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トラクターの水温計が上がったとき、すぐにキーを切るのは正解とは限りません。クボタKLシリーズの取扱説明書は、エンジンを約5分間アイドリングで回してから止めるよう書いています。
2026年9月時点で、編集部がメーカーの資料を開いて確かめた結果です。
つまり、あわてて止める前にすることがあります。さらに止めたあとも、30分以上は待つ理由があります。
代かきや真夏の耕うんの途中で、針がじわじわ上がってくる。ブザーが鳴って、赤い範囲に入ってしまった。
そんな場面で、今どうすればいいのか、直すといくらかかるのかを知りたい方に向けた記事です。
結論から言うと、まず作業を止めて約5分アイドリングし、エンジンを止めて30分以上冷まします。そのうえで冷却水、防虫網とラジエーターのフィン、ファンベルトの3つを見ます。

この記事で分かることは、次の4つです。
- 水温計の針が上がったときの止め方(メーカー2社の手順)
- 冷えてから見る3か所と、自分で手入れできる範囲
- 3か所に異常がないときに疑う部品
- 修理代の実額と、使い続けてよいかの目安
どれもメーカーの取扱説明書と公開資料、JAの料金表で確かめた内容です。金額には時点と税の扱いも添えています。
トラクターの水温計が上がったら、止め方と最初に見る3か所
前半では、針が上がったときの止め方と、冷えてから見る場所を順に見ていきます。どれも、取扱説明書に書かれている手順です。
すぐ止めない|クボタは約5分アイドリングしてから停止

まず、針が赤い範囲に入ったときの動き方です。クボタKLシリーズの取扱説明書には、「オーバヒートしたときの処置」という項目があります。
そこには、水温計の針がレッドゾーンを示したらオーバーヒートの状態だと書かれています。そのうえで、次の順番で動くよう指示しています。
- 作業を中止する
- エンジンを約5分間アイドリング回転にする
- エンジンを止め、30分以上たって冷えてから点検する
ポイントは2つ目です。熱くなったからといって、いきなりキーを切るのではありません。
なお、アイドリングとは、作業をせずにエンジンをいちばん低い回転で回しておくことです。走行も作業も止めたうえで、エンジンだけを静かに回しておく状態を指します。
三菱マヒンドラ農機のMTRシリーズの取扱説明書も、同じ考え方です。針がHを示したら作業を中断し、エンジンを低回転にして冷えてから止めるよう書いています。
つまり、2社とも「止める前に低回転で冷ます」でそろっています。ただし、三菱の資料には時間の記載がありません。
ヤンマーのEFシリーズの取扱説明書は、針がレッドゾーンを示したら作業を中断して点検するよう書いています。三菱のGEシリーズでは、オーバーヒートと同時にブザーが30秒間鳴り続けるとしています。
このように、知らせ方や書き方は型式で違います。ですから、5分という数字も含めて、最後はお手元の取扱説明書で確かめてください。
なお、ラジエーターにはオーバーフローパイプという、あふれた冷却水を逃がす管があります。クボタは、ここから蒸気が噴き出たときも同じ処置をするよう書いています。針を見ていなくても、湯気に気づいたら同じ手順です。
水温計のほかに、ランプやブザーが気になる方は、トラクターの警告灯の見分け方と対処もあわせてご確認ください。
止めたら30分待つ|熱いうちにキャップを開けない理由
次に、止めたあとの待ち時間です。クボタの取扱説明書は、停止後30分以上たって冷えてから点検するよう書いています。
とくに注意したいのが、ラジエーターのキャップです。クボタは、運転中や停止直後にキャップを開けると、熱湯が噴き出してやけどをするおそれがあるとしています。
理由は、キャップの役割にあります。クボタのエンジン用語集によれば、キャップは冷却水の通り道を密封し、中の圧力を決まった値に保つ部品です。
圧力をかけることで、冷却水が沸騰しにくくなります。つまり、熱いときの中身は、圧力で沸騰を抑えている状態です。
その状態でキャップを外すと、圧力が一気に抜けて熱い冷却水や蒸気が噴き出します。厚生労働省の職場のあんぜんサイトにも、車のキャップを開けて蒸気が吹き出し、顔を火傷しそうになった事例が載っています。
事例は自動車ですが、圧力をかけて冷やす仕組みはトラクターも同じです。ですから、同じことが起こり得ると考えてください。
また、冷えてから開ける場合も手順があります。クボタは、最初の止まる位置までキャップをゆっくり回し、余圧を抜いてから外すよう書いています。
もっとも、冷却水の量はリザーブタンク(予備の冷却水をためておく樹脂のタンク)で見られます。キャップを開けなくても確認できるので、無理に外す必要はありません。
待っている間は、ホースにも触らないでください。クボタの取扱説明書は、冷却水が通るホースに直接触れないよう書き、やけどなどの事故につながるとしています。
この30分の間に、次の項で見る防虫網の様子を外から眺めておくと、点検の時間を無駄にせずに済みます。触るのは、エンジンが冷えてからです。
最初に見るのは防虫網とフィン|水田や夜間作業で詰まる

冷えたら、点検に入ります。クボタが挙げる3つの点検のうち、外から見て分かりやすいのが防虫網とラジエーターのフィンです。
クボタは、フロントグリルと防虫網、フィンとチューブの間に泥やごみが付いていないかを確かめるよう書いています。フィンとは、ラジエーターの細かいひだのような放熱部分です。
ここが詰まると、風が通らなくなります。そのため、冷却水の量が足りていても、熱を逃がしきれなくなります。
では、何が詰まるのか。クボタの取扱説明書は、水田や夜間の作業で、防虫網に実や昆虫が付いて詰まることがあると書いています。
実際に、ヤンマーもオーバーヒートの原因にラジエーターのスクリーンのごみ詰まりを挙げています。ヤンマーのセルフ点検のページでは、スクリーンやフィンのすき間のごみを点検項目にしています。
さらに井関農機は、ラジエーターが目詰まりするとオーバーヒートし、オイルの消費量も増えるとしています。3社とも、目詰まりを原因に挙げているわけです。
ラジエーター修理の専門業者も、同じ見方です。愛知県の三協ラジエーターは、枯れ草や草の実、虫でフィンが目詰まりすると説明しています。
そのうえで、外側はエアーで飛ばしてから水で洗い、フィンを寝かせないよう勧めています。つまり、力まかせに洗うほど逆効果になりやすい部分です。
加えて、同じ業者は、農薬や堆肥から出るアンモニアが銅を腐食させるとも書いています。肥料と同じ納屋に置いている場合は、フィンの傷みにも目を向けておきたいところです。
- エンジンを必ず止めてから清掃する
- 防虫網は外して、ごみを水道水などで取り除く
- フィンのごみは、エアブローか水道水で取り除く
- 高圧洗車機はフィンを傷めないよう、当て方に注意する
この4つは、クボタの取扱説明書にある清掃の注意です。とくに高圧洗車機は、フィンを曲げてしまうと風の通りがかえって悪くなります。
ちなみに、クボタは防虫網の清掃を日常点検の項目に入れています。水田で使う時期は、作業前に毎回見ておくと安心です。
とくに水田では、クボタが挙げる泥と、実や昆虫の両方が付きやすくなります。作業の合間にも網の汚れを確かめておくと、針が上がる前に気づけます。
詰まりを取って冷却水とベルトにも異常がなければ、しばらく様子を見られます。それでも同じように上がるなら、次の項からの点検に進みます。
冷却水の量と漏れ|リザーブタンクは冷えてから見る

2つ目は、冷却水です。クーラント液やラジエター液とも呼ばれる、エンジンを冷やすための液です。
クボタは、リザーブタンクとラジエーターの冷却水の量が足りているか、水漏れがないかを確かめるよう書いています。ヤンマーも、冷却水が足りないとエンジンが過熱すると説明しています。
量を見るのは、冷えている時です。ヤンマーは、作業後など温まっている状態では量が増えて見えるので、正確に点検できないとしています。
次に、足りないときの足し方です。ここはメーカーによって書き方が違います。
ヤンマーのセルフ点検のページは、冷却水が少ない場合は清水を補給するよう書いています。一方でクボタは、指定の混合比になるよう不凍液と水を混ぜて補充するとしており、出荷時の混合比は50%です。
交換の時期も違います。ヤンマーは1年ごと、クボタのセルフチェックシートは2年で交換としています。
ですから、足し方も交換時期も、お手元の取扱説明書に合わせてください。他社の数字を当てはめないことが大切です。
そもそもクボタは、リザーブタンクがあれば長い期間、冷却水の補充は要らなくなると説明しています。何度も足しているなら、それ自体が異常のサインです。
漏れの手がかりも、メーカーの資料にあります。ヤンマーは、漏れた冷却水が乾くと白い粉のような跡が残ると書いています。
また、冷却水の色が白くにごっていないかも点検項目です。ヤンマーは、にごっている場合は交換するよう書いています。
さらに、クボタの取扱説明書は、水を送るホースを2シーズンごとに交換するよう書いています。ひびやふくらみ、継ぎ目からの水漏れを見つけたら、早めの修理が必要です。
クボタのセルフチェックシートも、ラジエーターホースは破損がなくても2年を目安に交換するとしています。見た目がきれいでも、年数で替える部品という位置づけです。
冷却水が減っていて、漏れている場所を探したい方は、トラクターのラジエーター水漏れの探し方もあわせてご確認ください。
ファンベルトのゆるみ|オーバーヒートと充電不足の両方の原因

3つ目は、ファンベルトです。エンジンの前側にある、ゴムのベルトです。
実は、このベルト1本が冷却と発電の両方を受け持っています。そのため、ここがゆるむと、水温計と充電の両方に症状が出ることがあります。
ヤンマーは、冷却ファンベルトが冷却水を回すポンプと、発電装置を動かしていると説明しています。そのため、張りが弱かったりすり減っていたりすると、オーバーヒートと充電不足の両方が起きるとしています。
クボタのファンベルトの点検・交換方法も同じです。ベルトの張りがゆるいと、オーバーヒートや充電不足の原因になると書いています。
点検のしかたは、ベルトの中央を指先で押してみることです。クボタは、約12mmたわむ程度が適正な張りだとしています。
ただし、この数字は型式で違います。ヤンマーのページでは、同じページの中に2通りの数字が載っていました。
そのため、たわみの量はお手元の取扱説明書で確かめてください。調整の目安について、クボタは100時間ごととしています。
加えて、クボタは、き裂やはがれがあれば購入先で交換するよう書いています。ゆるみは調整で済むこともありますが、傷んだベルトは交換です。
ちなみに、クボタのページには、張りの調整のしかたも載っています。発電機を留めているボルトをゆるめ、位置を動かして張りを合わせる方法です。
とはいえ、締め付けが甘いと、またすぐにゆるみます。自信がなければ、点検までを自分で行い、調整は販売店に頼むのが確実です。
実際に、三菱の取扱説明書は、運転中に充電ランプが点いたらファンベルトを点検するよう書いています。水温計と充電ランプが同時におかしいときは、まずベルトです。
トラクターの水温計が上がる原因と、直すといくらかかるか
後半では、3か所を見ても原因が分からないときに疑うものを整理します。そのうえで、直す費用をJAの料金表と部品の価格で確かめます。
ヤンマーはエンジンオイルも原因に挙げる
ここまでの3か所は、クボタと三菱が共通して挙げていた点検です。一方で、ヤンマーはもう1つ別の原因を挙げています。
ヤンマーのシーズン中のトラブル対応は、「オーバーヒートする」の原因を並べています。そこには、ファンベルト、冷却水、ラジエーターのスクリーンに加えて、エンジンオイルの量や汚れが入っています。
ヤンマーのセルフ点検のページも、エンジンオイルの項目で同じことを書いています。オイルが汚れている、粘りがない、量が少ない場合に予想されるトラブルとして、エンジンの過熱を挙げています。
同じ項目には、エンジンの力が出なくなることや、マフラーから白い煙が出続けることも並んでいます。つまり、水温計の針だけでなく、力の落ち方や排気の色も手がかりになります。
ですから、冷却系を見ても異常がないときは、オイルの量も確かめてください。ヤンマーは、エンジンが冷えている状態で点検するよう書いています。
手順は、オイルゲージを抜いて先端をきれいな布で拭き、もう一度差し込んでから抜いて見る方法です。オイルが上限と下限の間に付いていれば適正で、拭くときに汚れ具合も確かめます。
交換の目安も書かれています。ヤンマーは、DH2オイルを使う場合、2回目以降は200時間ごとの交換としています。
とはいえ、オイルを足すときの種類や量は、機種ごとに決まっています。お手元の取扱説明書の指定に合わせてください。
また、ヤンマーは同じ一覧で、エンジンオイルフィルタの汚れも挙げています。長く交換していないなら、オイルと一緒に交換時期を確かめておきます。
エンジンオイルの交換時期と費用も確かめたい方は、トラクターのオイル交換費用の目安もあわせてご確認ください。
3か所に異常がないなら|サーモスタットやポンプなど中の部品

防虫網も冷却水もベルトも問題なく、オイルも足りている。それでも針が上がるなら、外からは見えない部品を疑うことになります。
1つ目は、サーモスタットです。クボタのエンジン用語集によると、ラジエーターとエンジンの間の水路を開け閉めする部品です。そうすることで、冷却水を80〜90度の適温に保っています。
この水路がうまく開かないと、冷却水がラジエーターへ回りにくくなります。その結果、外に異常がなくても温度が下がりにくくなると考えられます。
2つ目は、冷却水を送るポンプです。クボタの用語集では、羽根車で冷却水を送り出す装置で、冷却ファンと同じ軸に付いていることが多いとしています。
このポンプを動かしているのが、前半で見たファンベルトです。ベルトに問題がないのに冷却水がうまく回らないなら、ポンプの側を疑う順番になります。
ここは分解しないと中の状態が分かりません。そのため、この段階からは販売店やJAの農機センターの仕事になります。
3つ目は、ラジエーターのキャップです。前の項で見たとおり、キャップは中に圧力をかけて、冷却水を沸騰しにくくする部品です。
そのため、キャップが傷むと、冷却水が沸騰しやすくなると考えられます。ラジエーター修理の専門業者は、キャップは安価なので早めの取り替えを勧めています。
ただし、キャップには規格の違いがあります。型式に合うものを選ぶ必要があるので、品番は販売店で確かめてください。
加えて、クボタの取扱説明書は、オーバーヒートなどで異常があるとエンジン異常の警告灯が点滅するとしています。止めてかけ直しても元に戻らない場合は、購入先に相談するよう書いています。
なお、計器の側に原因がある例もあります。冷却系に異常が見つからず、ライトを点けると針が動くなど不自然な場合は、水温を測る部品や配線の点検も頼んでください。
いずれにしても、ここは自分で判断しきれない部分です。見た場所と、針が上がった時の作業内容を書き留めてから相談すると話が早く進みます。
修理代の目安|ファンベルトは工賃1,980円、ラジエーター交換は約2万円

では、直すといくらかかるのか。工賃は、JAの料金表で確かめられます。
JAハイナン農機センターの農機修理標準技術料金表では、30PSクラス以下の多気筒ディーゼルエンジンの項目に金額があります。ファンベルト交換は0.3時間で1,980円、ラジエータ交換は3時間で19,800円です。
| 作業 | 工賃 |
|---|---|
| ファンベルト交換 | 1,980円(JAハイナン・標準0.3時間) |
| ラジエータ交換 | 19,800円(JAハイナン・標準3時間) |
| ラジエータ取替 | 22,000円以上(JA兵庫みらい) |
| 表にない作業 | 1時間6,600円(JAハイナン)・7,700円(JA兵庫みらい) |
サーモスタットやウォーターポンプの交換は、どちらの料金表にも項目がありません。JAハイナンの場合、表にない作業は1時間6,600円で計算すると書かれています。
次に、部品代です。2026年9月時点の通販の表示価格(税込)では、次のような例がありました。
| 部品 | 価格の例 |
|---|---|
| ファンベルト(クボタ純正) | 2,528〜4,398円 |
| ファンベルト(ヤンマー純正) | 2,200〜3,620円 |
| サーモスタット(クボタ) | 4,240〜4,510円 |
| ラジエーターキャップ(クボタ) | 4,070円 |
| ラジエーター本体(GL32用・社外新品) | 61,050円 |
つまり、ベルトなら工賃と部品を合わせても数千円で済みます。一方でラジエーター本体の交換になると、工賃約2万円に本体代が加わり、桁が変わります。
具体的に足し算してみます。JAハイナンでファンベルトを交換すると、工賃1,980円に部品代2,200〜4,398円が加わります。つまり、合計で約4,000〜6,400円です。
一方、ラジエーターを交換すると、工賃19,800円に本体代が乗ります。GL32用の社外新品61,050円の例なら、合計は8万円を超えます。
ただし、どちらも出張料や運搬料は含まない計算です。部品は通販価格の一例なので、販売店で頼むと金額が変わることもあります。
さらに、来てもらう場合は出張料もかかります。JAハイナンは一律1,650円、JA兵庫みらいは2,200円としています。
動かせない状態で運んでもらう場合は、運搬料も加わります。JAハイナンは機械運搬を小型1,100〜3,300円、大型3,300円としています。
また、JA兵庫みらいは、引取搬送料を積車5,500円としています。畑で止まった機械を引き上げる作業は、16,200円以上です。
もちろん、ここに挙げた金額は公表されている一例です。見積もりを取るときは、工賃と部品代を分けて書いてもらってください。
冷却系以外の修理費もまとめて比べておきたい方は、トラクターの修理費用の相場もあわせてご確認ください。
何度も上がるなら使い続けない|1度で歪むこともある
最後に、使い続けてよいかの目安です。針がいったん下がると、そのまま作業を続けたくなります。
ただ、オーバーヒートは1回で済めばいい、という話ではありません。JICA筑波の農業機械の維持管理の資料は、1度でもオーバーヒートを起こすとエンジンの各所が歪む場合があると書いています。
そのうえで、冷却水の管理を徹底するよう求めています。つまり、上がった原因を突き止めないまま使うのは、同じ危険をくり返すことになります。
同じ資料は、焼き付きについても説明しています。エンジンオイルが足りなくなり、ピストンとシリンダーが溶けてくっついてしまう状態です。
ここまで進むと、部品の交換では済まなくなります。水温とオイルの両方を見ておくことが、いちばん安い予防です。
クボタの取扱説明書も、水を送るホースの傷みやジョイントからの水漏れを見つけたら、速やかに修理を受けるよう書いています。放っておくと、エンジンの焼き付きなど重大な故障につながるとしています。
予防の目安も、取扱説明書に載っています。クボタは2年ごとの点検・整備として、冷却水の交換とラジエーターの洗浄、ホースの交換を挙げています。
実際に、農機の売買サイト「ノウキナビ」のブログが整備例を紹介しています。汚れた冷却水を抜き、ラジエーターとエンジンを水で洗ってから入れ替えたという内容です。
同じ記事は、冷却水を長く交換せずに使うと、中にカスなどがたまって流れが悪くなり、オーバーヒートにつながると説明しています。見た目がにごってきたら、交換時期を待たずに相談するのが安心です。
そこで、目安を1つ置いておきます。防虫網の清掃や冷却水の補充のあと、同じ作業で針が上がらなければ様子見で構いません。
一方で、何度も上がる、冷却水がすぐ減る、警告灯の点滅が消えない、といった場合は使うのを控えます。そのうえで、販売店やJAに見てもらってください。
その結果、エンジンの中まで傷んでいると分かることもあります。年式が古く、ほかにも不調を抱えた機械なら、直すか手放すかを比べる場面です。
修理を重ねるより手放すほうが合うか迷っている方は、動かないトラクターを手放す前の確認もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
水温計が上がったら、エンジンに水をかけて冷やしてもいいですか?
編集部が確かめたメーカーの資料には、水をかけて冷やす方法は書かれていませんでした。クボタの取扱説明書は、作業を中止して約5分アイドリングしたあとエンジンを止め、30分以上たって冷えてから点検するよう書いています。お手元の取扱説明書の手順に従ってください。
冷却水が減っていたら、水道水を足してもいいですか?
メーカーによって書き方が違います。ヤンマーは冷却水が少ない場合は清水を補給するとしており、クボタは指定の混合比になるよう不凍液と水を混ぜて補充するとしています。お手元の取扱説明書に合わせてください。何度も減るなら、どこかで漏れている可能性があります。
針がすぐに下がったら、そのまま作業を続けてもいいですか?
針が下がっても、原因が残っていればまた上がります。クボタの取扱説明書は、冷えてから冷却水の量と漏れ、防虫網とラジエーターのフィンの汚れ、ファンベルトのゆるみを点検するよう書いています。この3つを確かめてから作業に戻ってください。
反対に、水温計がなかなか上がらないのは故障ですか?
クボタのエンジン用語集によると、サーモスタットは冷却水を80〜90度に保ち、寒い時期に冷えすぎるのを防ぐ部品です。いつまでも針が上がらない場合は、この部品や計器の側に原因があることも考えられます。原因の特定は、販売店やJAの農機センターに相談してください。
【まとめ】トラクターの水温計が上がったら、この順番で
ここまで解説したとおり、トラクターの水温計が上がったときは、止め方から順番があります。最後に、流れだけ整理しておきます。
- 作業を止め、約5分アイドリングしてからエンジンを止める
- 30分以上待ち、熱いうちはラジエーターのキャップを開けない
- 防虫網とフィンの詰まり、冷却水の量と漏れ、ファンベルトを見る
- 異常がなければ、エンジンオイルの量と汚れも確かめる
- 何度も上がるなら使うのを控え、販売店やJAに相談する
この5つのうち、いちばん飛ばされやすいのが1番です。すぐにキーを切りたくなりますが、クボタも三菱も、低回転で冷ましてから止めるよう書いています。
そして3番のうち、防虫網の清掃はお金がかからない確認です。水田や夜間の作業では、実や虫で詰まりやすくなります。
費用の見通しも整理しておきます。JAの料金表では、ファンベルト交換の工賃が1,980円、ラジエーター交換が19,800円と22,000円以上でした。
そこに部品代が加わります。ベルトなら数千円ですが、ラジエーター本体は一例で61,050円と、場所で桁が変わります。
なお、この記事の金額は2026年9月時点で公表されている内容をもとにした目安です。機種・年式・状態・地域・依頼先によって変わります。
止め方の時間や点検の手順は、必ずお手元の取扱説明書に従ってください。判断に迷うときは、メーカーの販売店やJAの農機センターにご相談ください。