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JAハイナン農機センターの農機修理標準技術料金表には、田植機の植付け爪の交換は1本1,320円、ミッションの分解整備は乗用で79,200円と書かれています。
2026年9月時点で、編集部がPDFの本文を確かめた結果です。
つまり同じ「植え付け部が動かない」でも、どこが悪いかで払う金額は数千円から8万円まで変わります。だからこそ、分解より先に原因の切り分けが要ります。
田んぼの途中で、植え付け部だけが止まった。苗のせ台は動いているのに爪が回らない。今日中に植え終えたい。
そんな場面で、販売店を呼ぶ前に自分で見られるところを見ておきたい方に向けた記事です。
結論から言うと、最初にやるのは分解ではありません。「まったく動かない」のか「動くのに植わらない」のかを見分けることです。ここで見る場所が変わり、かかる金額も変わります。

この記事で分かることは、次の4つです。
- 「まったく動かない」と「動くのに植わらない」で、見る場所がまったく違うこと
- 動かないときは、故障の前にレバーの位置を確かめること
- 爪を替えるときの空回しのやり方と、エンジンを必ず止めること
- JAの料金表に載っている、部位ごとの金額
田植え機の植え付け部が動かないのは、どこが原因なのか?
前半では、症状の切り分けから、レバーの位置、異物の噛み込み、植付爪、押出し金具とグリスの順に見ていきます。どれもメーカーが公式に挙げている項目です。
まず切り分ける|「まったく動かない」と「動くのに植わらない」は原因が別

まず、症状を2つに分けると見る場所が決まります。
というのも、ヤンマーの公式サイトの現象一覧には、そもそも「植付部が動かない」という項目がないからです。
並んでいるのは「欠株する。浮き苗が出る。植付姿勢が悪い」「条ごとの苗マットの減り方が大きく違う」「苗のせ台がスムーズに動かない」。どれも、動いているのに結果が悪い側の話です。
具体的には、爪がまったく回らないなら駆動と操作の側です。植付クラッチ、油圧ロック、主変速の位置、そして異物の噛み込みを見ます。
一方、爪は回っているのに苗が植わらない、浮く、転ぶという場合は植付側です。植付爪の摩耗、押出し金具の変形、グリスの量を見ます。
確かに、どちらも「植え付け部の不調」ではあります。ただ、見る場所も、かかる金額も別物です。ここを分けずに探し始めると、関係のないところばかり触ることになります。
見分け方そのものは難しくありません。植付クラッチを入れた状態で、爪が回っているかどうかを目で見るだけです。あわせて、苗のせ台が左右に動いているかも見ておくと、販売店に伝えるときの材料になります。
ちなみに、この切り分けは上位に出てくる記事ではあまりされていません。検索して出てくる記事の多くは、実は欠株や浮き苗の話、つまり「動いているのに植わらない」側の解説になっています。
なお、この記事は乗用型を中心に書いています。油圧ロックレバーや電動の植付クラッチは乗用の装備で、歩行型には付いていないものがあるためです。歩行型の方は、レバーの名前をご自分の取扱説明書で読み替えてください。
現象ごとの一覧は、ヤンマー公式の「田植機のシーズン中のトラブル対応」で確認できます。
エンジンのほうが止まってしまう方は、田植え機のエンジンがかからないときの原因もあわせてご確認ください。
| 症状 | 疑う側 | 主に見る場所 |
|---|---|---|
| 爪がまったく回らない | 駆動・操作 | 植付クラッチ/油圧ロック/主変速の位置 |
| 「バチッ」と音がして止まる | 駆動(保護) | 植付爪まわりの異物(🟡トルクリミッタの有無は機種による) |
| 爪は回るが苗が植わらない・浮く・転ぶ | 植付 | 植付爪の摩耗/押出し金具の変形 |
| 条ごとに苗マットの減り方が違う | 植付 | 植付爪の調節(ヤンマー公式) |
| 苗のせ台がスムーズに動かない | 植付 | 支持シューの摩耗/グリス切れ(ヤンマー公式) |
動かないときは、故障の前にレバーの位置を確かめる
さて、まったく動かない場合は、先に外しておきたいものがあります。壊れたのではなく、動かない位置にレバーが入っているだけ、という場合です。
クボタの公式ページには、はっきりと書かれています。「植付クラッチレバーが[植付]位置以外のときは、植付爪が下まで動きません」。メーカーがわざわざ注記を付けるくらい、起こりやすいということです。
順番に見ていきます。まず、植付クラッチレバーが[植付]の位置に入っているかどうかです。
次に、油圧ロックレバーが[閉]のままになっていないかを確かめます。[閉]は植付部が下がらないようにするための位置で、作業中にそのままだと当然ながら植わりません。
そして主変速レバーの位置です。クボタの資料には、主変速を[後進]にして植付クラッチレバーを保持すると植付の駆動が切れる、と書かれています。動かないことが仕組みとして起こりうる、ということです。
実際に、知恵袋でも「苗のせ台が下がらない」という相談の答えが「油圧のロックがかかっている」で解決した例が見られます。別の相談でも、答えは部品の交換ではなく操作の順番でした。
もちろん、レバーを確かめても動かないことはあります。それでも、この確認を先に済ませておけば、販売店に電話したときに「レバーは確認済みです」と伝えられます。そのひと言で、話が一段先から始まります。
また、バッテリーが弱っていても植付部が動かないことがあります。クボタのAW4・AW5の取扱説明書は、電気系統が正常にはたらかない場合はバッテリーを交換するよう書いていました。詳しくは、田植え機のバッテリー上がりの対処もあわせてご確認ください。
レバーの名前や配置は機種で異なります(🟡取扱説明書で名称と位置をご確認ください)。それでも、確かめる順番そのものは共通です。手を汚す前にレバーを見る、と決めておくだけで、無駄な時間と出張料を減らせます。
点検の手順は、クボタ公式の「植付アーム(押出し金具)の点検方法」に図解付きで載っています。
「バチッ」と音がして止まったなら、異物を噛んでいないか

ところで、レバーに問題がないのに急に止まったのなら、機械が自分を守った可能性があります。
実は、農機には異常な力がかかったときに駆動を切って部品の破損を防ぐ仕組みが付いていることがあります。トルクリミッタと呼ばれるものです。
整備士のサイトでは、バチッ、バチッと音がして植付部が止まるのは、植付爪に異物が当たって異常な負荷がかかり、トルクリミッタが作動した状態だと説明されています(🟡2007年作成の個人サイトの記述で、メーカー公式の記載は確認できていません。仕組みの有無も機種によります)。
そう考えると、まず見るのは異物です。クボタの警告文にも、日常の作業として「苗取り出し口の異物の除去、残り苗の取出し」が挙げられています。石、わら、ひもの切れ端、去年の苗の残りが挟まっていないかを確かめてください。
特に、シーズンの最初は見ておきたいところです。クボタも作業の項目として「残り苗の取出し」を挙げていて、前のシーズンの苗が残ったままになっていることは想定されています。
ただし、ここでひとつ守っていただきたいことがあります。異物を取るときも、エンジンは必ず止めてください。理由は後半で詳しく書きますが、この工程で実際にけがが起きています。
異物を取り除いても音がして止まるなら、爪の取り付けや駆動側の問題が残っている可能性があります。その場合は自分で押し込まず、購入先に症状を伝えてください。
伝えるときは、音の出方まで添えると話が早くなります。連続して鳴るのか、一定の間隔で鳴るのか、特定の条だけなのか。そこまで言えると、電話の段階で見当がつくことがあります。
動くのに植わらない|植付爪は先端まで80mm、3mm摩耗が交換の目安

さて、爪が回っているのに植わらない場合、まず疑うのは植付爪です。
というのも、植付爪は数字で判断できる数少ない部品だからです。クボタは「A位置から先端までの長さが80mm以下の場合は交換が必要です」とし、交換のタイミングを「3mm以上摩耗したとき(植付時に苗取りができないとき)」としています。
そして、ヤンマーも摩耗量3mm以上を交換の基準としています。表現は違っても、2社が同じ数字を出しているということです。メーカーをまたいで一致している基準は、そうそうありません。
放置するとどうなるかも書かれています。クボタによると、摩耗した爪を使うと「苗取りや苗の保持が不完全となり、植付姿勢が乱れ、浮き苗や転び苗、欠株の原因になります」。つまり、植わり方が雑になってきたと感じたら、爪の先端を見る番だということです。
点検のタイミングは作業前後とされています。部品そのものは、純正の植付爪が通販で1本2,000円前後から見つかります(🟡2026年9月時点の通販価格。型番は機種で異なり、必要な本数も機種によります)。
ちなみに、クボタは「植付爪は常に1台分の予備を準備しておいてください」とも書いています。田植えの最中に止まると、予備があるかどうかで、その日が終わるか終わらないかが決まります。
交換の基準と手順は、クボタ公式の「植付爪の点検・交換方法」で確認できます。
部品代と工賃の分かれ方を知っておきたい方は、農機具の部品代と工賃の考え方もあわせてご確認ください。
| メーカー | 交換の目安 | 点検のタイミング |
|---|---|---|
| クボタ | 先端までの長さが80mm以下/3mm以上摩耗したとき(植付時に苗取りができないとき) | 作業前後 |
| ヤンマー | 摩耗量3mm以上(破線位置まで摩耗したとき) | 作業前後・不調時 |
押出し金具の変形と、グリスの入れすぎ
次に、爪に問題がないのに植わらないときは、苗を押し出す側を見ます。
具体的には、押出し金具(植付アーム)=爪がつかんだ苗を田んぼに押し出す部品です。クボタによると「押出し金具が変形や破損をすると、浮き苗・転び苗・ばらけ苗などの植付不良の原因となります」。
確認のしかたも公開されています。植付爪を手で回して、最下端のときに押出し金具と植付爪のそれぞれの先端が揃っているかを見る、という方法です。揃っていなければ変形しています。
ヤンマーの一覧でも、欠株や浮き苗の原因として「植付爪が摩耗、変形している」と並んで「植付アームのグリス量を確認する」が挙がっています。つまり、爪と押出し金具とグリスは、まとめて見る場所だということです。
ここで線引きがはっきりします。クボタは変形や破損があるときについて「交換が必要です。購入先に連絡してください」と書いています。
つまり、点検までが自分の範囲で、交換は購入先の仕事だということです。
というのも、ヤンマーがはっきり書いているからです。「グリスを多く入れ過ぎると、プッシュロッドの働きが悪くなり植付け不良が発生します」。グリスは入れれば入れるほどよい、ではありません。
ヤンマーのグリスアップの時期は50時間または1年のどちらか早い時期で、注入・塗布する場所も支持シュー、苗台アーム、苗のせ台規制シュー、植付爪ケースと決まっています(🟡箇所と種類は機種で異なります)。
注油の場所と時期は、ヤンマー公式の「田植機のセルフ点検・交換」にまとまっています。
| 箇所 | 作業 | 時期 |
|---|---|---|
| 植付部(支持シュー) | グリスアップ | 50時間または1年のどちらか早い時期 |
| 植付部(苗台アーム) | 長穴の内面に塗布 | 同上 |
| 植付部(苗のせ台規制シュー) | グリスアップ | 同上 |
| 植付部(植付爪ケース) | グリスアップ | 同上 |
| 各操作レバーの支点 | 注油 | 同上 |
油脂まわりのにじみが気になっている方は、農機具のオイル漏れの見分け方もあわせてご確認ください。
田植え機の植え付け部が動かないとき、自分で直せるのか、いくらかかるのか?
後半では、自分でやってよい範囲と危ない作業、頼んだときの部位ごとの金額、そして直すか手放すかの考え方を見ていきます。
爪を替えるときの空回しは、メーカーが手順を公開している

ところで、爪を替えるときに回転ケースを手で回すことを空回しと呼びます。これには正しいセットの仕方があります。
そして、クボタの補足にそのまま書かれています。「主変速を[後進]で植付クラッチレバーを[植付]から[上]に動かないように保持すると、植付の駆動が切れます。爪交換などで回転ケースを空回しするときは、このセットにしてください」。
もちろん、その手前に安全の前提があります。植付部を上昇させて油圧ロックレバーを[閉]位置にし、植付部が落ちないようにすること。そして苗のせ台が中央の位置で爪を停止させることです。
さらに、ブレーキをロックしてエンジンを停止します。ここまでが揃ってから、はじめて手を入れます。
さらに、爪の高さの合わせ方まで公開されています。苗取りゲージという専用の目盛りに爪の先端を合わせる方法で、クボタは「苗取り量13」(13mm)の線に合わせるとしています。
ちなみに、苗のせ台を中央に寄せるのも両社に共通しています。ヤンマーは「苗のせ台が最右端、最左端位置では、爪セットゲージが入りません。中央寄りに移動させてください」と書いています。
ただし、この記事で手順を全部書き写すことはしません。機種ごとにレバー名も目盛りも違いますし、細かい数値は取扱説明書が正です(🟡ゲージの目盛りとレバー名は機種で異なります)。
ここで押さえていただきたいのは、空回しは力技ではなく、駆動を切ってから手で回すものだということです。駆動が入ったまま回そうとすると、手順を飛ばした分が事故に近づきます。
加えて、爪を替えたら高さの調整が必要になります。植付アームの締付けボルトをゆるめ、爪高さ調節ボルトで位置を合わせてから締め直す、という流れです。爪だけ新品にして調整を省くと、植わり方は元のままになります。
手順の全文は、クボタ公式の「田植機のセルフメンテナンス」で読めます。
点検中のけがは実際に起きている|動かないからと力をかけない

実際に、原因を探しているときに一番危ないのは、エンジンをかけたまま可動部に手を入れることです。
たとえば、クボタは警告としてこう書いています。「植付爪に接触すると手を傷つける恐れがあるので、植付爪の交換・調整・清掃・苗取り出し口の異物の除去、残り苗の取出しなどを行うときは、エンジンを必ず止めてください」。
そして、これは注意喚起のための言い回しではありません。農林水産省が公表している農作業事故の対面調査に、田植機の点検時の事故として次の事例が記録されています。
田植後の点検で、クラッチを入れても動かないためクラッチワイヤーを押したところ、テンションがかかった状態となって車輪が動き出し、腕が巻き込まれた、というものです。けがは右肘靱帯断裂と上腕筋肉断裂と記載されています。
「動かないから力をかけてみる」。この記事を読んでいる方が、まさに次にやりそうな行動です。
たとえ動きを確かめたくても、エンジンを止めてから手を入れる。この順番だけは崩さないでください。
ヤンマーも同じ趣旨の注意を書いています。掃除のときについて「必ずエンジンを停止し、油圧ストップレバーを『ストップ』位置にしてください。エンジンをかけたまま行うと、不意に植付部が動いたりしてケガをするおそれがあります」としています。
つまり2社とも、エンジンを止めることと、植付部が落ちたり動いたりしないようにすることをセットで求めています。できれば平らな場所に上げてから見るようにしてください。
植え付け部に手を入れる前に、この4つ
- エンジンを止める(クボタが警告で明記)
- 植付部を上げて、油圧ロックレバーを[閉]位置にする(落下を防ぐ)
- ブレーキをロックする
- できるだけ平らな場所で行う
要するに、自分で見る範囲を決めておくことが、そのまま安全の線引きになります。判断に迷ったら無理をせず、メーカー・JA・整備工場などの専門家にご相談ください。
事例の原文は農林水産省「農作業事故の対面調査」(PDF)に掲載されています。
頼むといくらか|JAの料金表は部位ごとに金額が決まっている
さて、頼むと決めたときに気になるのが金額です。JAの料金は「標準時間×時間工賃+部品代+出張料」で決まります。
そして、部位ごとの標準時間を公開しているJAがあります。JAハイナン農機センターの農機修理標準技術料金表は、田植機だけで11項目の標準時間と金額を載せています。
ただし、同じ料金表には「料金表は工賃のみを表しており、部品代や加工代は含んでいません」とも書かれています。つまり爪を替えるなら、工賃に部品代を足した金額になります。
出張料は一律1,650円、午後6時以降にかかる場合は3割増しとされています。時間工賃は1時間あたり6,600円です。
この仕組みが分かると、見積もりの読み方が変わります。たとえば爪を2本替えるなら、工賃は0.2時間×2で約2,600円。そこに部品代が乗り、出張で来てもらうなら出張料が足されます。
反対に、金額が大きいときは作業そのものが長いということです。標準時間が何時間の作業なのかを聞けば、金額の理由が分かります。
一方、点検そのものの料金はJAによって幅があります。乗用4条の点検で比べると、JA東美濃が17,600円、JA伊勢が19,800円から、JAハイナンが26,400円、JA兵庫みらいが30,800円でした(🟡いずれも公表されている料金で、地域・JA・機種・時期によって変わります)。
ここまで開くので、近いJAと販売店の両方に聞いてから決めるほうが納得できます。出張料も1,650円から3,300円まで幅があり、来てもらうだけで千円台後半から三千円台が乗ります。
電話のときは「植え付け部が動かない」ではなく、「爪が回らない」「回るけれど植わり方が悪い」と伝えると、見積もりが早く出ます。症状の言い方ひとつで、持ってくる部品が変わることもあります。
見積もりの金額が妥当か判断したい方は、農機具の修理費用の相場の見方もあわせてご確認ください。
実際の料金表はJAハイナン農機センター「農機修理標準技術料金表」(PDF)で確認できます。
| JA | 乗用4条の点検料 | 時間工賃/出張料 |
|---|---|---|
| JA東美濃(令和7年4月1日) | 17,600円 | 8,800円/3,300円 |
| JA伊勢(令和7年) | 19,800円〜(施肥機付は1条につき2,200円追加) | 6,600円(時間外8,250円)/2,200円 |
| JAハイナン | 26,400円(標準4時間・施肥機含まず) | 6,600円/1,650円(18時以降3割増) |
| JA兵庫みらい(令和7年4月1日) | 30,800円(施肥機付は53,900円) | 7,700円/2,200円 |
ミッションを開ける話になったら|工賃だけで乗用79,200円

ここまで解説したとおり、金額は部位で決まります。同じ料金表を上から下まで見ると、その段差がはっきり出ます。
たとえば、植付け爪の交換は1本1,320円、植付けアームの分解整備は1本3,300円です。ところが苗載せ台の脱着整備になると乗用で14,520円、横搬送ケースの分解整備で19,800円、そしてミッションの分解整備は乗用で12時間・79,200円になります。いずれも工賃だけの金額です。
| 作業 | 標準時間 | 工賃 |
|---|---|---|
| 植付け爪交換(1本) | 0.2時間 | 1,320円 |
| 植付けアーム分解整備(1本) | 0.5時間 | 3,300円 |
| 植付けアームオイル交換 | 0.5時間 | 3,300円 |
| 苗載せ台脱着整備(乗用) | 2.2時間 | 14,520円 |
| 横搬送ケース分解整備(乗用) | 3時間 | 19,800円 |
| ミッション分解整備(乗用) | 12時間 | 79,200円 |
| 簡易点検整備(乗用4条・施肥機含まず) | 4時間 | 26,400円 |
つまり、爪やアームの話で収まるのか、ミッションを開ける話になるのかで、桁がひとつ変わります。見積もりを聞くときは金額だけでなく、どこまで開ける作業なのかを確かめてください。
もうひとつ、部品が出るかどうかも判断材料になります。ヤンマーの公式サイトによると、農業機械の部品の供給年限は経済産業省の指導のもと日本農業機械工業会が取り決めていて、田植え機部品は製造打ち切り後9年とされています。
ただし、9年で必ずなくなるという意味ではありません。クボタは、供給年限を過ぎた時点ですべての部品が一律に在庫切れになるわけではない、と説明しています(🟡実際の在庫は販売店の状況によります)。
そのうえで、見積もりが出てから比べます。直して使い続ける場合の金額、これから先も同じような修理が続きそうかどうか、手放す場合にいくらになるかの3つです。
順番を逆にして先に手放すと決めてしまうと、実は爪2本で直る機械を手放すことになりかねません。反対に、ミッションを開ける見積もりが出たなら、そこで一度立ち止まる意味があります。
供給年限の一覧は、ヤンマー公式の「農業|修理・部品のご案内」で確認できます。
直すか手放すかで迷っている方は、動かない農機具の買取の考え方もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
歩行型の田植え機でも、同じところを見ればいいですか?
見る順番は同じですが、付いているレバーが違います。油圧ロックレバーや電動の植付クラッチは乗用の装備で、歩行型にはないものがあります。
修理に出したときの手間も変わります。JAハイナンの料金表では、ミッションの分解整備が歩行8時間に対して乗用12時間、苗載せ台の脱着整備が歩行1.2時間に対して乗用2.2時間とされています。
苗のせ台がスムーズに動かないときは、どこを見ますか?
ヤンマーの公式サイトは、この現象の原因として支持シューの摩耗を挙げています。
あわせて「グリスが切れて、動きが悪くなっているときは、注油、グリスアップを適切に行う」とも書かれています。植え付け部が動かないのとは別の現象なので、爪ではなく苗のせ台まわりを見てください。
肥料が詰まるのも、植え付け部の不調ですか?
別の現象として扱われています。ヤンマーの公式サイトは「肥料が詰まる」を独立した項目にしていて、原因は目皿部と施肥ホースの掃除がされていないこと、とされています。
施肥機が付いている機種では、植え付け部そのものが正常でも苗が植わらないように見えることがあります。
点検だけを頼むと、いくらかかりますか?
機種と条数で決まります。JAハイナンの料金表では、簡易点検整備が歩行2条で13,200円、歩行4条で19,800円、乗用4条で26,400円、乗用6条で33,000円です(いずれも施肥機を含まない標準時間の工賃)。
これに出張料1,650円が加わります。あくまで1つのJAの公表料金で、地域やJAによって変わります。
【まとめ】田植え機の植え付け部が動かないときに見る順番
田植え機の植え付け部が動かないときは、順番があります。まずエンジンを止めて、症状が「まったく動かない」のか「動くのに植わらない」のかを決めてください。
動かない側なら、植付クラッチ・油圧ロック・主変速の位置、それから異物の噛み込みです。植わらない側なら、植付爪の摩耗、押出し金具の変形、グリスの量を見ます。
そして、どちらの側でも共通しているのは、手を入れる前にエンジンを止めることです。メーカーが警告で書き、公的な事故の記録にも残っている工程です。
- 手を入れる前にエンジンを止める(クボタが警告で明記。点検中の事故が実際に記録されている)
- まったく動かない=レバーの位置と異物。クボタは「植付クラッチレバーが[植付]位置以外のときは、植付爪が下まで動きません」と明記
- 動くのに植わらない=植付爪(先端まで80mm以下・3mm以上摩耗で交換/クボタ・ヤンマーの2社一致)
- グリスは入れすぎない。ヤンマーは「多く入れ過ぎるとプッシュロッドの働きが悪くなり植付け不良が発生します」としている
- 工賃は部位で決まる。植付け爪の交換1本1,320円からミッション分解整備 乗用79,200円まで(🟡JAハイナンの公表料金・工賃のみ)
結論として、自分で見られるのはレバーの確認、異物の除去、爪と押出し金具の点検までです。それでも直らないときは、症状を具体的に伝えて購入先やJAに相談してください。伝え方がはっきりしているだけで、見積もりは早く、そして納得のいくものになります。
なお、グリスをどこに、どのくらいの間隔で入れるかは田植え機のグリスの入れどきで整理しました。