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農業機械の省エネ利用マニュアルに、こんな測定例があります。30馬力級のトラクターでロータリー耕をするとき、エンジン回転を下げて変速段を上げると、燃料が20%減ったというものです。
2026年9月時点で、編集部が公開資料を開いて確かめた結果です。
同じ畑を同じ機械で耕しても、回し方しだいで燃料の減り方は変わるということです。
燃料計の針が、思ったより早く下がる。10aを耕すのに、どれくらい軽油を使うのが普通なのか分からない。
そんな方に向けて、トラクターの燃費を10aあたりの軽油の量と燃料代で整理した記事です。
結論から言うと、ロータリー耕なら10aあたり約1.6〜3.0Lが目安でした。30〜40馬力なら約2.3Lで、燃料代は10aで約365円の計算です。

この記事で分かることは、次の4つです。
- 耕起と代かきで、10aあたりに使う軽油の量
- 燃料代の計算のしかたと、農業用の免税
- 燃料を減らせる運転のしかた
- 燃費を悪くする点検の見落とし
どれも県の基準資料や農業機械の団体の資料で確かめた内容です。計算した数字には、そのもとになった値と時点を添えています。
トラクターの燃費は、10aでどれくらいか?
前半では、燃費をどんな単位で見ればよいかを押さえます。そのうえで、耕起と代かきの10aあたりの量、燃料代、免税の仕組みを順に確かめます。
燃費は「10aあたり」で見る|1時間あたりとの違い

まず、燃費の見方です。車なら1Lで何km走るかで比べますが、トラクターの作業はそうはいきません。
というのも、畑の中では走った距離より、耕した面積のほうが大事だからです。そこで、10aやhaあたりに何Lを使ったかで見ます。
ただ、メーカーの資料や県の基準表に載っているのは、たいてい1時間あたりの量です。そのままでは、面積あたりの量は分かりません。
そこで役に立つのが、群馬県の基準資料にある計算の式です。燃料の量は、1haの作業にかかる時間に、1時間あたりの燃料を掛けて出しています。
つまり、「1haの作業時間 × 1時間あたりの軽油」で1haあたりの量が出ます。それを10で割れば、10aあたりの量です。
たとえば、1時間に5.5L使う組み合わせで、1haの作業に約4.2時間かかるとします。この場合、1haで約22.9L、10aあたりでは約2.3Lです。
また、耕していない時間にも燃料は減ります。省エネ利用マニュアルは、30馬力級で1時間アイドリングすると約0.7Lを使ったという測定例を載せています。
また、群馬県の資料は、1日の作業時間のうち畑で作業している割合を「実作業率」として70%で見込んでいます。耕起の例では、1haの作業時間3.257時間に対し、実作業率を考えた時間を4.653時間としていました。
つまり、畑の外の移動や日常の整備、作業機の付け外し、休憩などを含めると、耕している時間より4割ほど長くかかる計算です。その間にエンジンを回していれば、燃料はさらに減っていきます。
ですから、燃料計の減りが早いと感じたら、耕した面積だけでなく、止まっていた時間も思い出してみてください。
耕起は10aで約1.6〜3.0L|ロータリーの幅と馬力で変わる

では、実際にどれくらい使うのか。手がかりは、群馬県農政部の農業機械適正導入のてびきです。
この資料には、作業機ごとに、合うトラクターの馬力や作業速度、1haの作業時間、1時間あたりの燃料が並んでいます。そこでロータリー耕について、先ほどの式で10aあたりの量を計算しました。
| ロータリーの幅 | 合う馬力 | 1時間の軽油 | 1haの作業時間 | 10aあたり |
|---|---|---|---|---|
| 1.2m | 20〜25 | 4.0L | 約7.6時間 | 約3.0L |
| 1.4m | 25〜30 | 4.5L | 約6.4時間 | 約2.9L |
| 1.6m | 30〜40 | 5.5L | 約4.2時間 | 約2.3L |
| 1.8m | 40〜50 | 6.0L | 約3.7時間 | 約2.2L |
| 2.0m | 50〜60 | 6.5L | 約3.3時間 | 約2.1L |
| 2.3m | 70〜 | 7.0L | 約2.3時間 | 約1.6L |
表を見ると、10aあたりの量はおおよそ1.6〜3.0Lの幅に入ります。20〜40馬力のトラクターなら、2.3〜3.0Lあたりが目安です。
面白いのは、馬力が大きいほど1時間の燃料は増えるのに、10aあたりでは少なくなる点です。幅の広いロータリーで速く耕せるので、作業時間が短くなるためです。
ただし、表の値は標準的な条件の基準です。同じ資料の水稲の作業例では、80馬力級で2.3mのロータリーを使い、1時間9.0Lで計算していました。
この例だと、耕起は1haで29.3L、10aあたり約2.9Lです。つまり、同じ幅のロータリーでも、引くトラクターや条件の見込み方で量は変わります。
作業機の種類でも、量は変わります。同じ資料で、30〜35馬力向けの16インチのボトムプラウを計算すると、10aあたり約2.6Lでした。
さらに、省エネ利用マニュアルには、100馬力級のトラクターで粘りのある未耕起の水田を耕した測定例があります。スタブルカルチという作業機で耕すと、幅2.4mのロータリーより約66%(1haあたり約26L)少なかったそうです。
ただし、これは大型の機械でけん引式の作業機を使う場合の話です。小さなトラクターでロータリーを使う方は、まず回し方の見直しから始めるのが現実的です。
なお、自分の機械で確かめるなら、満タンにしてから耕し、終わったあとに入った量を面積で割るのが確実です。1回だけでなく、何回か記録すると傾向が見えてきます。
代かきは10aで約0.5〜0.7L|耕起より少ない理由
次に、代かきです。同じ群馬県の資料で、代かきハローについても同じ計算をしました。
結果は、幅1.8mで約0.63L、2.0mで約0.65L、2.4mで約0.53Lでした。幅2.8mと3.3mでは、どちらも約0.45Lです。
つまり、代かきは10aあたり約0.5〜0.7Lで、耕起の3分の1から5分の1ほどです。資料の水稲の作業例でも、3.3mの水田ハローで10aあたり約0.56Lでした。
理由は、表の数字から読み取れます。まず、代かきハローは作業速度が時速3.5kmで、ロータリー耕の時速1.5〜2.5kmより速く設定されています。
さらに、作業幅も1.8〜3.3mと広めです。速く、広く進めるので、1haの作業時間が1〜2時間ほどで済みます。
加えて、1時間あたりの燃料も3.0〜4.0Lと、ロータリー耕より少なめです。時間も短く、1時間の量も少ないので、面積あたりでは差が大きく開きます。
ただし、代かきの量も条件で大きく変わります。省エネ利用マニュアルには、高速代かき機で3回かけた測定例があります。
この例では、従来の機械より20〜30%速く作業して、面積あたりの燃料が15%(1haあたり6L)ほど減りました。15%が6Lにあたるので、もとの量は1haあたり約40Lの計算です。
3回かけた合計とはいえ、県の基準値から出した量よりかなり多くなります。つまり、代かきの回数や田んぼの状態しだいで、量は大きく変わるということです。
ですから、春の作業の燃料を見積もるなら、耕起のほうを中心に考えるとよいでしょう。代かきの分は、かける回数に合わせて足していきます。
たとえば、30〜40馬力で1.6mのロータリーと、2.0mの代かきハローを1回ずつかける場合です。1haなら耕起で約22.9L、代かきで約6.5L、合わせて約29.4Lの計算になります。
燃料代にすると|10aで約365円、1haで約3,650円

続いて、燃料代です。資源エネルギー庁の石油製品価格調査を見ると、軽油の全国平均は1Lあたり159.3円(税込)でした。2026年9月14日時点の値です。
この値段で計算すると、30〜40馬力で1.6mのロータリー耕は、10aあたり約2.3Lで約365円です。1haなら、約22.9Lで約3,650円になります。
同じように計算すると、20〜25馬力で1.2mのロータリーは10aあたり約3.0Lで、約483円です。馬力の小さい機械ほど、面積あたりの燃料代は高めに出ます。
また、代かきは10aあたり約0.65Lで、約104円です。先ほどの耕起と代かきを1回ずつなら、1haで約29.4L、燃料代は約4,680円の計算です。
年間の燃料代を知りたいときは、この額に面積と作業の回数を掛けます。秋にも耕すなら、耕起の分をもう1回足してください。
たとえば2haで耕起と代かきを1回ずつなら、約58.8Lで約9,370円の計算です。これに秋の耕起を足すと、約45.8L増えて約1万6,660円になります。
ただし、軽油の値段は週ごとに変わります。直近の3週間でも、8月31日が159.4円、9月7日が159.5円と、少しずつ動いていました。
省エネ利用マニュアルも、燃料の節約は生産コストを下げる効果が期待できると書いています。面積が広い方ほど、回し方の差が金額に表れやすいということです。
一方で、トラクターの維持費は燃料代だけではありません。オイルや部品の交換、修理代を合わせると、燃料代より大きくなることもあります。
燃料代のほかに、修理費も含めて維持費を見積もりたい方は、トラクターの修理費用の相場もあわせてご確認ください。
使う面積が減り、維持費に見合うか迷っている方は、動かないトラクターを手放す前の確認もあわせてご確認ください。
農業用の軽油は免税で15円安い|手続きと対象の機械
もう1つ、燃料代で見落としやすいのが、軽油にかかる税金です。軽油の値段には、都道府県の税金である軽油引取税が含まれています。
この税率は、2026年4月1日に変わりました。群馬県の軽油引取税の税率の案内によると、いわゆる暫定税率が廃止され、1Lあたり32.1円から15円になっています。
そして、農業に使う軽油は、手続きをするとこの税金が免除されます。群馬県の農業に使用する軽油の課税免除の案内に、流れが書かれています。
- 農業委員会で耕作証明書をもらい、申請書に添えて出す
- 免税軽油使用者証と免税証を受け取る
- 販売店で、免税証と引き換えに軽油を買う
- 有効期間が終わったら、決められた期限までに報告書を出す
対象になる機械は、耕うん整地用や栽培管理用、収穫調整用などの機械です。ただし、道路運送車両法の登録を受けている機械は除く、と書かれています。
なお、群馬県の案内では、免税軽油使用者証には有効期間があるとしています。報告書は、有効期間の末日が属する月の翌月末日までに出す決まりです。
免除されるのは1Lあたり15円です。先ほどの1haで約29.4Lなら、約441円安くなる計算です。税率が32.1円だったころに比べると、免税で浮く額は半分ほどになりました。
なお、手続きの細かな決まりは、都道府県ごとに違うことがあります。申請の前に、お住まいの県税事務所で確かめてください。
トラクターの燃費を良くする運転と点検
後半では、燃料を減らせる運転のしかたを、測定例の数字で見ていきます。そのうえで、燃費を悪くする点検の見落としも確かめます。
エンジン回転を下げて段を上げる|20%減った測定例

まず、いちばん効果が大きいのが、エンジンの回し方です。日本農業機械化協会の農業機械の省エネ利用マニュアルに、測定例が載っています。
30馬力級のトラクターで、最大出力の50%ほどの負荷がかかるロータリー耕をした例です。走る速さとPTOの回転は変えずに、エンジン回転だけを下げました。
具体的には、エンジンを定格の2,600回転から1,800回転に下げています。そのぶん、走行段を5速から6速、PTOを1速から2速に上げました。結果は、燃料が20%(1haあたり約3.5L)減りました。
つまり、エンジンを高く回して低い段で耕すより、回転を下げて段を上げるほうが燃料が少なく済むということです。10aあたりにすると、約0.35Lの差になります。
同じ方法で、軽い負荷の肥料まきでは30%減ったという例もあります。マニュアルは、負荷に合ったエンジン回転で作業するよう書いています。
また、農研機構のトラクタの運転条件が燃料消費量に及ぼす影響も、同じ結論です。24kW級のトラクターで、負荷が3分の1なら最大約40%、2分の1なら最大約30%減らせたとしています。
ただし、マニュアルは注意も添えています。ロータリー耕ではエンジン回転を下げると、仕上がりが落ちることがあるというものです。
そのため、耕す間隔が変わらないよう、走行段とPTOの段を合わせて選ぶ必要があるとしています。
ただし、PTOの回転数が決められている作業機もあります。マニュアルは、ブロードキャスターなどでは、所定のPTO回転になる段とエンジン回転に合わせるよう書いています。
最近は、この運転を助ける機能が付いたトラクターもあります。マニュアルは、省エネ運転ができるときにランプで知らせる機種を紹介しています。負荷に余裕があると、エンジン回転を自動で下げる機種もあります。
また、軽い作業のためのエコノミーPTOもあります。低いエンジン回転でも、540回転のPTO回転が得られる段です。肥料まきや防除のような軽い作業では、これを使うよう書かれています。
さらに、燃料の消費量を画面に出せる機種もあります。マニュアルは、この値を見ながら運転のしかたを変えれば、燃料を減らせるとしています。
なお、マニュアル自身が、燃料の増減の割合は機種や測定条件で違うと断っています。数字はあくまで一例として、手元の機械で試しながら合わせていくのが確実です。
エンジンを回した時間と修理費の関係は、トラクターの10000時間と修理費の研究データで紹介しています。
走る速さとPTOの段|砕きすぎないと3割減
次に、走る速さです。マニュアルは、作業のときの走る速さが遅いほど、面積あたりの燃料は多くなるとしています。
30馬力級で水田をロータリー耕した例があります。秒速0.5mで走ると、0.35mのときより25%(1haあたり約5L)減りました。秒速0.2mと比べると、50%(約20L)減っています。
ただし、速く走るほど耕す間隔が広がり、土の砕け方は粗くなります。そのためマニュアルは、仕上がりが許せる範囲で、できるだけ速く走るよう書いています。
さらに、PTOの段も燃料に効きます。同じく30馬力級の例で、PTOを3速から2速にすると15%(約6L)、1速にすると30%(約10.5L)減りました。
理由は、土を細かく砕くほど燃料が多く要るためです。マニュアルは、目標の砕け方になるよう段を選び、砕きすぎを控えるよう求めています。
そのうえで、水稲では耕したあとの砕け方が粗くても、代かきのあとには田植えに合う状態になることが多い、とも書いています。
さらに、暖地や温暖地の水はけの悪い田んぼで砕きすぎると、還元障害が出やすくなり、稲の育ちにもよくないとしています。燃料だけでなく、作物のためにも砕きすぎは避けたいところです。
PTOでロータリーを回す前に、つなぎ目のジョイントの手入れも確かめたい方は、トラクターのユニバーサルジョイントのグリスアップの手順もあわせてご確認ください。
もう1つ、見落としやすいのが旋回です。37馬力のトラクターをコンクリートの路面で旋回させ、エンジン回転を1,000回転に下げた測定例があります。
フルスロットルのまま回るのに比べ、180度の旋回1回で0.04L、90度の旋回と後進1回で0.1L減ったとしています。一方で、旋回のときにPTOを切っても、燃料はあまり減らなかったそうです。
加えて、作業の回数を減らすことも燃料の節約になります。30馬力級でブロードキャスターを使って別に肥料をまくと、1haあたり0.4〜0.6Lを使ったという測定例があります。
マニュアルは、施肥機付きのロータリーなら、肥料まきと耕うんを同時にできると紹介しています。
また、トラクターの大きさに比べて作業機の幅が大きすぎると、遅く走るしかなくなります。馬力に合った幅の作業機を使うことも、燃費を守る条件です。
アイドリング・湿った土・タイヤの空気圧

運転のほかにも、燃費を左右する条件があります。マニュアルの測定例を、表にまとめました。
| 条件 | 測定例 |
|---|---|
| 1時間のアイドリング | 約0.7Lを消費(30馬力級) |
| 湿った土でのロータリー耕 | 中程度の水分より20%(約3.5L/ha)増加 |
| タイヤの空気圧を標準の半分程度に | 砂利道で10%(約0.2L/10km)増加 |
| キャブの冷房を使う | 4%(約0.2L/時)増加。暖房は差が少ない |
| フロントウエイト270kgを付ける | すべりが約半分になり20%(約2.6L/ha)減少(100馬力) |
まず、アイドリングです。作業を中断するときは、エンジンを止めて、いらないアイドリングをしないようマニュアルは書いています。
次に、土の水分です。湿った土では、作業機に土が付いたり車輪がすべったりして、燃費が悪くなるとしています。作業の日程に余裕があれば、土が乾いてから耕すのが得策です。
さらに、タイヤの空気圧です。低すぎると走る抵抗が増え、高すぎると車輪のすべりが大きくなり、どちらも燃費が悪くなるとしています。
そのためマニュアルは、作業に応じた適切な空気圧に合わせるよう書いています。道路を走るときと畑に入るときで、見直すのがよいでしょう。
また、けん引する作業では、車輪のすべりにも注意が要ります。すべりが大きいと走る速さが落ち、面積あたりの燃料が増えるとマニュアルは書いています。
そこで、すべりが大きいときはフロントウエイトを加えるなどの対策を挙げています。表の100馬力の例では、ウエイトですべり率が29%から15%に下がりました。
さらに、道路を移動するときの走り方も燃費に効きます。マニュアルは、頻繁な急加速や急減速も燃費を悪くするとしています。
そのため、加速はアクセルペダルをゆっくり踏み込み、減速はペダルから足を離して行うよう勧めています。
一方で、あまり気にしなくてよい点もあります。37馬力のトラクターで路上を走った例では、2WDと4WDで燃料はほとんど変わりませんでした。
エアコンも同じで、冷房を入れると4%増えましたが、温度の設定を変えても燃料はさほど変わらなかったという測定例もあります。
PTOを入れたときと切ったときも、同じく約295mL/kmで差はなかったとしています。ただし、2WDにすると前輪タイヤの摩耗が減る効果はあるそうです。
空気圧の測り方やタイヤの傷みも気になる方は、トラクターのタイヤ交換時期の見分け方もあわせてご確認ください。
点検で燃費を戻す|エアクリーナー・オイル・爪・ベルト

最後に、点検です。マニュアルは、取扱説明書どおりの日常点検と定期点検が、燃料の節約につながるとしています。
1つ目は、エアクリーナーです。詰まっていると空気が足りなくなり、燃費が悪くなるとしています。清掃と、使い方に応じた交換を求めています。
ここでいう使い方とは、動かした時間と、しまっていた期間のことです。長く置いたままの機械も、交換の時期を確かめておきます。
2つ目は、エンジンオイルです。量が合っていない、寿命を過ぎて使っている、粘度が高すぎる。どれも燃費が悪くなる原因に挙げられています。
オイルの交換時期と費用を確かめたい方は、トラクターのオイル交換費用の内訳もあわせてご確認ください。
3つ目は、ロータリーの爪です。すり減ると土を切る抵抗が増え、仕上がりが悪くなるうえに燃費も落ちるとしています。すり減った爪は、交換するよう書かれています。
4つ目は、ベルトやチェーンの張りです。張りが合っていないと、燃料の消費が増えるとしています。取扱説明書に従って、張りを調整します。
あわせてマニュアルは、農閑期などを使って、認定整備工場で点検や整備を受けることも大切だとしています。自分で見られない部分は、シーズン前にまとめて頼むと安心です。
このほか、ミッションなどの潤滑油の管理や、キャブのエアコンのフィルター掃除も、燃費を守る項目に挙がっています。
なお、機械を買い替えるときの目安もあります。マニュアルによると、日本農業機械化協会は省エネ性能の優れたトラクターを「省エネ型式」として認証する制度をつくりました。
30〜60馬力のトラクターについて基準を設け、2015年9月に7型式が認証されたとしています。買い替えを考えるときは、カタログでこうした表示を確かめるのも1つの方法です。
ベルトの張りを自分で確かめたい方は、トラクターのベルト鳴きの見分け方もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
トラクターは、1時間に何Lくらいの軽油を使いますか?
群馬県の基準資料では、ロータリー耕で1時間4.0〜7.0L(幅1.2〜2.3m)、代かきで3.0〜4.0Lとされています。アイドリングだけでも、30馬力級で1時間約0.7Lという測定例があります。面積あたりで比べるときは、1haの作業時間を掛けて10aあたりに直してください。
馬力が大きいトラクターほど、燃費は悪いですか?
1時間あたりの量は増えますが、10aあたりでは少なくなる計算でした。群馬県の基準値から計算すると、20〜25馬力で1.2mのロータリーは約3.0L、70馬力以上で2.3mは約1.6Lです。ただし、トラクターに対して作業機が大きすぎると遅く走るしかなくなるため、馬力に合った幅を選ぶことが前提です。
移動のときに4WDやPTOを切ると、燃費は良くなりますか?
省エネ利用マニュアルの測定例では、37馬力のトラクターで路上を走ったとき、2WDと4WDの燃料はほとんど変わりませんでした。PTOの入り切りでも差はなかったとしています。燃費を良くしたいなら、走行段を上げてアクセルで速さを調整するほうが効果があり、30馬力級で30%減った例があります。
農業用の免税軽油は、だれでも使えますか?
群馬県の案内では、農業委員会の耕作証明書を添えて申請し、免税証の交付を受ける流れです。対象は耕うん整地用などの機械で、道路運送車両法の登録を受けている機械は除かれます。手続きの細部は都道府県で違うことがあるため、お住まいの県税事務所で確かめてください。
【まとめ】トラクターの燃費は、10aの量を知ってから見直す
ここまで解説したとおり、トラクターの燃費は、同じ機械でも回し方と点検で変わります。最後に、見直す順番を整理しておきます。
- 自分の機械が10aで何L使っているかを、給油の量と面積で確かめる
- ロータリー耕の目安(約1.6〜3.0L)と比べる
- エンジン回転を下げて段を上げ、砕きすぎない段を選ぶ
- アイドリングを減らし、湿った土での作業を避ける
- エアクリーナー・オイル・爪・ベルトを点検する
この5つのうち、いちばん飛ばされやすいのが1番です。今の量が分からなければ、減ったかどうかも確かめられません。
そして3番は、お金のかからない見直しです。30馬力級の測定例では、エンジン回転を下げるだけで燃料が20%減っていました。
費用の見通しも整理しておきます。軽油159.3円で計算すると、30〜40馬力のロータリー耕は10aあたり約365円でした。農業用の免税を受ければ、1Lあたり15円安くなります。
燃料代は1回ごとには小さな額ですが、面積と年数を掛けると差が積み上がります。まずは1回、給油の量を記録するところから始めてみてください。
なお、この記事の数字は2026年9月時点で公表されている資料をもとにした目安と計算です。機種・年式・土の状態・作業のしかたによって変わります。
運転のしかたや点検の手順は、必ずお手元の取扱説明書に従ってください。判断に迷うときは、メーカーの販売店やJAの農機センターにご相談ください。