外して組み替え、空気を張り直す作業は、4社の取扱説明書やセルフ点検の資料がそろって購入先に相談するよう書いています。
実は、文言はほぼ同じです。クボタKLの取扱説明書は、タイヤやチューブ、リムの交換・修理は購入先に相談するよう書き、特別教育を受けた人が行うよう法で決められていると添えています。
イセキのセルフチェックBOOKと三菱の取扱説明書も同じ趣旨で、ヤンマーもセルフ点検のページで、交換には特殊工具が必要とし販売店に相談するよう案内しています。
そして、根拠になっているのは労働安全衛生規則です。第36条第33号は、自動車用タイヤの組立てのうち、空気圧縮機を使ってタイヤに空気を充てんする業務を、特別教育が必要な業務に挙げています。教育の内容は告示で決まっており、学科5時間と実技4時間の合わせて9時間です。
ただし、条文が義務を課しているのは事業者で、対象は労働者です。農耕トラクターを含むかどうかや、家族経営の農家本人が自分の機械を扱う場合については、条文に明示がありません。ここは断定せず、メーカー4社が「購入先へ」と書いている事実を判断の基準にしてください。
条文は労働安全衛生規則第36条(安全衛生情報センター)で確認できます。
もちろん、危険の中身も各社が書いています。ブリヂストンは、農業機械用タイヤは空気圧を低く設定しているため高すぎると破裂のおそれがあるとし、タイヤに表示されたビードシーティング圧を超えないこと、安全囲いの中で充填することを求めています。ミシュランはビードを出すときの上限を250kPaとし、ビードが外れて飛ぶ方向に立たないよう書いています。
加えて、持ち上げる作業にも注意があります。三菱マヒンドラ農機の取扱説明書は、タイヤの交換と輪距の変更にはジャッキと固定脚を使うよう書き、GE130の取扱説明書では後輪だけをジャッキアップした状態でエンジンをかけないよう明記しています。前輪が回って転倒するおそれがあるためです。
実際に、農研機構の集計では令和6年の農作業死亡事故のうち、乗用型トラクターによるものが53人で最も多く、その72%が機械の転落・転倒でした。タイヤの作業に限った統計ではありませんが、車体を浮かせる作業が軽くない理由はこの数字からも分かります。
自分でできることと、頼むこと
- 自分で:空気圧をゲージで測る、ラグの高さとひび割れを見る、泥を落とす、取付けボルトのゆるみを確かめる
- 頼む:タイヤ・チューブ・リムの組み替えと、そのあとの空気の充てん。輪距の変更や車体を浮かせる作業も、慣れていなければ頼むのが無難
- 4社の資料はいずれも交換・修理は「購入先へ相談」。空気の入れすぎは破裂の原因になると明記
- 最終的な判断は、メーカー・販売店・JAにご相談ください
そして、4本で30万円前後をかける前に、本体にその価値が残っているかを見ておく順番です。修理費や部品代が本体の価値を超えそうで迷っている方は、動かないトラクターの買取の考え方もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
タイヤの製造年は、どこを見れば分かりますか?
タイヤの側面に刻まれた製造番号の末尾4桁で分かります。
欧州のブリヂストンとファイアストンの解説によると、農業用タイヤも前の2桁が週、後の2桁が西暦の下2桁です。たとえば「4899」なら1999年の第48週です。🟡刻印の位置や桁数は銘柄で異なります。
チューブ入りとチューブレスは、どう見分けますか?
ミシュランの解説では、側面の「TL」はチューブレスを表します。TLの表示がなければチューブ入りの可能性があります。
チューブ入りは本体とは別にチューブ代がかかり、ブリヂストンは新品タイヤには新品のチューブとフラップを使うよう書いています。🟡表記のない古いタイヤは販売店で確かめてください。
舗装路を走ると、タイヤの減りは早くなりますか?
クボタのセルフメンテナンスのページは、作業時は舗装路の走行を控え、走るときも速度を出しすぎないよう書いています。
ミシュランも、空気圧が低いまま走るとショルダー部が偏って減り、早期交換につながると説明しています。
田んぼから道路に出るとき、タイヤの泥は落とさないといけませんか?
落としてから出るのが原則です。道路法第43条は道路をみだりに汚損することを禁じており、大田原市や上越市は農業機械の泥を落としてから通行するよう案内しています。
案内の例は大田原市の道路汚損防止のお願いで読めます。
【まとめ】トラクターのタイヤの交換時期の見分け方
トラクターのタイヤの交換時期は、年数ではなく3か所の状態で決まります。ここまでの要点を5つにまとめます。
- 「5年点検・10年交換」「溝1.6mm」は乗用車の基準。農機用タイヤに年数の公式基準はなく、メーカーは「傷や摩耗が激しい場合」と書いている
- ラグの残り高さが判断の軸。欧州のブリヂストンとファイアストンは新品の2.5〜4割、残り10〜15mmを線にしている
- ひび割れは深さで分ける。コード(糸)が見えたら使用禁止で、クボタ・イセキ・三菱の資料が同じ文言。表面のひびは空気圧と保管で遅らせる
- 空気圧は機種と前後で違う。月に1回、冷えているときにゲージで測り、入れすぎない。同じ軸は2本同時、前後は指定サイズ
- 4本交換は本体・チューブ・工賃・出張料・廃タイヤ料で27万〜40万円が目安。差のほとんどは本体の銘柄で、組み替えは購入先に頼む
金額はいずれも2026年9月時点で、JAの料金表と通販の表示価格を確認したものです。地域・機種・年式・依頼先で変わるため、あくまで目安です。
交換するかどうかの最終的な判断は、手元の取扱説明書と、メーカー・販売店・JAにご相談ください。
急いで決める必要はありません。まずは後輪の側面を1枚撮り、ラグの高さを定規で測ってみてください。その数字があれば、見積もりの席で納得して決められます。