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トラクターのバッテリーは何ボルト?本数で分かる12Vと24V

※本ページはプロモーションが含まれています

バッテリー2個と未接続のテスターのイメージ
AI生成のイメージ画像です。実際の機種・部品とは異なる場合があります。


「トラクター バッテリー 何ボルト」で検索して表示された7件のうち、見出しで電圧に答えていたページは0件でした。2026年8月6日時点で、実際に数えた結果です。

内訳は、通販の商品一覧が1件、バッテリーの適合表が1件、バッテリー上がりの対処記事が3件です。本文に12Vと書いていたページは2件ありました。

ただし、そのどれも12Vか24Vかの見分け方までは説明していません。

 

充電器や新品バッテリーの商品ページには、「12V専用」「12V/24V対応」といった表示が並んでいます。そこで手が止まってしまい、この記事にたどり着いた方が多いはずです。

納屋の機械のところまで戻って型番を確認したのに、どこにも電圧が書かれていなかった、という方もいるかもしれません。


12Vバッテリー1個と2個直列の24Vの違いを示した図
 

結論から言うと、農業機械用として売られているバッテリーは、当サイトで確認した範囲ではすべて12Vでした。24Vという単体の製品は見つかりません。24Vで動く機械は、12Vのバッテリーを2個直列につないで作られています。

つまり確かめるべきは電圧そのものではなく、機械に載っているバッテリーの本数とつなぎ方です。

この記事で分かることは、次の4つです。

  • 農機用バッテリーが12Vしかない理由
  • 型番に電圧が書かれていないという事実
  • 見る・数える・測る・聞くの4段階で確かめる手順
  • 電圧を間違えたときに何を損するか

トラクターのバッテリーは何ボルト?12Vか24Vかを確かめる

確かめる方法は4段階あります。見る、数える、測る、聞く、の順です。

上から順に試していけば、テスターのような道具を持っていない方でも、途中で答えにたどり着けます。実際、多くのトラクターは2段階目の「数える」で答えが出ます。

まずは、バッテリーという製品そのものの話から始めます。

農機用バッテリーは、そもそも12Vしか売っていない

結論から言うと、農業機械用として販売されているバッテリーは12Vだけです。売り場に24Vの製品は並んでいません。

理由は、鉛バッテリーの構造にあります。電池工業会は、自動車用の鉛蓄電池の中身を説明しています。

具体的には、2Vのセル(電気をためる仕切りのひと部屋)を直列に6個つないで12Vにしています。つまり、この6セル構造が鉛バッテリーの標準です。

 

実際に、メーカー各社のラインナップを数えてみました。

エナジーウィズ・EXIDE・パナソニック・GSユアサの4社を確認しました。その結果、掲載されている農機用の型式は、容量が21Ahでも230Ahでも、すべて12Vでした。

 

メーカー 農機用シリーズ 掲載型式 電圧
エナジーウィズ Tuflong AG 豊作くん 11型式(21〜88Ah) すべて12V
EXIDE(岡田商事) 農機用バッテリー 9型式(50〜230Ah) すべて12V
パナソニック 農業機械用 PVシリーズ 5サイズ10品番 12V
GSユアサ 解説ページの記載 ― 12V

出典:エナジーウィズ「Tuflong AG 豊作くん」型式一覧。岡田商事「EXIDE 農機・建機・トラック・バス用バッテリー」。パナソニック「農業機械用バッテリー PV」。GSユアサ「バッテリーの充電方法とメンテナンス」。いずれも2026年8月6日に確認しました

 

コストン
コストン
容量のAhは21から230まで10倍以上の開きがありますが、電圧だけは全部12Vで揃います。容量と電圧は別の話です

 

つまり「24Vのバッテリー」という商品は、探しても見つかりません。24Vの機械は、12Vを2個並べて作られています。

 

参考として、農業機械用12Vバッテリーの代表的な型番である55B24R・55B24Lの実売品を挙げておきます。実物のラベルに12Vと印字されているのが確認できる製品です。

買う前に必ず確認:プラス端子が右か左か

同じ「55B24」でも、末尾のアルファベットで端子の位置が逆になります。逆を買うとケーブルが届かず、取り付けできません。

  • 55B24R=プラス端子が右
  • 55B24L=プラス端子が左

 

末尾が「R」の場合は、こちらが対応する型番です。

エナジーウィズ Tuflong 農業機械用バッテリーの商品画像
エナジーウィズ(Energywith) Tuflong (タフロング) AG豊作くん B24R 農業機械用 AGA 55B24R

 

エナジーウィズ Tuflong 農業機械用バッテリーの商品画像
エナジーウィズ 国産車カーバッテリー 農業機械用 Tuflong AG 豊作くん[他商品と同時購入不可] AGA55B24R

 

末尾が「L」の場合は、こちらになります。

エナジーウィズ Tuflong 農業機械用バッテリーの商品画像
エナジーウィズ(Energywith) Tuflong (タフロング) AG豊作くん B24L 農業機械用 AGA 55B24L

 

エナジーウィズ Tuflong 農業機械用バッテリーの商品画像
エナジーウィズ 国産車カーバッテリー 農業機械用 Tuflong AG 豊作くん[他商品と同時購入不可] AGA55B24L

バッテリーの本数を数えるのが、いちばん早い

バッテリー1個の機械と2個の機械を並べて比べた図

道具がまったくいらない方法は、本数を数えることです。バッテリーが何個載っているかを見てください。

1個なら12Vの機械です。2個なら24Vの可能性が出てきます。

 

理由は前の項目のとおりで、24Vという単体のバッテリーが存在しないためです。パナソニックの解説によると、電池を直列につなぐと電圧が加算されます。

一方、並列につなぐと電圧は変わらずに容量が増えます。つまり24Vを作るには、12Vを2個直列にするしかありません。

あわせて、バッテリー上面のラベルも見てください。多くの製品には12Vと印字されています。ここに24Vと書かれた農機用のバッテリーは、まず出てきません。

 

取り付け位置は機種によって異なります。見当たらない場合は、無理に探さず取扱説明書で位置を確認してください。

2個載っている機械では、1個目と2個目が太いケーブルで結ばれています。そのため、片方が見つかれば、ケーブルの行き先をたどってもう1個を探せます。

 

参考までに、販売店が公開しているクボタのトラクター用バッテリー適合表を見てみました。300型式分の標準バッテリーを、1件ずつ確認しています。

並んでいたのはB24、D26、D31、E41、G51といったサイズの型式です。いずれもJIS規格の12Vバッテリーでした。つまり、24V用という型式は1つも現れません。

🟡この情報は販売店の適合表にもとづくもので、搭載する個数までは記載されていません。

 

ただし、2個あるからといって必ず24Vとは限りません。並列につないで12Vのまま容量だけ増やしている場合もあります。2個載っていた方は、このあとの項目で配線の見分け方を確認してください。

確かに、本数を数えるだけでは断定できない場合が残ります。とはいえ1個しか載っていない機械なら、この時点で12Vと判断して差し支えありません。

型番に電圧は書かれていない|55B24Rの4つの記号

型番をいくらにらんでも、電圧は出てきません。ここが多くの方のつまずきどころです。

電池工業会の説明によると、55B24Rという型番は4つの要素でできています。まず、先頭の55は性能ランクです。始動性能と容量を合わせた総合的な性能を表します。

次に、Bはサイズ記号で、短側面の幅と箱の高さの区分を示します。そして、24は長さの概寸法で、約24cmを意味します。最後に、末尾のRは+と−の端子がどちら側にあるかを示します。

 

この4つのどこにも、電圧の情報は含まれていません。2006年版のJIS D 5301という規格にもとづいた表記だからです。

誤解されやすいのが先頭の数字です。55は容量ではありません。

実際に、55B24R相当の製品の5時間率容量は36Ahです。5時間率容量とは、決められた条件で5時間かけて放電したときに取り出せる電気の量を指します。ただし、数字が大きいほど性能は上がっても、電圧が上がるわけではありません。

 

サイズ記号もAからHまで並んでおり、記号が後ろにいくほど大きくなります。エナジーウィズの型式一覧では、サイズ記号と容量が対応しています。

具体的には、A19が21Ah、B19が28Ah、B24が36Ahです。さらに、D26が55Ah、D31が64Ah、E41が88Ahとなります。ただし、ここでも電圧は12Vのまま変わりません。

ギア
ギア
型番を撮影して販売店に送っても、電圧は判定できません。伝えるなら「本数」もセットにしてください

 

型番の読み方をもう少し詳しく確認したい方は、電池工業会の「自動車用バッテリー形式の読み方」を参照してみましょう。

結論として、型番は買い替えのときにサイズと端子位置を合わせるための情報です。電圧を知りたいときには使えません。

テスターで測る手順と、数字の見方

テスターの赤と黒をバッテリー端子に当てる位置を示した図

確実に知りたいのであれば、テスター(電圧などを測る計器)で測るのが一番です。

実際に、JAえひめ中央もバッテリーの点検について説明しています。本来なら専用のテスターを用いて、電圧のチェックや液面の確認を行うものだとしています。

 

手順そのものは簡単です。テスターメーカーのKaiseが公開している測定方法によると、まずキーをOFFにしていることを確認します。次にレンジを直流Vに合わせ、赤いテストリードを+端子、黒いテストリードを−端子に当てます。

数字の読み方は次のとおりです。GSユアサは、公称12Vのバッテリーは満充電状態で12.72V(気温20℃)になると案内しています。おおよそ12.6〜12.7Vと覚えておけば十分です。

一方、24V台の数字が出れば24Vの機械です。12Vか24Vかの判定という意味では、小数点以下を気にする必要はありません。

 

測る場面 目安の数字 読み取り方
エンジン停止時 12.6〜12.7V 12Vの機械。満充電に近い状態
エンジン停止時 24V台 24Vの機械。12Vが2個直列
エンジン停止時 12.5V以下 低め。充電か点検を検討
充電した直後 見かけ上高く出る 30分以上おいて測り直す

出典:Kaise「バッテリー電圧の測定方法」/GSユアサ「よくある質問」。🟡液温や使用状況で変動するため、あくまで目安です

 

ただし注意点があります。充電した直後は端子の電圧が見かけ上高くなるため、GSユアサは充電後30分以上おいてから計測するよう案内しています。慌てて測ると、実際より良い数字が出てしまいます。

 

測る前の安全面も確認しておいてください。作業前にキーがOFFになっていること、ライトなどが消えていることを確かめます。

+端子と−端子が金属でつながるとショートします。パナソニックは、交換時に保護メガネとゴム手袋を着用するよう案内しています。

加えて、取り外した古いバッテリーは端子キャップ等でショートを防ぐこととしています。工具を端子の上に置いたままにしないでください。

 

もちろん、テスターを持っていない方も多いはずです。その場合は、JAの農機センターや購入した販売店に持ち込めば点検してもらえます。数百円の道具を買い足すより、次の点検のついでに見てもらうほうが早い場合もあります。

 

測ってみて数字が低かった方は、トラクターのバッテリー充電時間の目安もあわせてご確認ください。

エンジンをかけている間に充電ランプが点いたままなら、バッテリーではなく発電側を疑う場面です。ランプごとの対処は、トラクターの警告灯の見分け方と対処をご覧ください。

2個あるとき、直列か並列かで答えが変わる

直列つなぎと並列つなぎの配線の違いを比べた図

バッテリーが2個載っていた場合は、間をつないでいるケーブルを見てください。ここで答えが変わります。

直列(電圧が足し算になるつなぎ方)なら機械の電装は24V、並列(容量が増えるつなぎ方)なら12Vのままです。つまり同じ2個積みでも、ケーブルの行き先ひとつで答えが変わります。本数だけでは決められないのは、このためです。

 

見るところ 直列つなぎ 並列つなぎ
中間のケーブル +端子と−端子を結ぶ +同士・−同士を結ぶ
全体の電圧 24V 12Vのまま
容量(Ah) 1個分のまま 2個分に増える
必要な充電器 24V対応のもの 12V用で足りる

出典:パナソニック「バッテリの直列・並列とは」/電池工業会「電池のしくみについて」

 

 

迷ったときは、2個の外側にある+端子と−端子にテスターを当てて、全体の電圧を測るのが確実です。24V台が出れば直列、12V台なら並列と判断できます。配線を目で追うより、この方法のほうが間違えません。

 

あわせて、2個の型番が同じかどうかも見ておいてください。直列でつなぐ場合、性能の違うバッテリーを組み合わせると、弱いほうに引きずられます。理由は次の章で詳しく触れます。

 

もし24Vだと分かった場合は、バッテリーだけでなく充電器や作業灯などの電装品も24V対応のものを選ぶ必要が出てきます。12V用の部品をそのまま使い回せないため、買い物の範囲が変わってきます。

作業灯を後から付けたい方は、トラクターの作業灯を増設する前に確かめることもあわせてご確認ください。

なお、大型の機械では2個積みが見られます。たとえば210H52という12Vの大型バッテリーがあります。

バス・大型トラック・大型トラクター・漁船用として、2個セットで販売されているという商品説明が見られます。ただし、これは販売店の商品説明にもとづく情報です。🟡メーカーの公式資料では確認できていません。

 

2個積みの機械で充電器を選ぶ方は、農機具用バッテリー充電器の選び方もあわせてご確認ください。

取扱説明書とメーカー窓口で確定させる

ここまでの3つで判断がつかない場合は、取扱説明書に戻ります。機械ごとの正解が書かれているのは、結局のところ取扱説明書です。

クボタは、バッテリの交換にかかる時間や方法は型式によって異なるため、取扱説明書を確認するよう案内しています。同社はトラクタの取扱説明書検索も公開しているため、手元に冊子がなくても機種名から探せます。

 

点検の周期についても、メーカーが目安を出しています。クボタは、バッテリの点検時間の目安を100時間ごととしています。

また、井関農機もトラクタの点検整備ポイントを公開しています。バッテリ液面のチェックは作業前・100時間毎または1回/年です。つまり、2社が同じ水準を示しています。

液量の見方は、JAたじまが分かりやすく案内しています。上限と下限のラインの間に液があるかを点検し、不足していれば蒸留水を上限まで補給します。

ただし、入れすぎると充電時に吹き出して金属部を腐食させます。そこも注意が必要です。

 

ちなみに、クボタは純正バッテリの特徴を公開しています。防爆フィルタ内蔵の設計、耐振動性、そして約2年間の無補水・約15ヶ月間の補充電不要です。

つまり、農作業の振動とホコリを前提に作られている点が、乗用車用との違いになります。

加えて、長期保管でバッテリーを外すときの注意もあります。クボタによると、バッテリーコードを外すと設定がリセットされる場合があります。

具体的には、メータパネルの時計、車載オーディオ、自動運転機能の設定などです。外す前に控えておくと、あとで慌てずに済みます。

 

維持研くん
維持研くん
電圧が分かると、充電器も交換用バッテリーも迷わず選べます。ここを飛ばして買うと、たいてい買い直しになります

結論として、見る・数える・測るで見当をつけ、最後に取扱説明書とメーカー窓口で確定させる。この順番が、遠回りに見えていちばん確実です。

トラクターのバッテリーが何ボルトか分からないまま買うと、何が起きる?

電圧を確かめずに買い物をすると、使えない道具が手元に残ります。農閑期明けの忙しい時期に届いた箱が使えないのは、金額以上に痛い出来事です。

ここからは、実際に起きる4つの損失と、困ったときの相談先を見ていきます。

充電器の電圧が合わないと、そもそも充電できない

バッテリー充電器は、対応電圧で製品が分かれています。ここを間違えると、箱を開けた時点で使えません。

具体的には、大自工業のメルテック MP-220はDC12V専用で、メーカーは小型農機にも適した製品として案内しています。一方、セルスターのDr.CHARGERシリーズには、DC12VとDC24Vの両方に対応するモデルがあります。

ただし両対応であっても、DC24Vで充電するときは制御方式が変わり、ブーストモードは使えないと案内されています。「24V対応と書いてあるから何でも大丈夫」とは言い切れません。

 

項目 メルテック MP-220 セルスター Dr.CHARGER(24V対応モデル)
対応電圧 DC12V専用 DC12V/DC24V
適合容量 4〜140Ah 30〜150Ah
24Vのときの制限 ― 7段階制御・ブーストモードなし
メーカーの用途例 小型農機・軽自動車〜ミニバンほか バイク〜大型トラックほか

出典:大自工業「MP-220 全自動パルス充電器」/セルスター工業「Dr.CHARGER」製品情報。🟡仕様は2026年8月時点です。購入前に最新の製品ページでご確認ください

 

 

見落としやすいのが、電圧とセットで書かれている適合容量です。容量が範囲から外れていると、充電に時間がかかったり、充電しきれなかったりします。

前の章で触れたとおり、農機用の容量は21Ahから230Ahまで幅があります。そのため、電圧だけを見て選ぶと足りなくなることがあります。

 

農閑期の補充電を考えている方は、その用途にも目を向けてください。GSユアサによると、使わずに保管しているだけでもバッテリーは放電します。

そのため、長期間使わない場合は3か月に1回程度の補充電が勧められています。つまり、冬場の納屋で眠らせる機械ほど、充電器の出番は増えます。

 

充電器を買う前に確認する3点
  • 対応電圧(12V専用か、12V/24V両対応か)
  • 適合容量の範囲(自分のバッテリーのAhが範囲内か)
  • 24Vで使うときの制限(機能が一部使えない場合がある)

結論として、充電器選びは電圧を確定させてからです。順番を逆にすると、買い直しになります。

電圧の違う機械をつないではいけない

ブースターケーブルの対応電圧表示と許容電流の見方を示した図

ブースターケーブル(バッテリー上がりのときに他の車両から電気をもらうケーブル)にも、対応電圧の区分があります。

たとえば大橋産業の製品には、「12V/24V・120A・5m」と対応電圧を明記したものがあります。逆に言えば、12V専用として売られている製品も流通しているということです。

 

さらに、許容電流の数字も見る必要があります。同じメーカーの製品でも、120Aと200Aといった違いがあります。

容量が小さいケーブルを大きな機械に使うと、電線やクリップが発熱します。つまり、電圧が合っていても太さが足りなければ危険です。

 

ケーブルの長さも実務では効いてきます。納屋の奥に入れたままの機械を助けるには、救援側の車両を近づけられる位置まで届く長さが必要です。大橋産業の製品では、5mのものが用意されています。

 

もちろん、実際に救援を頼む場面では、相手の車両が何ボルトかも関係します。12Vの機械と24Vの車両では、そのままつなぐことはできません。自分の機械が何ボルトかを把握していないと、その場で判断ができず、来てもらった相手にも迷惑がかかります。

そして、つなぐ順番にも決まりがあります。順番を間違えるとショートするおそれがあるため、作業前に手順を確認してから始めてください。

いま動かなくて応急処置を考えている方は、トラクターのバッテリー上がりの対処もあわせてご確認ください。

片方だけ替えると、もう片方が過充電になる

2個直列のバッテリーを同時に交換する考え方を示した図

2個直列の機械では、片方だけを新品に替えることは勧められていません。これは費用にも直結する話です。

GSユアサによると、2個のバッテリーを直列につないでいる場合は、充電も直列で行われます。そのため、片方の容量が不足していると、そちらに合わせて充電量が多くなります。

その結果、もう片方が過充電の状態になってしまいます。そこで同社は、2個同時に交換することを勧めています。

 

そのため、2個積みの機械では交換費用も2個分で見積もる必要があります。🟡本体価格は型番・購入先・時期によって変動するため、あくまで目安としてお考えください。

つまり、買う前に本数を数えておく意味は、ここにもあります。

 

選ぶときは、2個とも同じ型番でそろえるのが基本です(🟡組み合わせの可否は機械の仕様によるため、販売店にご確認ください)。片方だけ性能ランクの高いものを入れても、弱いほうに合わせて充電が進むため、期待した働きにはなりません。せっかく費用をかけても、寿命は短いほうに引っ張られます。

 

逆に言えば、1個積みの機械であれば、この心配はありません。自分の機械がどちらなのかを先に知っておくだけで、見積もりの前提が変わります。

取り外しの順番にも決まりがあります。クボタは、マイナス側のコードを最初に外し、次にプラス側を外すよう案内しています。

そして、取り付けるときは必ずプラス側からです。

 

また、充電中は水素ガスが発生します。同社はタバコを吸ったり火を近づけたりしないよう注意を促しています。引火して爆発するおそれがあるためです。

結論として、2個積みの機械は「2個で1組」と考えてください。片方だけ新しくしても、長持ちしません。

12.6Vあるのにエンジンがかからないとき

電圧は足りていても始動しない場合に確認する順番を示した図

電圧を測って12.6V前後あったのに、キーを回してもセルモーター(エンジンを始動させるモーター)が回らない。この状態は珍しくありません。

電圧は、いわば残量を示す目安です。一方、エンジンを始動させるには一瞬で大きな電流を流す力が必要になります。この2つは別の性能なので、電圧が足りていても始動できないことがあります。

 

そこで役に立つのが、バッテリー上面のインジケータ(内部の状態を示す小窓)です。クボタはトラクタのセルフメンテナンスで、色ごとの状態を案内しています。透明になっていれば、電圧の数字にかかわらず交換の時期にきています。

 

インジケータの色 状態 とるべき対応
緑 電解液の比重・液量とも良好 そのまま使用できる
黒 要充電 6〜7Aの普通充電電流で補充充電
透明 交換が必要 電圧の数字にかかわらず交換

出典:クボタ「バッテリの点検方法(トラクタのセルフメンテナンス)」

 

 

発電側を疑う方法もあります。Kaiseによると、エンジンを回した状態での正常値は13.5〜14.7Vです。回転数は2000〜2500rpm程度が目安とされています。

さらに、13V未満は発電量が不足、16V以上は過電圧とされています。🟡ただし、これは乗用車を前提としたテスターメーカーの目安です。農業機械での判断は、販売店にご相談ください。

コストン
コストン
止めているときと回しているとき、2回測ると原因の切り分けができます。数字が動かないなら発電側です

 

電圧は足りているのに始動しない状態が続いている方は、トラクターのバッテリー交換の判断基準もあわせてご確認ください。

分からないときの相談先と、聞き方

ここまで試しても分からない場合は、無理に電装をさわらないでください。分からないまま作業を進めるのが、いちばん損の大きい選択です。

電気系統の危険性については、農林水産省も注意を呼びかけています。浸水した農業機械について、バッテリー・電気配線やモーター部が水に浸かるとショートしやすくなると説明しています。

加えて、漏電の危険もあり、最悪の場合には火災につながることもあるとしています。

 

そのうえで、水が引いたらなるべく早く乾燥させるよう案内しています。まずは近くのJA農機センターや農機販売整備業者にご相談ください。詳しい内容は農林水産省:浸水した農業機械はエンジンをかけないでくださいでご確認ください。

浸水にかぎらず、電装まわりで判断がつかないときの相談先は同じです。JA(農協)の農機センター、購入した販売店、メーカーの相談窓口の3つが基本になります。

 

相談するときは、次の4つを控えてから連絡すると話が早く進みます。

  • メーカー名と機種名
  • 機体に貼られている型式
  • バッテリーの本数
  • バッテリー上面に書かれている型番

 

正確な情報は、メーカーの公式サイトや取扱説明書でご確認ください。最終的な判断は、JA・販売店・整備工場などの専門家にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

ラベルに12Vとあれば、機械も12Vと考えていいですか?
電圧の確認
それだけでは決められません。24Vの機械も12Vのバッテリーを2個直列にして作られているため、1個あたりのラベルは12Vになります。確認するのは、載っている本数です。2個ある場合は、中間のケーブルが+端子と−端子を結んでいるか(直列=24V)、+同士・−同士を結んでいるか(並列=12V)まで見てください。
コンバインや田植機のバッテリーも12Vですか?
機種
農業機械用として販売されているバッテリーは12Vです。パナソニックは、農業機械用PVシリーズをトラクター・コンバイン等に向けた12Vの製品として案内しています。ただし搭載される型式は機種ごとに異なります。実際の型番と本数は、現物のラベルと取扱説明書でご確認ください。
コンバインのバッテリーそのものについて詳しく知りたい方は、コンバインのバッテリーの選び方と交換費用もあわせてご確認ください。
型番の先頭の数字は、大きいものに変えていいですか?
型番
先頭の数字は性能ランク(始動性能と容量を合わせた総合的な性能)を表す部分です。電池工業会によると、数字が大きいほど性能はよくなります。一方で、サイズ記号・長さ・端子位置(RとL)を変えると、取り付けができなくなります。今ついている型番を控えてから選んでください。
機種名から電圧を調べることはできますか?
調べ方
適合表からは分からない場合があります。バッテリーの適合表には型式が載っていても、搭載する個数までは書かれていないことがあるためです。岡田商事も適合表の注意として、現車に搭載されているバッテリーのサイズ・CCA・品番・端子の位置・取付方法を必ず確認するよう案内しています。最終的には現物と取扱説明書で確かめるのが確実です。

【まとめ】トラクターのバッテリーは何ボルトか、要点を整理

トラクターのバッテリーは何ボルトか、という問いには、2つの答えが混ざっています。

バッテリーという製品そのものは、農機用として売られているかぎり12Vです。24Vの機械は、その12Vを2個直列につないで作られています。だから確かめるべきは、電圧そのものではなく本数とつなぎ方でした。

 

手順は、見る・数える・測る・聞くの4段階です。ラベルを見て、本数を数えて、迷ったらテスターで測り、それでも判断がつかなければ取扱説明書とJA・販売店に確認する。ここまでやれば、充電器も交換用バッテリーも迷わずに選べます。

  • 農機用バッテリーは12Vのみ。24Vという製品は売られていない
  • 型番(55B24R)に電圧の情報は含まれていない
  • 1個なら12V、2個なら配線を見る。直列は24V・並列は12V
  • テスターでは、エンジン停止時におよそ12.6〜12.7Vが12Vの目安
  • 2個積みは2個同時に交換する。片方だけだと、もう片方が過充電になる

 

電圧が分かってしまえば、あとの買い物は難しくありません。急いで決める必要はないので、まずは納屋に行って、バッテリーが何個載っているかを数えるところから始めてみてください。

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