修理・維持費

トラクターのラジエーター水漏れ、疑うのは本体よりホースが先

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冷却系ホースの継ぎ目に残った白い跡のイメージ
AI生成のイメージ画像です。実際の機種・部品とは異なる場合があります。

ヤンマーのトラクターのシーズン中のトラブル対応を開くと、「冷却水が漏れている」の原因が1行だけ書かれています。そこにあるのはラジエーター本体ではなく、ラジエータホースの破損と、ホース継手部からの漏れです。

2026年9月時点で、編集部がメーカーの公開ページを開いて確かめた結果です。

つまり、本体の交換を覚悟する前に確かめる順番があります。安い部品から疑っていけば、出ていくお金の見当も早く付きます。

納屋の床に、緑色の液が乾いた跡が残っている。リザーブタンクの液が、前に見たときより減っている。

そんな場面で、どこから漏れているのか、直すといくらかかるのかを先に知っておきたい方に向けた記事です。

結論から言うと、まずエンジンが冷えてから白い粉の跡を探します。そのうえでホース、キャップ、本体の順に疑い、本体の交換はJAの料金表で工賃だけ約2万円からと見ておきます。

トラクターのラジエーター水漏れを疑う順番をホース・キャップ・本体の3段階で示した図

この記事で分かることは、次の4つです。

  • トラクターのラジエーター水漏れの場所の見つけ方
  • 冷却水の足し方と交換時期で、メーカーによって違うところ
  • ラジエーター交換の工賃と部品代の実額
  • 漏れ止め剤で済む範囲と、直すか手放すかの分かれ目

どれもメーカーの公開資料とJAの料金表で確かめた内容です。金額と時点も添えています。

 

トラクターのラジエーター水漏れは、どこから漏れているのか?

前半では、漏れやすい場所と見つけ方、そして冷却水の扱いでメーカーが書いていることを見ていきます。安全に確かめるための注意も、ここでまとめて押さえます。

漏れの筆頭はホース|ヤンマーが最初に挙げる場所

トラクターのラジエーター水漏れで疑う場所として、ホースと継手部を示した図

まず、漏れやすい場所からです。ヤンマーのトラブル対応のページは、現象ごとに原因を並べています。

その中で「冷却水が漏れている」に書かれているのは、ラジエータホースの破損とホース継手部からの漏れです。本体の穴や割れは、この項目には挙がっていません。

ホースは、熱い冷却水がエンジンとラジエーターの間を行き来する通り道です。ヤンマーも、破損やヒビ割れがないかを点検のポイントに挙げています。

実際に、ヤンマーのセルフ点検のページはホースの交換を「2年ごと」としています。破損がなくても時期で換える部品、という位置づけです。

さらに、同じページには「ここに注意」として3つの確認点があります。カバー類にホースが当たっていないか、曲がり部は大丈夫か、ホースバンドにゆるみはないか、です。

 

  • カバー類にホースが当たって、こすれていないか
  • ホースの曲がっている部分に、ヒビや折れがないか
  • ホースバンド(締め金具)がゆるんでいないか

とくに3つ目のホースバンドは見落とされがちです。ホース自体は無事でも、継ぎ目がゆるんで少しずつにじむことがあります。

維持研くん
維持研くん
本体を疑う前に、ホースの両端を指でなぞってみてください。湿り気や粉が付くなら、そこが第一候補です。

もちろん、本体から漏れることもあります。ただ、順番としてはホースと継ぎ目が先です。部品代も手間も、本体の交換よりずっと小さく済みます。

あわせて見ておきたいのが、ファンベルトです。ヤンマーは、冷却ファンベルトが冷却水を循環させるポンプと発電装置を動かしていると説明しています。

そのため、ベルトがゆるんだり傷んだりすると、漏れていなくてもエンジンが過熱します。加えて、バッテリーにも充電されなくなるとしています。

ですから、水温が上がるのに跡が見つからないときは、ベルトの張りと傷みも確かめてください。適正な張りの数値は型式で違うので、取扱説明書で確認します。

ベルトからキュルキュルと音がする方は、トラクターのベルト鳴きの見分け方もあわせてご確認ください。

なお、ヤンマーの点検ページでは冷却水の色を緑色としています。床の跡がぬるぬるした油なら、冷却水ではなくオイルの可能性があり、見る場所がまるで変わります。

漏れているのが冷却水ではなくオイルかもしれない方は、トラクターの前輪オイル漏れ修理の目安もあわせてご確認ください。

白い粉が目印|エンジンが冷えてから見る3か所

トラクターのラジエーター水漏れの跡として白い粉が付く3か所を示した図

次に、見つけ方です。ヤンマーのトラクターのセルフ点検・交換には、はっきりした目印が書かれています。

冷却水の項目では「漏れた冷却水が乾き、白い粉が付着していないか確認」とあります。ホースの項目でも、漏れのある箇所の周辺には白い粉のようなものが付着する、と説明しています。

つまり、濡れているかどうかだけで判断しなくてよいのです。乾いたあとに残る粉が、漏れた場所を教えてくれます。

見る場所は、大きく3か所です。ホースの両端の継ぎ目、ラジエーター本体、そして保管している場所の地面です。

 

白い粉と跡を探す3か所(ヤンマー「トラクターのセルフ点検・交換」より・🟡位置は型式で異なる)
場所 見るところ
ホースの継ぎ目 白い粉・ヒビ割れ・ホースバンドのゆるみ
ラジエーター本体 冷却水の跡・フィンの変形・ゴミの詰まり
保管場所の地面 一晩置いたあとの液の跡

3つ目の地面は、ヤンマーが保管時の点検として挙げている方法です。地面やラジエーターに漏れた冷却水の跡がないかを確かめ、あわせてフィンの変形も見るよう書いています。

ですから、作業後に納屋へ入れたら、翌朝に床を見てみてください。跡の位置から、どのあたりで漏れているかの見当が付きます。

ただし、確かめるのは必ずエンジンが冷えてからです。ヤンマーもクボタも、冷却水の点検はエンジンが冷えた状態で行うよう書いています。

加えて、フィンの目詰まりも同じ機会に見ておくと効率的です。クボタのセルフチェックシートも、ほこりやわらくずが詰まっていないかを確認項目にしています。

ラジエーターには、ゴミよけのスクリーンが付いている型式もあります。ヤンマーは、スクリーンを上に引き上げて外し、ハケや空気で清掃するよう書いています。

また、ラジエーター修理の専門業者は、農薬や堆肥から出るアンモニアが銅を腐食させると説明しています。納屋で肥料と一緒に置いている場合は、本体の傷みにも目を向けておきたいところです。

とはいえ、ここまで見ても跡が見つからないこともあります。漏れの量が少ないと、はっきりした跡にならない場合があるからです。

その場合は、次の項で見るリザーブタンクの減り方が手がかりになります。

補充が要るなら、どこかから減っている|リザーブタンクの仕組み

ここで、そもそも冷却水は減るものなのかを確かめておきます。答えは、クボタのエンジン用語集に書かれています。

クボタはリザーブタンクについて、ラジエーターキャップ部とオーバフローパイプでつながれたタンクだと説明しています。

冷却水が熱くなって膨らむと、あふれた分がタンクへ送られます。冷えると、タンクの水がラジエーターへ戻ります。

そのうえでクボタは、リザーブタンクがあると長期間、冷却水の補充が不要になると書いています。行ったり来たりするだけで、外へは出ていかない仕組みだからです。

ですから、メーカーの説明から読み取れることは1つです。何度も補充が要るなら、どこかから冷却水が出ていると考えられます。

確かめ方も、両社の資料にそろっています。ヤンマーはサブタンクの上限と下限の間、クボタはHIGHとLOWの間にあるかを見るとしています。

ここで注意したいのが、エンジンの温度です。ヤンマーは、作業後など温まっている状態では量が増えるので正確に点検できない、と書いています。

ギア
ギア
朝いちばん、動かす前に液面を見る。これを数日続けると、減っているかどうかがはっきりします。

もちろん、減り方がわずかなら急ぐ必要はありません。ただ、毎回のように足しているなら、漏れを探すほうが先です。

というのも、足し続けても原因は残るからです。減った分を水だけで補っていると、冷却水の濃さも少しずつ変わっていきます。

また、長く動かさずに置いた機械ほど注意が要ります。ラジエーター修理の専門業者は、農機はエンジンをかけない時間が長く、冷却水による腐食が多いと説明しています。

同じ業者は、冷却液を入れていても2〜3年したら内部の洗浄と冷却水の取り替えをするよう勧めています。長く置いた機械ほど、この目安を意識しておくと安心です。

納屋や屋外に置いたままの期間が長い方は、農機具を雨ざらしにしたときの判断材料もあわせてご確認ください。

熱いうちにキャップを開けない|蒸気が噴き出す理由

トラクターのラジエーター水漏れの点検で、熱いうちにキャップを開けてはいけない理由を示した図

点検でいちばん気を付けたいのが、ラジエーターのキャップです。漏れを見つけると、すぐに中をのぞきたくなりますが、熱いうちは開けないでください。

理由は、キャップの役割にあります。クボタのエンジン用語集は、キャップを冷却水路を密封して内圧を規定圧力に保つ部品だと説明しています。

さらに、冷却水が沸騰しないようにして、気泡の発生を抑える働きがあるとしています。つまり中は、圧力をかけて沸騰を抑えた状態です。

その状態でキャップを外すと、押さえていた圧力が一気に抜けます。すると、熱い冷却水や蒸気が噴き出すことになります。

実際に、厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、こうした事例が載っています。車のラジエーターのキャップを開けたところ、蒸気が吹き出して顔面を火傷しそうになった、という内容です。

事例は自動車ですが、キャップで圧力をかける仕組みはトラクターも同じです。ですから、同じことが起こり得ると考えてください。

コストン
コストン
作業の直後がいちばん危ない時間です。点検は翌朝か、十分に冷めてからにしてください。

ヤンマーとクボタも、冷却水の点検はエンジンが冷えた状態で行うよう書いています。液面はリザーブタンクで見られるので、キャップを外さなくても確認できます。

実際に、ヤンマーの交換手順でキャップを外すのは、冷却水をすべて入れ替えるときです。それもエンジンが冷えている状態で行う、と書かれています。

一方で、作業中に水温が上がってきた場合は別の対応になります。そのときは、まず作業を止めることが先です。

ヤンマーのトラブル対応は、オーバーヒートの原因をいくつも挙げています。冷却水の不足やファンベルトのゆるみ、ラジエータースクリーンの詰まりなどです。つまり水漏れは、そのうちの1つにすぎません。

水温計の針や警告灯の点灯が気になる方は、トラクターの警告灯の見分け方と対処もあわせてご確認ください。

冷却水の交換はヤンマー1年、クボタ2年|足し方も違う

トラクターのラジエーター水漏れに関わる冷却水の交換時期と足し方をヤンマーとクボタで比べた図

冷却水の扱いは、メーカーによって書き方が違います。ここは読み比べると、はっきり差が出るところです。

まず交換時期です。ヤンマーのセルフ点検のページは「冷却水の交換は1年ごと」としています。

一方、クボタのクボタトラクタセルフチェックシートは「2年で交換」です。ホースについては、両社とも2年を目安にしています。

 

冷却水とホースの扱いの違い(ヤンマー・クボタの公開資料より・2026年9月時点/🟡型式で異なる)
項目 ヤンマー クボタ
冷却水の交換 1年ごと 2年で交換
足りないときの補充 清水を補給 指定の混合比で不凍液と水を混ぜて補充
不凍液の割合 外気温で15〜45%の目安表 50%(出荷時も50%)
ラジエーターホース 2年ごとに交換 破損がなくても2年を目安に交換

次に、足し方です。ヤンマーは、冷却水が少ない場合は清水を補給するよう書いています。

これに対してクボタは、長期格納時のメンテナンスの記事で、指定の混合比になるよう不凍液と水を混ぜて補充するとしています。出荷時の混合比は50%です。

ヤンマーは、不凍液と水の割合を外気温ごとの目安表で示しています。たとえば外気温がマイナス10℃なら不凍液25%、マイナス20℃なら35%という具合です。

さらに、交換の手順も書かれています。キャップとドレンプラグを外して全部抜き、水道水でゴミやサビが出なくなるまで洗ってから、不凍液と水を入れる流れです。

ここで言う不凍液は、ロングライフクーラント(LLC)とも呼ばれます。クボタの用語集によれば、エチレングリコールを主成分に、腐食を防ぐ成分を多く入れたものです。

同じ用語集では、LLCなら四季を通じて2年間使えるとしています。つまり、セルフチェックシートの2年という交換時期とも一致します。

では、どちらに合わせればいいのか。答えは、お手元のトラクターの取扱説明書です。メーカーごとに前提が違うので、他社の数字を当てはめないでください。

なお、市販のLLCのメーカーも注意を書いています。古河薬品工業は、交換時に他の不凍液や油と混ぜないようにするとしています。

ですから、種類の違う液を継ぎ足すのは避けてください。種類が分からないときは、販売店で同じものを聞くのが確実です。

ほかの油脂の交換時期もまとめて押さえたい方は、トラクターのオイル交換費用の目安もあわせてご確認ください。

 

トラクターのラジエーター水漏れ、直すか手放すかの決め方

後半では、直すといくらかかるのかを、JAの料金表と部品の実例で見ていきます。そのうえで、漏れ止め剤の扱いと、直すか手放すかの分かれ目を整理します。

ラジエーター交換の工賃は、JA2件で約2万円から

トラクターのラジエーター水漏れで本体を交換する場合のJAの工賃を2件並べた図

本体を交換することになった場合の工賃は、JAの料金表で確かめられます。編集部が見つけた公表例は2件です。

1件目はJAハイナン農機センターの農機修理標準技術料金表です。30PSクラス以下の多気筒ディーゼルエンジンで、ラジエータ交換は標準3時間、19,800円となっています。

2件目はJA兵庫みらいの農業機械点検整備料金表(令和7年4月改定)です。トラクターのラジエータ取替は、22,000円以上とされています。

 

JAの料金表に出ているラジエーター交換の工賃(税込・部品代は別/🟡地域・型式で異なる)
JA 工賃
JAハイナン 19,800円(ラジエータ交換・30PSクラス以下・標準3時間)
JA兵庫みらい 22,000円以上(トラクターのラジエータ取替)

どちらも工賃だけの金額です。JAハイナンは部品代や加工代を含まないと明記し、JA兵庫みらいも部品代と油脂代は実費で加算するとしています。

加えて、呼び方によっては別の費用もかかります。JAハイナンは出張料を一律1,650円、JA兵庫みらいは出張料を2,200円としています。

また、表にない作業は時間で計算されます。JAハイナンは1時間6,600円、JA兵庫みらいは作業料金を1時間7,700円としています。

さらに、農機センターまで運んでもらう場合は運搬料もかかります。JAハイナンは機械運搬を小型1,100〜3,300円、大型3,300円としています。

ホースの交換やウォーターポンプの交換は、どちらの表にも項目がありません。JAハイナンの場合、表にない修理は時間あたりの料金で計算すると書かれています。

ここで取り違えやすいのが、金額の中身です。「本体交換で約2万円」は工賃だけの話で、本体の値段はこの上に乗ります。

もちろん、ここに挙げた金額は2件の公表例にすぎません。地域や型式、機械の状態によって変わります。

ですから、見積もりを取るときは、工賃と部品代を分けて書いてもらってください。どちらが大きいかで、次の判断が変わります。

部品代は場所で桁が変わる|キャップ4,070円、本体は6万円台

次に部品代です。漏れた場所によって、かかる金額の桁が変わります。

いちばん小さいのがラジエーターキャップです。クボタ純正のトラクター用ラジエーターキャップ(15272-72020)は、通販サイトで4,070円(税込)でした。

2026年9月時点の表示価格です。適用型式の例には、ASTE A15・A17・A19、L2602DT、L1501などが並んでいます。販売ページには、キャップは消耗品だと書かれています。

ラジエーター修理の専門業者も、キャップは安価なので早めの交換を勧めています。ただし、キャップには規格違いがあるので、型式に合うものを選ぶ必要があります。

一方、本体になると桁が変わります。クボタのトラクターGL32用のラジエーターは、社外品の新品で61,050円(税込)という販売例がありました。

これは1つの型式の1つの例です。とはいえ、キャップとは10倍以上の開きがあることは分かります。

維持研くん
維持研くん
本体の前にキャップとホースを疑う理由は、ここにあります。外れたら、次の部品に進めばいいだけです。

さらに、本体を新品にしない方法もあります。ラジエーター修理の専門業者には、傷んだ冷却部分(コア)だけを取り替えて再生する仕事があります。

その業者は、コアの腐食による水漏れはコアを取り替え、タンクや接続部の割れにはロウ付けなどで対応するとしています。ただし、金額は公表されていないので、見積もりで比べることになります。

ちなみに、この販売店の保証の注意書きも参考になります。規定圧力以上のラジエーターキャップを使った場合や、クーラント以外を入れた場合は保証の対象外としています。

つまり、販売する側もキャップの規格と入れる液の種類を気にしているということです。安い部品だからといって、合わないものを付けないようにしてください。

いずれにしても、合計は工賃と部品代の足し算です。本体交換なら、JAの工賃約2万円に本体代が加わると考えておきます。

ラジエーター以外の修理費も比べておきたい方は、トラクターの修理費用の相場もあわせてご確認ください。

漏れ止め剤で済むのは、一時しのぎまで

トラクターのラジエーター水漏れで漏れ止め剤が止められる漏れと止められない漏れを示した図

修理の前に、市販の漏れ止め剤を試したくなる方も多いはずです。ここは、作っている側の書き方を見ておきます。

ある自動車用の漏れ止め剤のメーカーは、使い方に数分後に漏れが止まることを確認するよう書いています。そして、30分以上漏れが直らない場合は直接その部位を修理するよう書いています。

つまり、メーカー自身が止まらない場合があることを前提にしています。万能な修理ではない、ということです。

ラジエーター修理の専門業者の見方は、さらに慎重です。漏れ止め剤はあくまでも一時的な補修で、いつ再発するか分からないとしています。

加えて、止められない漏れも挙げています。亀裂や大きな穴、振動する部分の破損は、漏れを減らせても止めることはできないという説明です。

そのうえで、ラジエーターの内部が油で汚れている場合は、まったく止まらないとも書いています。最近増えているプラスチックのタンクの割れにも、向かないようだという見方です。

副作用にも触れています。サーモスタットやウォーターポンプの動く部分に作用することや、細い水管を詰まらせてオーバーヒートの原因になることです。

さらに、一度止まると、あとで修理するときに漏れていた場所を見つけにくくなるとしています。後から直す人にとっても、手がかりが消えてしまいます。

ギア
ギア
旅先の応急には便利、というのが専門業者の言い方です。家の納屋にあるなら、先に場所を探してください。

なお、店頭の漏れ止め剤には、自動車用として売られているものがあります。農機に使えるかどうかは、製品の表示だけでは分かりません。

ですから、使う前に販売店に相談するのが確実です。とくに、ホースバンドのゆるみが原因なら、締め直すだけで済むこともあります。

結局のところ、漏れ止め剤は時間を稼ぐ手段です。直す手段としては、場所を見つけて部品を換えるほうが確実になります。

直すか手放すかは、修理代と残りの年数で決める

最後に、直すか手放すかの分かれ目です。水漏れは、ホースやキャップ、本体といった部品を換えて直す故障です。

ただ、直した後に何年使うかで、同じ金額の重さが変わります。ホースやキャップで済むなら、迷う必要はほとんどありません。

迷うのは、本体の交換が必要と言われたときです。工賃約2万円に本体代が加わるので、合計は数万円からになります。

そこで考えたいのが、ほかの不調の有無です。水漏れのほかにも、オイル漏れやエンジンのかかりの悪さを抱えているなら、修理は1回で終わらないかもしれません。

また、動かない機械を運ぶだけでも費用がかかります。JA兵庫みらいは、引取搬送料を積車5,500円、トラクターの引上げ作業を16,200円以上としています。

そこで、修理の見積もりが出たら、その金額を残りの年数で割ってみてください。1年あたりの重さが見えてきます。

一方で、修理に出すついでに点検整備も頼むなら、その費用も見ておきます。JA兵庫みらいのトラクターの点検整備は、20馬力未満で30,800円、20〜29馬力で38,500円です。

もちろん、点検整備は必須ではありません。ただ、ほかの不調をまとめて見つけられれば、直すか手放すかの判断材料が増えます。

とはいえ、手放すかどうかは急いで決めることではありません。修理の見積もりと、手放した場合の金額を並べてから比べれば十分です。

直すより手放すほうが合うか迷っている方は、動かないトラクターを手放す前の確認もあわせてご確認ください。

一方で、手放す場合も手続きは残ります。ナンバーが付いている機械なら、標識の返納をしないと税金がかかり続けます。

手放したあとの税金の手続きが気になる方は、トラクターの廃車手続きと課税の止め方もあわせてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

冷却水が減っていたら、水道水を足してもいいですか?
補充
メーカーによって書き方が違います。ヤンマーはセルフ点検のページで、冷却水が少ない場合は清水を補給するとしています。一方でクボタは、指定の混合比になるよう不凍液と水を混ぜ合わせて補充するとしており、出荷時の混合比は50%です。お手元の取扱説明書の指定に従ってください。何度も補充が必要なら、どこかで漏れている可能性があります。
車用の漏れ止め剤は、トラクターにも使えますか?
漏れ止め剤
店頭には自動車用として販売されている製品があり、農機に使えるかどうかは表示だけでは分かりません。自動車用の漏れ止め剤のメーカーも、30分以上漏れが直らない場合は直接部位を修理するよう書いています。ラジエーター修理の専門業者は、一時的な補修で再発のおそれがあり、水管の詰まりなどの副作用もあるとしています。使う前に、販売店にご相談ください。
作業中に水温計が上がってきました。どうすればいいですか?
安全
まず作業を止めてください。ヤンマーはオーバーヒートの原因として、冷却ファンベルトのゆるみや損傷、冷却水の不足や汚れ、ラジエータースクリーンの詰まりなどを挙げています。熱いうちにラジエーターのキャップを開けると、熱い冷却水や蒸気が噴き出すおそれがあるため、点検はエンジンが冷えてから行ってください。止め方や確認の順番は、お手元の取扱説明書に従ってください。
冷却水の色が白く濁っています。漏れと関係ありますか?
点検
ヤンマーはセルフ点検のページで、冷却水の色(緑色)が白く濁っていないかを確認項目にしており、白く濁っている場合は交換するよう書いています。濁りの原因そのものは状態によって異なるため、ここでは断定できません。交換してもすぐに濁る場合や、量の減りも伴う場合は、販売店やJAの農機センターで見てもらってください。

【まとめ】トラクターのラジエーター水漏れは、この順番で確かめる

ここまで解説したとおり、トラクターのラジエーター水漏れは、本体より先に疑う場所があります。最後に、順番だけ整理しておきます。

  • エンジンが冷えてから、白い粉と床の跡を探す
  • ホースの継ぎ目とホースバンドを先に見る
  • リザーブタンクの減り方を、朝の冷えた状態で比べる
  • 冷却水の交換時期と足し方は、取扱説明書に合わせる
  • 本体交換は工賃約2万円から。部品代は別に見積もる

この5つのうち、いちばん飛ばされやすいのが1番です。熱いうちに確かめようとすると、跡も見えにくく、キャップを開ける危険もあります。

そして2番は、お金がいちばんかからない確認です。ホースバンドのゆるみなら、部品を買わずに済むこともあります。

加えて4番は、メーカーをまたいで数字を当てはめないことが大切です。ヤンマーは1年、クボタは2年と、前提が違うからです。

費用の見通しも整理しておきます。JAの料金表では、本体交換の工賃が19,800円と22,000円以上でした。

そこに本体代が加わります。一例として、GL32用の社外品の新品は61,050円でした。キャップなら4,070円の例があり、場所で桁が変わります。

維持研くん
維持研くん
安い部品から順に確かめれば、大きな出費に進むのは本当に必要なときだけです。

なお、この記事の金額は2026年9月時点で公表されている内容をもとにした目安です。機種・年式・状態・地域・依頼先によって変わります。

点検の手順や冷却水の種類は、必ずお手元の取扱説明書に従ってください。判断に迷うときは、メーカーの販売店やJAの農機センターにご相談ください。

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